浦島坂田船「今日という日を迎えられ
て幸せ」 荒波を乗り越えcrewと共に
夏ツアーを完走、幕張メッセ公演をレ
ポート

浦島坂田船 SUMMER TOUR 2021 ~甘い∞密のような▽をしない?キミの放課後はボクのモノ▽無限大の▽STARTぉ☆~

2021.12.28 幕張メッセ国際展示場9・10・11ホール
当たり前が当たり前ではなくなってしまったコロナ禍でのツアー完走。浦島坂田船とcrew(浦島坂田船ファンの呼称)は、心をひとつに大きな波を乗り切ってみせた。
うらたぬき志麻となりの坂田。センラの4人からなるボーカルユニット・浦島坂田船が開催したライブツアー『浦島坂田船 SUMMER TOUR 2021 ~甘い∞密のような▽をしない?キミの放課後はボクのモノ▽無限大の▽STARTぉ☆~』。“学園”をテーマに7月から行った夏ツアーだったが、9月に千葉・幕張メッセ国際展示場9・10・11ホールで開催予定だったツアーファイナルは、新型コロナウイルス感染拡大の影響により12月28日に延期に。相当なもどかしさや葛藤を抱えてきたであろう浦島坂田船にとっても。想いを募らせ、足を運んだcrewにとっても。2021年12月28日の幕張メッセ公演は特別なものとなったに違いない。
セレブな学園をイメージさせる豪華なステージセットに圧倒され、オープニング映像で4人のスクールライフにドキドキさせられていると、いよいよ制服姿の4人が登場。「今日は素敵な思い出を作りましょう!」と言ううらたぬきの第一声にも高まった1曲目は、2021年7月にリリースしたアルバム『L∞VE』の始まりを告げる、青春感マックスな「世界で一番好きな名前」だ。会場を埋め尽くす1万人のcrewは、声を出すことはできないけれど、目の前に確かに4人がいる!という感動が、メンバーカラーを灯したペンライトの揺らぎからひしひしと伝わってくる。
浦島坂田船

