VTuber/バーチャルタレントシーンを
牽引する「にじさんじ」とは何だ?
人気動画で振り返る

現在のVTuber/バーチャルタレントシーンが活況を呈している。ANYCOLOR社のにじさんじとカバー社のホロライブがいまのシーンを強烈に牽引し、日本国内外で注目を集め続けているが、今回はANYCOLOR社のにじさんじについて説明とおすすめ動画などをお伝えしたいと思う。
にじさんじは2021年12月現在で日本国内で100人以上のライバーを抱え、海外拠点でも中国、韓国、インドネシア、英語圏に向けたライバーも90人を超えるライバーを擁する、日本はおろか世界的規模にまで発展したVTuber/バーチャルタレント事務所である。
筆者は2018年8月31日に開催された『輝夜月 Live @Zepp VR"Beyond the Moon"』について、ここSPICEにて執筆させてもらったが、2018年8月からはシーンは大きく変化した。
当時はまだ駆け出しであったANYCOLOR社(当時のいちから社)とカバー社によるにじさんじ/ホロライブが大きく影響力を伸ばし、この二大事務所の後を追うようにしてVTuber/バーチャルタレント事務所が次々立ち上がり、または事業として手掛ける企業が増えてきた。
プレイヤーが数多く登場したことにより、数少ないリスナーをさらに奪い合う、あるいは共存するようにしてシーンはあった。だが、2020年に起こったコロナ禍によって生まれた巣ごもり需要が大きな影響を及ぼすことになった。
外から内へと生活様式の重心が動いたことにより、国内外関わらず多くの需要はアウトドアからインドアへと移行していくことになる。テレビ番組への注目が強まる一方で、ネットでの動画や生配信の視聴も強く好まれるようになった。こうして視聴者層・ボリューム共に一気に拡がり、インターネットカルチャーに新たな刺激が加わり、こういった大きなムーブメントへと波及していくことになった。
VTuberといえば、アニメキャラクタールックなビジュアルがまず目を惹くところだろう。にじさんじ・ホロライブではLive2D社によるイラストを動かす2Dモーフィング技術で本人を表現し、大型企画やライブステージでは3Dモデルを使用してパフォーマンスしている。また、にじさんじでは社内独自のアプリケーション「にじ3D」を使用し、通常の配信でも3Dモデルを表現して配信を放送することもある。
彼らにとっての主戦場となるのが生配信/生放送。朝・昼・夜のいかなる時間帯でも放送されており、にじさんじに所属する方々はその中心にいることも多い。
配信のネタになるのはゲームを使ったゲーム実況、カラオケ音源を使用した歌配信、日々の生活をネタにした雑談、それだけに留まらず映画・アニメなどを視聴者と同時にみる視聴配信や、VTuberがオリジナルで創作したストーリーを演じる演劇・朗読配信、ASMR機器を使用したASMR配信などなど、多岐に渡って放送される。
所属する彼・彼女らは、視聴者(リスナー)を笑顔にするエンターテイメント精神に溢れた者ばかりだ。その方向性は別々であり、ゆえに多彩な色合いとなって多くのリスナーを産み出していくことになる。
字数が限られたなかにあるため、1人1人を十全に紹介することはできないが、ここでは公式チャンネルを中心に、いくつもの名シーンを振り返りながら、彼らがこの3年ほどで生み出してきた笑いと感動に満ち溢れたシーンをいくつかお届けしていこう。
【爆笑】現役女子高生の「チャリに乗った話」が面白すぎる【漫画】にじさんじ☆ぷちさんじ【マンガ動画】【アニメ】VTuber すべらない話
親族から自転車をいただき、意気揚々と通学した鷹宮リオン。通学中からやたらと周りからの視線が気になるところで...お嬢様として普段生活している彼女から「自転車に乗った」というだけでも笑ってしまう同僚らだが、秀逸すぎるオチにより大笑いを引き起こした。
【4連休】名曲爆誕!?喧嘩してたらフロアぶち上がりな件www【APEX】【かなちーくず】【ゲーム実況】【にじさんじ / 公式切り抜き / VTuber 】
にじさんじ元一期生の勇気ちひろ、元にじさんじゲーマーズ叶、葛葉。FPSゲーム『Apex Legends』を数多くプレイし、プロプレイヤーやストリーマーらと鎬を削るカジュアル大会にも数多く出場してきた3人であり、チーム「かなちーくず」としても多くの配信を届けてきた。
小気味よいトーク内容は、そのほとんどがその場の雑談。ゲームをしながらしゃべりつづけてリスナーを常に笑わせ、時には鮮やかなプレイで魅了してみせる。3人が揃い踏みすると、そのトーク芸は常にキレキレであり、多くのファンを生み出した。
【ChroNoiR】ゲームで盛り上がってる叶たちをみていた葛葉が思わず…【漫画】にじさんじ☆ぷちさんじ【マンガ動画】
葛葉の魅力といえば、やはり生配信中のトーク力。先の動画でも見れるように、豊富なボキャブラリーからとんでもない発想で口に出される言語センスは、VTuberのみならず多くの配信者からも注目される。だが、同僚からは「人付き合いが苦手」「内気で陰キャ」というエピソードが数多い。ユニットChroNoiRとして共に苦楽をともにしてきた叶が、そんな葛葉の内気エピソードを語った。

