【リーガルリリー インタビュー】
輝き方はたくさんあるから
自分だけの光り方を探すしかない
研ぎ澄まされた
バンドサウンドも魅力
楽曲についてもいくつか訊かせてください。1曲目の「たたかわないらいおん」は鋭利で煌びやかなサウンドとポップなメロディー、《目の前の暗がりは1人で守るんだ。》という歌詞のエッセンスがひとつになった楽曲ですね。
たかはし
ある時に友達と“何が強いのか?”という話をしていたんです。女の人って肉体的な力は弱いけれど、本当は強いという話からいろいろ広がって。身体の外にある強さではなくて、身体の内側にある強さが本当の強さだという答えになったんですよ。
その会話が歌詞につながった?
ゆきやま
私もすごくいい歌詞だなと思いましたね。《言葉の銃弾。》という鋭い言葉もあって。
海
“たたかわないらいおん”という曲名は寓話的なんですけど、今の時代に当てはまるところもすごくあると思います。《言葉の銃弾。》も含め、SNSが身近になっている今だからこそ響くものがあるんじゃないかと。
SNS上では言葉の銃弾が飛び交っていますからね。
たかはし
私、結構エゴサーチするんです。リーガルリリーがどこまで届いているのかが気になるし、どんな人がどんなふうに聴いているのかも知りたいので。
ゆきやま
SNSにはいろんな言葉が飛び交っているけど、為になったり、養分を含んだ言葉は少ない気がするんですよね。でも、リーガルリリーの歌詞はすごく養分が多いと思います。この曲の歌詞もみんなが言おうとして言えなかったことがちゃんと歌われていて、すごく気持ち良いです。今思い出したんですけど、最初のデモはメロディーがちょっと違っていたんですよ。
ゆきやま
みんなでアレンジをしていく中、なんとなく煮詰まっていたんですけど、ほのかが急に“これはどう?”って違うメロディーで歌い始めて。海ちゃんと一緒に“それそれ!”って言ってね(笑)。
たかはしさんより、海さん、ゆきやまさんのほうが曲の成り立ちを覚えてるような気が…。
海
ほのかさんは曲を書いた時のことを忘れちゃうんですよ。だから、私たちが覚えておこうと思って。
「教室のドアの向こう」「中央線」「東京」の流れも印象的でした。「教室のドアの向こう」にも“中央線”という言葉があるし、この3曲はつながってますね。
たかはし
「教室のドアの向こう」は高校生の時に書いた曲なんです。ワンコーラスしかなかったんですけど、大人になってから2番を書いて。曲を作り始めたのもその頃なんで、その時期に一番心を惹かれていたのが電車だったんですよね。町と町をつなげるものだし、人身事故があったり…。
その感覚は「中央線」「東京」にもつながっているのかも。このあたりの楽曲はバンドサウンドや音像もすごくシャープですね。
海
良かった。「中央線」や「東京」はリズム隊がカッコ良い曲にしたかったんですよね。エンジニアの方に“ブイブイって感じの音にしてください”と抽象的なことを伝えて音作りをしました。
ゆきやま
私は“こんな感じの音にしたいです”って参考の音源をエンジニアさんに送ったりしています。今までは丸い音が好きだったんですけど、今回は尖った音にしたかったんです。打ち込みの硬い音も好きなので、そっちに近づけたくて。
全体的にアレンジもすごく研ぎ澄まされていますね。
たかはし
シンプルかもしれないですね。ライヴ用のアレンジもいいんですけれど、できれば音源のまま届けたいので。“どこまでシンプルになれるか?”という実験みたいなところもありました。それがしっかりできれば、この先、いっぱい音が増えても大丈夫だろうなと。
海
前回のアルバムより3ピース感が増しましたね。ひとりひとりが自分の音をちゃんと考えて、それが集まっていると思います。
ゆきやま
いろんなことをやれると思うんですけど、いざ手を動かしてアレンジしていくと、結果的にこのかたちになるんですよね。“これが自分たちの居場所”というか、一番自分たちを出せる方法なんでしょうね。1年くらい前に、レコーディングでもライヴ感を意識するようになったので、それを踏まえてこのアルバムの音になっているところもあると思います。
アルバムの最後を飾る「Candy」も素晴らしいです。《この味は本物さ。/溶けて、いつか、なくなっても。》という歌詞の儚さ、切なさに胸を撃たれました。
たかはし
ありがとうございます。「Candy」はアルバムの中で一番新しい曲なんです。この曲を書いた頃、嘘と本当についてよく考えていたんですけど、例え嘘であっても気持ちが本当だったら、それは本当のことじゃないかなって。それは曲が出来上がってから分かったことなんですけどね。考えている途中に曲は作れないし、書き終わった時に“私はこういうことが歌いたかったのか!?”と腑に落ちるんです。
いろんな思索が曲につながっていくことが多い?
