KEN LLOYD

KEN LLOYD

【KEN LLOYD インタビュー】
ソロをやろうと思った時には
「Sweetness」が柱としてあった

OBLIVION DUST、FAKE?、ATOM ON SPHEREのヴォーカリストであるKEN LLOYDがソロ活動をスタートさせた。デビューから25年、“今までやってきたことの集大成”と語るソロについて、そしてその第一弾として配信リリースされた「Sweetness」について肉迫する。

“これがKEN LLOYDなんだ!”って
最後に残したもので評価されたい

OBLIVION DUST(以下、オブリ)、FAKE?、ATOM ON SPHERE(以下:アトム)とやってきて、今回は“KEN LLOYD”とソロ名義。なぜ、今、ソロをやろうと思ったのですか?

やっぱり新型コロナウイルスの影響で音楽業界がピタッと止まって、キャリアを振り返ったり、考える時間ができたのは大きいですね。それまでは3つもバンドをやっていることもあって、前向きにやっていることだったけど、常に目の前にあるものに集中して次から次にこなしている感じで、立ち止まる時間がなかった。コロナ禍になるかなり前から“ソロ活動”というのは頭の中にちょっとだけあったんですよ。フワッとね。それを現実的に考え出したのはオブリのK.A.Zが左手首を骨折して、いつ復活できるか分からなかった時。結局K.A.Z不在でツアーを続行することになったから、その時は最後まで考えをまとめることができなかったんですけど、その後、K.A.Zが復活したと思ったら今度は世の中がコロナ禍になって、やっとそこでブレイクできた…。言い方は悪いけど、一回止まって自分に集中する時間が僕には必要だったんです。その時に自分のキャリアを振り返って、“じゃあ、最終的にKEN LLOYDはどんなアーティストでいたいのか? どの部分を一番象徴として見てもらいたいのか?”という想いから、今までのキャリアの最後はソロで締めたいと思ったんですよ。“最後を締める”というか、今までやってきたことの集大成ですね。

自分の音楽キャリアの集大成をソロでやる?

そう。ひとつのバンドだけをずっとやってきていたら、そのバンドでもできることなんだろうけど、3つのバンドをやってきて、どれも僕なんだけど、どれも完全な僕ではない…100パーセント自分ではないということでね。だから、ソロでは自分を完全に表現していると思うものをかたちにして、世に出すっていう。“ファンはこれを求めているだろうな”とか“他のメンバーはこれをやりたいだろうな”という考えを省いた、自分に正直で象徴的な作品が作れるんじゃないかと。

ということは、K.A.Zさんが骨折した時に思ったソロ活動と、コロナ禍の中で考えたソロ活動は違うものになるのですか? 前者は新たな吐き出しで、後者は集大成みたいな。

僕ってとにかく動いていないとダメな人なんですよ。動くことによって精神状態を保っているというか。だから、K.A.Zが骨折した時に考えたソロというのは、自分が動きたい時に動けるアウトプットのようなものでした。なので、コロナ禍になった時にソロのイメージが明確になったという感じですね。

では、FAKE?はどういうものになるんですか? もともとはINORANさんとのユニットだったけど、2005年6月発表のアルバム『MADE WITH AIR』を最後に彼が脱退し、ソロプロジェクトになったわけですが。

僕はFAKE?をソロプロジェクトとして考えたことはないんですよね。結成した当初の考えを今でも忠実に守っているので。音楽的な実験はしているけど、ひとりになったからってものすごく音楽性が変わったわけでもないし、“FAKE?とはこういうものだ”というのはずっと変わっていない。まぁ、FAKE?というブランドが出来上がっているからファンが期待するものってあるじゃないですか。その期待は裏切れないっていう。そういう意味では、ソロというほど自由度があるわけではないんですよ。だから、今回のソロはまったくの別モノですね。100パーセント自分なんで。

なるほど。だからこその“KEN LLOYD”名義なんですね。

“OBLIVION DUSTのKEN LLOYD”や“FAKE?のKEN LLOYD”っていうイメージがあると思うんですよ。もちろん好きだからやっているし、どれも自分なんですけど、それに対して今回のソロというのは、そういう自分を全部まとめて表現しているので、最終的にキャリアを振り返った時、“あぁ、KEN LLOYDってこういう人なんだ”と思ってもらえればいい…って、インタビューを締めちゃったけど(笑)。

ありがとうございました(笑)。じゃあ、KENさんにとっての音楽というのは?

僕にとっての音楽は、背中を押してくれたり、励ましてくれたり、人とコミュニケーションを取ったり、精神的に自分を支えてくれるものですね。ビジネスとしてはあまり見られていないというか。そこは下手なんで(笑)。若い頃はロックも聴いていたけど、The Cureとかのセンシティブなものも好きだったんですね。絶対的にメロディーがいいもの。メロディーの部分で言ったら、どこかメランコリックというか、心に染みるものが好きなので、そこが自分の中心にあると思うんですよ。切ないけどポジティブ、暗いんだけど明るい…みたいな。でも、その下にはちゃんと感情がある。

もともとプロを目指して音楽をやっていたわけじゃないですもんね。

プロのミュージシャンになろうとは思っていなかったですね。でも、どんなことにも始まりと終わりがあって、納得できる終わりを目指すために振り返って。そろそろゴールが見えてきたかなって。

ゴールって!? それは早いですよ。

いやいや、全然早くないですよ。昔は20代で音楽を辞めるってインタビューとかでも言っていたし。だからって来年で辞めるとかじゃないですけどね。でも、ゴールが見えているって大事だと思うんです。何が起こるか分からないから。K.A.Zの骨折もそうだし、コロナ禍もそうだし、それこそ地震が起きるかもしれないし。人生で何が起こるか分からないから、準備はしておいたほうがいいなって。そして、最後に残したもので評価されたいですね。“これがKEN LLOYDなんだ!”って。
KEN LLOYD
配信シングル「Sweetness」

OKMusic編集部

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