IVVY、幸せの結晶みたいな景色を胸に
刻みTOSHIKIを見送った『PIE5E』リリ
ースツアー東京公演レポート

『PIE5E』リリースツアー

2021.12.16 LINE CUBE SHIBUYA
IVVYで過ごした時間は僕の中では忘れられないものなので、みなさんも記憶のどこかにその時間が残って、いつかまた思い出してもらえたらなと思います」(TOSHIKI)
TOSHIKI
2ndフルアルバム『PIE5E』リリースに合わせて大阪、名古屋、東京でリリースパーティー『IVVY PIE5E~Release party~』を開催したIVVY。今回行なった公演は、年内でグループを卒業するTOSHIKIが参加する最後のリリパとなったため各地とも大盛況。なかでもグループ史上最大キャパとなった東京・LINE CUBE SHIBUYAで 12月15、16日の2日間にわたって行なった公演では、その最終日、卒業公演を目前に控えたTOSHIKIの特別ソロステージが用意されていたり、来年からMASAKI、KEY、TAICHIという新メンバー3人が加わって7人編成となる新体制のIVVYを新衣装&新曲「Swallowtail」とともに初披露するというサプライズ尽くしの特別公演となった。
暗転した場内。ニューアルバム『PIE5E』の1曲目「L.O.P(Skit)」をSEにHIROTO、YU-TA、TOSHIKI、KENTO.i、TAIYUがスタンバイするとブルーのレーザービームがステージめがけて走る。オーディエンスが揺らすペンライトで白く発光する客席。舞台が明るくなると、真っ白いスーツに身を包んだ5人がすぐさま視界をジャック! 冒頭からアルバムのジャケットとそっくりそのままの世界観をステージで再現し、彼らはアルバム2曲目の「Lollipop」を歌い出す。間奏で、TAIYUが自分を取り囲む4人をリズムに合わせて次々とキックして倒していくワイルドなアクトが決まったところで、次はイントロからレーザーが灼熱の赤色に変わって「Light on fire」へ。冒頭からアグレッシブモードのIVVYを畳み掛ける。歌詞の《まだ見ぬ先》を目指して、サビのラスト、高身長の5人が織りなす一斉ジャンプで、現IVVYならではのパフォーマンスの破壊力を見せつける。
HIROTO
さらにそこに、いつもはライブ後半にもってくるパーティーチューンの鉄板曲「We like party」を投下。レーザーは鮮やかなレインボーカラーに色を変え、メンバーがフロントに横一列に並び“ドライブダンス”をオーディエンスみんなと踊りだすと、たちまち場内は楽しい開放感に包まれていく。TOSHIKIは卒業するけど、今日はみんなで楽しい思い出を作ろう――そんなメッセージを感じたこの日のオープニング。
YU-TA
メンバー紹介が始まると、TOSHIKIの挨拶がまさかのカミカミで、他のメンバーからはいくらTOSHIKIでも「それは早すぎだろ!」と突っ込まれ、場内の空気は一気に和んでいった。HIROTOが、100人レベルから始まったリリパが「今回は僕たち最大規模のキャパでのツアーになりました」と言って集まってくれた人たちに感謝の気持ちを伝え、次はちょっと懐かしい爽やかなJ-POP路線の「One love」へ。《初めてで最後の恋を僕としよう》と歌うこの曲から、胸キュン&せつな系のラブソングブロックが幕開け。アルバムにも収録されているHIROTO作詞・作曲による渾身のバラード「Everlasting Story」を、持ち前の歌唱力の高さでたっぷりと愛する気持ちをストレートに届け、次いで披露したのは「冬空のクリスマス」。様々な質感をもったエアリーなファルセットが場内に柔らかに響き、それはまるで、ふっわふわの真っ白い雪のベールが場内を包みこんでいくようで、夢のなかにいるような心地になった。白い衣装も相まって5人の王子様感が高まり、観客たちはそんな彼らにうっとりしながら幸せな気持ちで満たされたことだろう。続いてHIROTOのローボイスを使ったタイトルコールから、聴こえてきたのは「unfair love」。“愛”の苦しみをせつない表情を浮かべて歌い上げるこの曲では、大人なIVVYが露わになり心を締め付けられた。
KENTO.i
しかし、次のトークタイムが始まるとさっきまでのうっとりムードから一変。HIROTOの「今日に向けてなにか(身体の)ケアをしましたか?」という問いかけに、真っ先に「逆に愛犬のマッサージをしました!」と溌剌とした笑顔で返すTAIYUがいたと思えば、てんとう虫談義を展開する“てんとう虫伝道師”のKENTO.iがいたり、次のブロックで披露する新曲「Swing」の振りのレクチャーをする人を決めるためにいきなりジャンケンを始めたり、一気に自由でゆるゆるな時間がやってくる。
TAIYU
そして、このツアーで生まれたTOSHIKIの名言「楽しむ勇気、ありますか?」という呼びかけから、その自由な雰囲気を引きずったまま明るいポップミュージック「ALL ME」へと流れ込む。HIROTO、YU-TA、TOSHIKIの3人がサビをユニゾンで歌うという合わせ技で客席に笑顔が弾け広がり、次のヒップホップ全開の「Rock city」ではKENTO.iがギラついた表情を浮かべ、オラオラ系のラップをかます。
眩しいほどのレーザーが飛びかうなか、サングラスをかけた5人がフロントに並び、始まったのは「Swing」。さっきレクチャーを受けたばかりの振りをメンバーと一体となって観客も踊り出す。バブル時代のクラブを思わせる光景が広がり、この曲をパラパラダンスで振り付けした彼らの遊び心に思わずクスッとしてしまった。