たかはし
そうですね。心のモヤモヤをどうしても晴らしておきたいし、放っておけないんです。歌詞にすることでモヤモヤを発散できるのはすごくいいことだと思います。
ゆきやま
ほのかがモヤモヤしている時って、ちゃんとモヤモヤしているんですよ。
海
そうかも(笑)。モヤモヤしている時に書いた歌詞はボツになりがちで、心が晴れてから書いた歌詞が採用されることが多いしね。
たかはし
モヤモヤしてからの時間の経過だったり、心が晴れるまでの課程がないと、曲が生まれないです(笑)。
この2年間はモヤモヤすることも多かっただろうし、そのぶん純度が高いアルバムになったのかも。
海
それは感じますね。伝えたいことが明確だし、言葉も鋭くなっていると思うので。
アルバムのリリース後は東名阪のワンマンツアーが開催されます。東京は2月8日の中野サンプラザホール公演ですね。
ゆきやま
どんな感じになるんだろう? …という不安なところもあるんですけど(笑)。でも、楽しみです!
たかはし
気持ち良く歌える場所が好きなので、ホールはきっといいだろうなって思います。たくさん準備したものを出しきりたいですね。
海
そうだね。前回のアルバムのリリースツアーは結局開催できなくて。配信ライヴはしましたけど、生のライヴで演奏していない曲も結構あるんです。今回は全曲しっかりやりたいです。
取材:森 朋之
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アルバム『Cとし生けるもの』2022年1月19日発売
Ki/oon Music
- 【初回生産限定盤】(CD+Blu-ray)
- KSCL-3343~4
- ¥5,500(税込)
- 【通常盤】(CD)
- KSCL-3345
- ¥3,000(税込)
『リーガルリリー東名阪ワンマンツアー『Cとし生けるもの』』
1/30(日) 大阪・BIGCAT
1/31(月) 愛知・名古屋CLUB QUATTR
2/08(火) 東京・中野サンプラザホール
リーガルリリー:東京都出身のバンド。高校在学時より注目を集め、国内大型フェスや海外でのライヴ出演も果たす。19年にアメリカ合衆国で開催された『SXSW 2019』へ出演し、同年に行った中国ツアーも全公演ソールドアウトした。20年に1stアルバム『bedtime story』、21年4月には1st EP『the World』をリリースし、同年はTVアニメのタイアップや配信シングルを立て続けに発表した。22年1月に2ndフルアルバム『Cとし生けるもの』、その後も配信シングル2作、配信ライヴ音源を発表し、8月にEP『恋と戦争』をリリースした。11月には自主企画2マンイベント『cell,core 2022』を東名阪で開催する。リーガルリリー オフィシャルHP
「惑星トラッシュ」MV
「たたかわないらいおん」MV
「bedtime story」
×真夜中のプラネタリウム
Live Blu-ray Teaser
「アルケミラ」
×TVアニメ『86―エイティシックス―』
シン&レーナ
Collaboration Short Movie
「アルケミラ」MV
「東京」MV
『Cとし生けるもの』Trailer