荒木宏文、夢咲ねね、安西慎太郎ら出
演!演劇の毛利さん-The Entertainm
ent Theater Vol.1『天使は桜に舞い
降りて』初日前会見&ゲネプロレポー

毛利亘宏(少年社中)が立ち上げた演劇ユニット“演劇の毛利さん”による舞台『天使は桜に舞い降りて』が2022年1月6日(木)からサンシャイン劇場で開幕した。
初日を前に行われた会見では、脚本・演出の毛利ほか、出演する荒木宏文、夢咲ねね、安西慎太郎が登壇。会見とゲネプロ(総通し舞台稽古)の様子を写真と共にお伝えする。
演劇の毛利さん-The Entertainment Theater Vol.1『天使は桜に舞い降りて』のゲネプロの様子
ーー初日を迎えるにあたっての心境を教えてください。
荒木宏文(以下、荒木):情勢的にも油断ができない状況の中、無事に初日を迎えられそうということで。今度は千秋楽を無事に迎えられるように、最後まで気を抜かずにしたいと思っています。景気の良い作品になるように、最後まで精進してまいりたいと思います。
夢咲ねね(以下、夢咲):あけましておめでとうございます。2022年の幕開けからこうして舞台に立つことができて、すごく幸せに思っています。サンシャイン劇場の舞台に私は初めて立つので、すごく光栄なことだな、嬉しいなと思っています。この作品が無事に初日を迎えられることが私も嬉しくて、まずは一人も欠けることなく、千秋楽まで走りきることを、自分も含め健康第一で頑張っていきたいと思います。
安西慎太郎(以下、安西):無事にここまで来れて。さっき荒木さんが言ったように、気を緩むことなく最後まで走り抜けられるように、カンパニー一丸となってやっていきたいです。とにかく「演劇の毛利さん」という作品はVol.1ということですが、Vol.0もあったので、Vol.2みたいな感じなんですよね。これからもしっかりと「演劇の毛利さん」というコンテンツが続いていくように、本作をしっかりとやっていきたいと思っています。
毛利亘宏(以下、毛利):自分の名前を冠したカンパニーということで、去年はVol.0と謳ってやらせていただいたんですけども、情勢も情勢でしたので、今年改めてスタートということで、第1回をやらせていただいています。まだまだ余談を許さない状況ではありますが、これから春に向けて桜が咲くように、しっかりとみなさんで盛り上げていきたいなと思っておりますので、よろしくお願いします。
脚本・演出の毛利亘宏
ーー「さくら」と「天使」が作品の題材。それらを選ばれた理由と思いを教えてください。
毛利:「演劇の毛利さん」と自分の名前を冠する以上、自分が演劇を楽しんで、俳優と付き合わせて楽しんで、お客さんを巻き込んで、一つのお祭りができればいいなと思って、楽しんで稽古してきました。
「さくら」は日本の象徴ともいえる花ですが、これを題材に今の時代をしっかり描き出したいなと思ったときにですね、天使という架空の存在ではありますけども、その眼差しを、常にどこかで見てくれたらいいな、我々が今、困難に立ち向かっている中、天使はどういった眼差しで僕たちのことをみているんだろうな。そんなことを考えながら、この題材を選びました。きっと天使が力強く私たちの背中を押してくださる、そんな仕上がりになっていると思います。ご期待くださいませ。
演劇の毛利さん-The Entertainment Theater Vol.1『天使は桜に舞い降りて』のゲネプロの様子
ーーご自身が思う、本作の見どころや注目ポイントは?
荒木:この作品は「演劇の毛利さん」ということで、毛利さんの脚本演出という、毛利さんの世界観を全面に出した作品。そこが他の作品との違いになっていますし、一番の見どころ、推しポイントになるんじゃないなと僕自身は思っています。毛利さんの価値観・世界観の中でプレイすることが面白く思いましたし、自分の価値観ではないところに挑戦していくことは、役者冥利に尽きるなと感じました。表現を精一杯努めましたので、毛利さんの脳内を見てもらえるんじゃないかなと思います。
夢咲:仰ったように、毛利さんの世界観が広がっていると思うんですけども、一つの大きなテーマがあって、そのテーマに向かってどう判断していくのか。私の役自身も作品を通して、悩んで、答えを出そうと、答えを導こうとする役なんですね。きっとこの役はお客様と同じ気持ちになれる、お客様の代表みたいな役なのかなと思いました。
物語もオムニバスで、4つの話が出てくるのですが、その話自体も楽しくて、飽きない。この一つ一つを全編見たいと思っちゃうぐらい。みなさん熱演されていますし、命を吹き込んでいると思うので、そこも楽しんでいただけたら嬉しいなと思います。
安西:天使がいるし、SFっぽい、ファンタジーっぽい感じなんだけど、ライトに見れる。無駄に難しいことを考えることもなく、スッと見れる。導入としては見やすい作品かなと思っております。また、毛利さんの世界観だけど、役者自身が誘導しなくはいけないところもあって、それぞれがいいコンディションで臨めているので、楽しんでいただけると思います。
あとは、自分が演じる「桜の精」の話をすると、日本という国でも桜はある種象徴とされていますけど、この作品でも「桜の精」はすごく象徴的になっているので、どのような象徴なのかなというのを終わった後に感じていただけたら嬉しいです。
毛利:豪華です。ワンシーン、ワンシーン、全員が主役といいますか。オムニバスの話もあるんですけど、一つ一つが本当に粒立って、最後には荒木さん演じるラウルに集まっていく物語。とても豪華に楽しんでいただけるんじゃないかなと思っております。僕も興奮しています。
演劇の毛利さん-The Entertainment Theater Vol.1『天使は桜に舞い降りて』のゲネプロの様子
ーー稽古の日々やカンパニーの雰囲気などを含めて、本作がどんな作品になっているか、教えてください。
安西:どんな作品というのは難しいんですけど、僕は熱くなるというよりも、温かくぽわっとなるような感じの作品かなと思っていて。終わった後に、価値観が劇的に変化するとかではなく、少しずつ変化する前の何かのきっかけを与えられる作品かなと思っています。
夢咲:天使を演じるということは、私は初めてで。天使って、なんとなく小さい頃から分かっていても、抽象的というか、掴めなくて、どういうものか言えないなと思うんですけど、毛利さんの中の天使像を毛利さんにいっぱい教えていただいて。お稽古場でも話し合いながら、すごく一つのものに向かっていくエネルギーが強い作品になっているかなと思います。
荒木:昨年稽古を始めたんですけど、コロナ禍で、コロナの終息を願って作った作品なので、コロナ禍であることを自覚した上で演劇を準備していました。毛利さんが戦隊シリーズなど、シーンごとに完結できる話を作られていたからこそ、ワンシーンワンシーン、その出番の人たちが役目と責任を持って表現して、オムニバスで続けることができたと思います。稽古場でも、誰がどこをやるか明確なので、密になることもなく進むことができました。
この作品の見どころは、毛利さんが得意としているものを、毛利さんが書いて演出したからこそ、一つにまとまっている。舵取りが一人であることが、脳内で作られた世界観を提示することを、迷わずに進められた要因じゃないかなと思っています。
演劇の毛利さん-The Entertainment Theater Vol.1『天使は桜に舞い降りて』のゲネプロの様子
ーー最後に一言お願いします!
毛利:ここにきてまた不穏なニュースが流れてきてはおりますが、この作品を作ろうと思った衝動が「しばらく花見してねぇな」ということでした。2年間、桜の下で酒飲んでいないなという気持ちから始まった作品でして。「今年こそは満開の桜の下で語り合いたいよね、酒飲んで騒ぎたいよね」という願望と、ここから人々が再生というか、関係をもとの密なものに変わっていくようなきっかけになれば幸せだなと思っています。
やっぱり演劇はステージの上からお客さんにダイレクトにーー感染対策はとってはいますがーー、密にダイレクトに伝えるものだと思っています。そういう風な時代に早く戻れるように、こちらも頑張っていきますので、皆さんも演劇というものをこれからも愛していただければなと心から思っています。
演劇の毛利さん-The Entertainment Theater Vol.1『天使は桜に舞い降りて』のゲネプロの様子
演劇の毛利さん-The Entertainment Theater Vol.1『天使は桜に舞い降りて』のゲネプロの様子
初日を前に行われたゲネプロ(総通し舞台稽古)を見た。