TOSHIKI
ステージと客席の一体感を「A:live」でさらに加速させ、会場のボルテージが爆発的に高まったところで、舞台からTOSHIKI以外の4人がいなくなる。舞台に一人残ったTOSHIKI。「ここからは僕のソロステージになります」と言って、TOSHIKIが続けて話し始めた。「IVVYがなければいまの僕はいません」と前置きし、IVVYとしてみんなで共有していた夢と自分自身が描く想いが変わってきたため「いつかは決断しなきゃ」というところから、今回の卒業を自ら決めたことを集まってくれたオーディエンスに改めて説明。「次に歌う曲は僕の唯一のソロ曲になるんですが、この歌詞にある通り、“答え”は一つじゃない。大事なのは自分がどういう決断をしてそこに進んでいくかだと思います」と思いの丈を打ち明けたあと、自身のソロ曲「ONE」をパフォーマンス。ファルセットを使いながら、一つひとつの言葉を丁寧に届けるように歌唱していたTOSHIKIの姿が印象的だった。
「ありがとう」という言葉で曲を締めくくると場内は暗転。卒業前にTOSHIKIのソロプレゼントというサプライズアクトに大満足のオーディエンス。客電がつくと、舞台にはさっきまでと雰囲気がガラッと変わった黒✕赤の力強いユニフォームルックな衣装に着替えたHIROTO、YU-TA、KENTO.i、TAIYUに加え、なんの予告もなく3人の新メンバーがオンステージ。新メンバーのまさかの登場、しかもそのメンバーが3人もいたというダブルの衝撃に、ペンライトを振るのも忘れてステージに釘付けになるオーディエンス。そんな観客を前に7人編成となった新体制のIVVYはいきなり新曲「Swallowtail」をパワフルに踊りだす。ボーカル、ラッパーも増え、声もダンスパフォーマンスも視覚的な迫力がパワーアップした新体制のIVVY。そのステージングに驚きのあまりため息がもれる。「来年からの新体制で1曲披露させて頂きました。じゃあ新メンバー、自己紹介を」というHIROTOの言葉に続けて、「ボーカル担当、広島出身のMASAKIです」、「ラップ&ボーカル担当、東京出身、日本と韓国のハーフ、TAICHIです」、「ラップ担当、大阪出身のKEYです。最年少です」と新しく加わった3人がファンの前で初めてIVVYの新メンバーとしての挨拶を行なった。
HIROTO
YU-TA
思いがけないTOSHIKIのソロ、新体制IVVYを新曲とともに披露というサプライズ続きの展開に高揚しまくる場内。照明が再び暗転し、「R.O.A.D(skit)」が流れたあと、黒い衣装に着替えて現体制のIVVY、5人が再び登場。卒業するTOSHIKIがセンターにポジションをとったところで、アルバムのリード曲「Wanna be」をアクトしだすと、声と音とパフォーマンスで場内に華やかな空気が満ちていく。と思ったら、突然音がストップ。KENTO.iが「これは演出じゃないですよ」とすぐさま説明しハプニングが発生したことを伝え、この後もう一度頭から「Wanna be」をパフォーマンスするという嬉しいハプニングにファンは大喜び。キュートに見えるが想像以上にハードなのだろう、カレーを作る“クッキングダンス”を連続で披露することになり、「“Wanna be”のダンス、連続はキツイわ~」とTAIYUが息を切らしながら思わず本音を漏らしたところはご愛嬌。息が落ち着いたところで、HIROTOから2022年に新体制IVVYのお披露目ツアーを開催することが伝えられると、場内は盛大な拍手が沸き起こった。
KENTO.i
TAIYU
そして、メンバーの挨拶へ。YU-TAは「後悔はさせない自信があります。みなさんを幸せにする。その信念は何があってもブレることはないので。今後もIVVY、TOSHIKIを応援してください」と熱い想いを伝えた。TOSHIKIは「寂しい気持ちもあります。でも、決めたことだし」と言ったあと、ひと呼吸置いて「IVVYを応援してくれて本当にありがとうございます」と深々と頭を下げると場内は温かい拍手に包まれた。「次でラストになります。5人の想いを書き綴った曲で、僕たちの想いをありのままに届けます。受け取ってください」というHIROTOの言葉のあと、最後にメンバー5人で作ったバラード「PIE5E」を言葉を噛みしめるように想いのすべてをのせて歌い上げる。そのメッセージを受け取ったよといわんばかりに、オーディエンスはリズムに合わせてゆっくりと手を左右に動かし、どんなに離れていてもIVVYとTOSHIKI、会場の全員はつながっている。そのつながりを確認するような、目には見えないかけがえのない景色を作ってライブは終了した。
歌い終えた5人はステージ上で笑顔で肩を組んだり、手をつないだりしてじゃれあい、TAIYUを道連れに最後の1秒まで子供のようにはしゃぐ姿を見せてくれたTOSHIKI。オーディエンスは、そんな幸せの結晶みたいな景色を胸に刻み込んで、笑顔に包まれたままTOSHIKIを見送ったのだった。
2022年、IVVYは7人体制で新たなスタートをきる。新体制お披露目ツアーで新年の幕開けを飾る彼らを、期待して待っていてほしい。

取材・文=東條祥恵 撮影=MIHARU

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