【2020年12月】KALMA、Hakubi、ヤユ
ヨ。若き血潮が震え立った『スペース
シャワー列伝 第144巻 ~祭燦再始の
宴~』

2020年12月20日。144回目を迎えた『スペースシャワー列伝』。この夜、会場のShibuya WWW Xに集結したのは、KALMAHakubiヤユヨといった、次世代を担う新進気鋭のバンド3組。

昨今のコロナ禍の中、厳重な審議を得て、有観客ライブへと踏み切ったこのイベント。結果は、大成功のうちに終わった。この記事では、その貴重な宴の一部始終をレポートする。

Hakubi

まずは、この日一際、強烈なインパクトを与えた「Hakubi」のライブから。片桐(Vo&Gt)、ヤスカワアル(Ba)、マツイユウキ(Dr)による京都発のバンドで、2019年までのライブサーキットフェスでは、軒並み早々の入場規制がかかるほどの人気を誇り、現在に至る。
そんな彼女たちのライブは、片桐の弾き語りパートで始まる『光芒』から口火を切った。

「何かひとつ 確かなものを探している」

歌詞中のこの一節は、特に胸に突き刺さる。

そして、間髪入れず、アッパーチューンである『ハジマリ』へと突入。サビのパートでは、オーディエンスのほぼ全員が無言で拳を突き上げており、コロナ禍における有観客ライブのあるべき姿を、ファンたちは自然と体現しているようだ。

それに答えるように、片桐は曲間で、こう語る。

「迷った人もいると思う。迷って来なかった人もいると思う。でも、ライブができてよかったと思う」

そして「僕たちは 光を目指して進む」といった歌詞を歌い上げることで、さらにオーディエンスたちと一体化していく。

続く『辿る』では、片桐もステージ上を行き交い、「握り拳をくれるか!」と、オーディエンスを煽った。

「忘れるんじゃないか 消えてしまうんじゃないか」

涙腺を潤ませている観客が、ふと、視界に入る。“メッセージ性”という言葉だけでは収まりきらない、片桐の、そして3人のバンドサウンドによる、音楽表現は止まらない。

4曲目では、新曲『アカツキ』を披露し、ラストは『mirror』で締めくくった。

「いい日になりますように」

最後にそう叫び、バンド全員で、キメの一音を何度も繰り返す。そして、全てをステージに残したかのような抜け殻のような彼女たちは、丁寧にお辞儀をし、その場を去った。

ヤユヨ

2組目は、2019年結成の関西を中心に活動する「ヤユヨ」。
リコ(Vo,Gt)、ぺっぺ(Gt,Cho)、はな(Ba,Cho)、すーちゃん(Dr,Cho)の4人からなるヤユヨは、メンバー全員がなんと現役女子大学生。「ジャンルに縛られずに音楽がしたい。日常を音にしたい。音楽は永遠に楽しい!」が、モットーのバンドだ。

リコの高らかな歌声が鳴り響き、重厚なサウンドが覆いかぶさる『七月』は、ライブのスタートにぴったりな楽曲だった。アメリカン・カントリーチックなリズムアレンジは、女子大生たちの発想とは思えない引き出しの多さを伺わせる。

そして、特筆したいのは、バンド創始者であるぺっぺのギターワーク。これまた、若いのに熟練のブルースマンが弾くようなフレージングを奏で、楽曲はゆったりと壮大に流れる。

「はじめまして。大阪のヤユヨです。東京でのライブは始めてで、ドキドキ・ワクワクしています」

と、このイベントへの意気込みを伝えるリコ。

ギターを置き、オンヴォーカルとなった『いい日になりそう』は、冒頭から大熱唱。Aメロ、Bメロ、サビと全て違うリズムアレンジの上に、ぺっぺの軽やかなギターが縦横無尽に響き渡る。ラストナンバーの『今度会ったら』は、頭打ちのドラムからスタートし、オーディエンスからは手拍子が巻き起こった。

「2021年また会いましょう、絶対いつか会いましょう。今度会ったらまた話そうよ!」

と、笑顔で伝えるリコ。軽やかなシャッフルビートに、エモーショナルなギターソロが乗る。どこか懐かしく、ハッピーな雰囲気のこのナンバーを持ってして、彼女たちの終始笑顔なライブは、マスク越しにも笑顔で答えていることが伺える、オーディエンスたちと共に、時が過ぎた。

KALMA

最後は、今回出演の中で唯一、男性のみで編成されたバンド「KALMA」。
畑山悠月(Vo.)、斉藤陸斗(Ba.)、金田竜也(Dr.)の3人からなるスリーピース・ロックバンドで、メンバー全員が2000年生まれ、北海道出身・在住。

畑山によるシャウト&ジャンプから始まる『デイズ』で怒涛のパフォーマンスがスタート。「ワン、ツー、スリー、フォー!」の掛け声から、軽快な青春パンクサウンドが鳴り響く。

「お前にも夢があって」の、一節からの盛り上がりぶりは、実に高揚感を得られ「ラ・ララ・ラ・ラララララー」といったコーラスパートは、とてつもなく一緒に歌いたくなる爽快感が放たれる。

ベースの斉藤陸斗による、直線的なダウンピッキングも、楽曲をリードする。四つ打ちのリズムが心地よい『これでいいんだ』のサビでは、メンバー全員で大合唱。声が出せる状況のライブであれば、オーディエンスたちも共に歌いたかったであろうことは、間違いない。

楽曲の後半では「自分次第だ!」を何度も叫ぶ畑山。そして「僕たちだけの日々」というフレーズで、バシッと締めた。

「スペシャ列伝は、高校生のころから、ずっと出たかったんです。本当に嬉しいです!」

とのアナウンスに、会場からは、拍手喝采。

さらにヒートアップする『くだらん夢』。向かい合わせになって弦楽器を弾くフロント陣のパフィーマンス、Aメロではギターを弾かず、歌に徹し、中盤では弾き語りパートも登場するなどなど。激情の青春ロックスピリットを、まざまざと見せ付けてくれた。

アンコール曲『blue!!』の演奏が終わった後、無人のステージには、出すに出せない声援の代わりに、惜しみない大きな拍手が送られた。

依然続くコロナ禍の中、出演者たちも明言するように、観客を有するライブを決行することは、相当な覚悟と準備が必要だったはずだ。ファンも、もちろん、それをわかった上での参加である。

今回のイベントは、出演者・スタッフ・オーディエンスがまさに三位一体となり、マナーとルールを
守った上で行われた有観客ライブの見本とも言えるのではないだろうか。

2021年における、ライブパフォーマンスの希望が、そこには、確かにあった。

セットリスト

<Hakubi> 1.光芒 2.ハジマリ 3.辿る 4.アカツキ 5.未発表曲 6.mirror <ヤユヨ> 1.七月 2.メアリーちゃん 3.いい日になりそう 4.ユー! 5.君の隣 6.さよなら前夜 7.今度会ったら <KALMA> 1.デイズ 2.ねぇミスター 3.これでいいんだ 4.僕たちの唄 5.逃げるなよ、少年! 6.くだらん夢 EN.blue!!

Hakubi

ヤユヨ

KALMA

公式サイト
https://www.kalma-official.com/
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【2020年12月】KALMA、Hakubi、ヤユヨ。若き血潮が震え立った『スペースシャワー列伝 第144巻 ~祭燦再始の宴~』はミーティア(MEETIA)で公開された投稿です。

ミーティア

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