舞台は、人間が死に絶えようとする絶望に満ちた世界。ラウムとクロセルという二人の天使が、花が咲かない桜の木の下に舞い降りる。「人間に『再生』の価値があるか確かめよ」と“かみさま”に命じられた二人は、そこで桜の精に出会う。「僕には夢があります。また僕の周りに人間たちがたくさん集まって笑いあってほしい」と話す桜の精は、桜にまつわる数々の「物語」を見せ始める。
坂口安吾『桜の森の満開の下』、梶井基次郎『櫻の樹の下には』、小泉八雲『十六桜』、歌舞伎『義経千本桜』という4つの物語。どこまでも愚かで美しい人間たちの「絶望」と「再生」の物語を通じて、導き出されたこととはーー。
演劇の毛利さん-The Entertainment Theater Vol.1『天使は桜に舞い降りて』のゲネプロの様子
演劇の毛利さん-The Entertainment Theater Vol.1『天使は桜に舞い降りて』のゲネプロの様子
舞台中央にそびえ立つ、大きな桜の木。一度も場面転換することなく、その桜の木の下で、桜にまつわる話がオムニバス的に展開する。彩豊かで華やかな衣装に身をつつみ、時に歌やダンスを交えるポップな世界観ではありながら、「絶望」「人間」「正義」など、思わず気後れしてしまうようなワードを真正面から投げかけ、考え、導いていく。そのコントラストが面白い。
荒木が演じるラウル、夢咲が演じるクロセル、安西が演じる桜の精が物語の軸をつくるが、4つの物語に出てくる登場人物も実に個性的で、それぞれに見せる場面が用意されている。随所にアドリブと思しきやりとりも垣間見られ、俳優たちが舞台を楽しんでいることが伝わる。
上演時間は約2時間(休憩なし)。「人間に『再生』の価値があるか確かめよ」という大命題に向け、暗澹たる気持ちになったり、いろいろグルグル考えさせられたりもしたが、見終わった後にはなんだかんだ「あ〜今年こそ花見したいなぁ〜」なんて思ってしまう。観劇始めにぜひご覧いただきたい。
取材・文・撮影=五月女菜穂

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