浦島坂田船

「Save Me」の“僕だけを見つめて”“僕だけを愛して”というフレーズも。「最強Drive!!」の“俺たちがついてるんだ”というフレーズも。生で浴びるって、こんなにも幸せなことなのか。
「SHOW MUST GO ON!!」では、花道を通ってセンターステージへと進み、全方位奥のほうまで客席を見渡して、笑顔で手を振りながら歌う4人。おかげでどの座席からでも彼らを近くに感じられるし、「Dreamer」でのうらたぬきの「ただいま!」にもグっときてしまう。
「Tokyo Deadman's Wonderland」のがっつり骨太バンドサウンドもよく似合う志麻。「荒波」の反骨精神に満ちたとなりの坂田。。「Sugary」のあまりにスタイリッシュなセンラ。“大好き”“愛しているよ”と、「Colors」で真っ直ぐな愛を貫くうらたぬき。さらには、歌のかけ合いもラストポーズも息ぴったりだった志麻✕センラの「青空ピカソ」。旗あげゲームやペンライトによる前後左右のビッグウェーブでも楽しませたうらたぬき✕となりの坂田。の「生涯ライバル」。ソロ曲やコラボ曲、その後再び4人がそろってコミカルなダンスを披露しながら、“ちょっと待ってよ!”からの歌詞を“ホントにファイナルなの?”にアレンジした「SWEET TASTE PRESENT」にしても、『L∞VE』に収録のナンバーはライブ映えしすぎる。
浦島坂田船
ファイヤーボールがステージ前に豪快に噴き上がる中、マイクスタンドを使ったパフォーマンスも華麗にきめた「明日へのBye Bye」。うらたぬき&センラ、志麻&となりの坂田。が手をつないだ姿、4人そろっての“好きだよ”に心拍数が跳ね上がった「年に一夜の恋模様」。夢のような時間は続く。
幕間映像では、聖L∞VE学園を牛耳る“ハンサム4”のメンバーとして、『ハンサム夏期集中講座』に臨んだ4人。学校にある道具でブチ切れている彼女を笑顔にするという、難易度の高い物ボケだ。彼女判断で一番のハンサムボーイと認定されたとなりの坂田。含め、結局全員が彼女からビンタを食らったものの、それぞれの突飛な発想や切り返しに、マスクの下で笑いをこらえるのが大変じゃないか。毎度のことながら、浦島坂田船の幕間映像はだいぶ面白い。
うらたぬき
志麻
かと思うと、モノトーンコーデでまとめた衣装に着替えた4人は、不安定な愛を鮮烈に描いた「シザーナイフ」、嫉妬をテーマにした「フランマ」、柔らかな歌声で彩る「月夜」と、曲ごとにガラっと異なる表情で魅せていく。
「みんな、プレゼント欲しい?」とうらたぬきが前振りをした「プレゼント」からのたたみかけがまたすごかった。4人そろってセンターステージにも現れた「ARK」。個別にトロッコに乗り込み、客席後方まで通路を進んで、もったいないくらいたっぷりとファンサした「最強ライバル」「Shouter」。切れ味鋭いラップで海賊たちのワイルドな躍動を感じさせた「PIRATES A GO GO」。攻撃的な愛を歌で表情で動きで表現して、それぞれが口にするキラーフレーズでもしびれさせた「ワナビークインビー」。高揚しすぎて、crewの感情が追いつかないのではないだろうか。
となりの坂田。
センラ
「2020年は春ツアーが数か所しかできないまま中止になり、予定していた夏ツアーもできず、みんなと会えないことが本当に悔しかった。だからこそ、今こうしてみんなと一緒に過ごせることがとても嬉しいし、今日という日を迎えられて幸せだなと思います。ありがとう。こんな状況下だから、落ち込んだら泣いたっていいし、負けたっていい。でも、みんなには俺たちがいる。あのときの痛みを忘れなければ、きっと運命も変えていける。浦島坂田船という光がみんなの背中を押すから。ついてきてくれ!」
志麻、となりの坂田。、センラの想いも背負ったうらたぬきの決意と覚悟の言葉が導いたのは、「ROULETTE」。どんな困難にも果敢に立ち向かっていく4人の凜とした強さ、美しい歌声は、救いをもたらす。
そして、ときめく歌声と軽やかなステップで、恋する“君”=crewへの“好き”を届けた「シンデレラステップ」。25曲にも及んだ本編は、あっという間に終わりを迎えた。
4人が再び個別トロッコに乗り込んでアリーナ通路をぐるりと巡った「Sailor's High」で始まった、アンコール。涙あり笑いあり、メンバーそれぞれの言葉に、crewになかなか会うことができなかったときの苦しさや寂しさ、ようやくまた会えるようになった喜びや感動、尽きない愛と感謝がにじむ。浦島坂田船のことを好きで本当によかった。crewは、あらためてそう感じたことだろう。
浦島坂田船
夏にぴったりな「恋色花火」を、年の瀬に聴くのも乙なもの。幸せに満たされながらも、4人とバンドメンバー、ダンサーが横一列に並び、いよいよ終わってしまうのか……と一抹の寂しさを覚えていると、なんとありがたいことに「SAILING!!!!!」へ。彼らはやっぱり、“最初で最後の最高のメンバー”だ。うらたぬきの“後悔させねぇから ついてこいよ”も、志麻の“俺たちを見つけてくれて ありがとう”も、となりの坂田。の“君さえよければ いつでも一緒に笑おう”も、センラの“感謝は形で返していくからね”も、大切に胸に刻んで。“来年も再来年も笑って”いられますように。
いろいろあったけれど、終わりよければすべてよし。2021年、少し遅めの夏に見た輝きは、きっと忘れない。
2022年2月から4月にかけて、全国19か所21公演に及ぶ全国ツアー『浦島坂田船 Spring Tour 2022 ~令和浪漫~』を開催予定の浦島坂田船。この先また、小さい波や、時に大きい波が押し寄せて航海を阻もうとしても。浦島坂田船の4人とcrewなら必ず乗り越えて、胸躍る冒険を続けていくに違いない。

文=杉江優花 撮影=小松陽祐(ODD JOB)、岡本麻衣、堀卓朗(ELENORE)
※文中「▽」は白抜きハートマークが正式表記
※「Shouter」の「e」はウムラウト付きが正式表記

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