【超難問】樋口楓の食レポが意味不明すぎて大波乱!?
スタッフが買ってきた食べ物を食レポし、回答者が当てるだけの、いたってシンプルなゲーム。これは元動画の概要欄にある説明である、説明されるまでもないシンプルなゲームのはずだが、この動画を見始めればお分かりのように非常に超難問である。天然なのだろうか、ボケなのだろうか、いずれにせよあなたは当てられるだろうか。
既読が付く前に取り消せ!誤爆撤回チキンレース【月ノ美兎 VS 剣持刀也 /にじさんじ】
「友人に向けて絶対見られたくないような内容を捏造して送信し、友達に見られる前に送信を消す」というヨーロッパ企画さんの動画を参考にした誤爆撤回チキンレース。元二期生の剣持刀也とともに、にじさんじ内の同僚らに次々とメッセージを送っていく。メッセージの内容は本当だったらにじさんじ内を揺るがしかねないような内容で、果たして同僚らが気づく前に消すことができるか?
ここからは、2Dとしての配信のみならず、3Dボディとなって活動する彼らをピックアップする。この1年でテレビ番組顔負けなバラエティ企画に、素晴らしい音楽ライブを数多く手掛けてきたにじさんじ。もちろんここで紹介するのも、その一端にすぎない。
第一回 Vtuber女子 ローション相撲大会
2021年1月1日の元日、1年の始まりとなる日に投稿されたのは女性陣によるローション相撲大会だ。にじさんじの中でも人気を集めるメンバーが一堂に集まり、まるでお笑い芸人のような企画を楽しむ8人。服や身体を汚したくない一心で本気で相撲をすればするほどにコミカルに見えてくる、本来の魅力を一切失わない爆笑企画となった。
【漢の企画】第一回にじさんじローションカーリング選手権 1st ROUND
その6か月後、7月には舞元啓介の音頭で6人の男性ライバーがローションカーリングに挑戦。スタジオに思い切ってローションをブチまけ、運営との書類にサインし、覚悟を決めて企画へと臨む6人は、果たして止まることができるのだろうか。こういったおバカでくだらないお笑い企画にも体当たりで臨もうとするのもにじさんじの良さだ。
3Dモデルはモーションキャプチャシステムの基に表現されているわけだが、月日を追うごとにそのクオリティは高まるばかり。プルプルと動く姿、勢いよくコケてしまい笑ってしまう顔にいたるまで、細かいところまで表現している。
【超とき宣】夢へ向かって前ならえ!踊ってみたコラボ♡【相羽ういは/にじさんじ】【歌ってみた】
にじさんじの誇るVR/AR技術は、3D空間という場所を飛び越え、自分たちと同じ場所(次元)での表現をも可能にしている。ここではバーチャルアイドルの相羽ういはと女性アイドルグループ・超ときめき宣伝部(とき宣)が踊ってみた動画を紹介したい。
YouTube・TikTokで相羽がとき宣の「すきっ!~超ver~」をカバーしたこときっかけに実現したコラボなのだが、見ての通り、3Dとなった相羽がとき宣のいるスタジオに出現したかのように見える。等身も両者ともに近しく、ダンスパフォーマンスも3Dモデルのトラッキング技術もバッチリ、あまりにも自然にコラボしているのが分かるだろう。
カワキヲアメク (cover) レヴィ・エリファ [Live Video] from #リアルタイムARライブ
最後に、2021年8月末にニコニコ動画や全国の映画館をとおして開催された『にじさんじ“LIGHT UP TONES”』を紹介しよう。
「バーチャルライバー✕生バンドの融合によるリアルタイムARライブ」となったこの公演は、360度どこからでもカメラでおいかけ、AR技術を十二分に発揮して、3Dモデルより立体的に映しだすというかなり挑戦的な試みを行なった。
生バンドの演奏に合わせてパフォーマンスする姿をリアルタイムでトラッキングしつづけ、「いまここにいる」存在として彼らを力強く、鮮烈に表現することに成功した。その衝撃はこのライブ映像からもうかがい知れるだろう。
数ページにまたがって紹介させていただいたが、にじさんじの魅力はまだまだこれだけには留まらない。多くのコンテンツとのコラボレーション企画を展開し、その存在感はもはやPCやスマホの画面内で収まるレベルではなくなってきた。
インターネットの動画プラットフォームでのみ活動する存在から、インターネットという枠組みを飛び越えていく縦横無尽に活躍する存在へ、彼らの活動はVTuberという在り方を更新していきそうだ。
文:草野虹

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