オフ・ブロードウェイ ミュージカル
『キッド・ヴィクトリー』12/15開幕
 木村花代×吉沢梨絵オフィシャルイ
ンタビューが到着

2021年12月15日(水) ~12月26日(日)浅草九劇にて、オフ・ブロードウェイ ミュージカル 『キッド・ヴィクトリー』が上演される。
全役ダブルキャスト、「EAST」「WEST」2チームで上演される本作。このたび「EAST」チームで主人公の母を演じる木村花代、「WEST」チームで主人公が働く店の主エミリーを演じる吉沢梨絵によるオフィシャルインタビューが到着した。
同時期に劇団四季で数々のヒロインを演じ、退団後も様々な作品で活躍中の二人。在団中の互いの印象から俳優として劇団で得たもの、そして『キッド・ヴィクトリー』で演じるそれぞれの役柄や作品の魅力について語っている。

“観た後にきっと語り合いたくなる”作品です
ーーお二人は劇団四季ではどれくらいご一緒だったのですか?
木村:私は2010年まで13年間在団していました
吉沢:私は2009年までの7年間。花代さんには『マンマ・ミーア!』でデビューした時からずっとお世話になっていました。でも不思議なことに、共演したことはほとんどなくて…
木村:『コーラスライン』で、一回か二回だけですよね。基本的には同じ役を勉強することが多くて、絡むことはあまりなかったんです」
ーーお互い、どんなイメージでしたか?
木村:吉沢さんは歌手だったので、『マンマ~』のオーディションの時のプロフィール写真が凄くて(笑)。浅利(慶太)先生がぼそっと“あの子、面白いな”とおっしゃったのをよく覚えてます。諸先輩方にも“いいね”と言われて、褒められてどんどん伸びていった印象です。
吉沢:私は劇団というものがどういう場かよくわからないまま入って、皆さんに本当によくしていただきました。ロングランは体力的に大変で、気が付けば先輩方が腕をマッサージしてくださったり。
花さんは、堅実な方の多い劇団の中でキラキラ輝いている人の多い“花の35期”のお一人で、この劇団にもアイドルみたいな方がいらっしゃるんだ!というのが第一印象でした。でも同じ役を稽古するうち、“この方は外見と全然違う”と気が付いて…。
木村:自分のことで精いっぱいで、他の人と交流する余裕が無かったから異色に見えていたのかも。
吉沢:美しいファルセット(裏声)も当初は出なかったと聞いて、この方は努力の方なんだとわかって、すごく尊敬しています。
ーー同じ役を稽古することが多かったというのは、共通項があったということでしょうか。
吉沢:私はボーイッシュだったり子供っぽい役をいただくことが多かったけど、花さんはそういう役もやれば、全然違うタイプの役も演じて、オールマイティな方でした。どの役もやれちゃうので、大変だったんじゃないかな。今、この枠の俳優が少ないから花代入れ、みたいに。
木村:それは…ありましたね(笑)。でも私たちは持ちつ持たれつで、私が怒られたときは彼女がさっとサポートに入ってくれたり。
吉沢:そんなことありましたっけ⁈
木村:目まぐるしくいろいろなことがありましたから(笑)。『コーラスライン』では、彼女はもともと踊りの経験が無かったのに、本当に努力して、怪我しちゃうんじゃないかというくらい稽古してました。
吉沢:劇団四季は“その先に行かせてくれる場所”でしたね。やったことのなかったダンスもできるようになったことで、今、出来ないことに対しても“これはやってみろという運命なのかな”と受け入れられるようになりました。
木村:あと、お互いの存在が励みになっています。公演告知の中に彼女の名前があれば“これに出るんだ、私も頑張ろう”と思えます。
ーーそんなお二人が今回取り組む『キッド・ヴィクトリー』ですが、まず台本を読んでの印象は?
吉沢:はじめは難しかったけれど、何度も読んでいくうちに一つ一つの台詞に意味があることが見え、面白くなってきました。
木村:空気感としては全然明るくないんだけど、その中に希望が見えてほっとする瞬間があるんです。俳優の呼吸感や細かい表情、ニュアンスがダイレクトに伝わる浅草九劇にぴったりなので、その強みを生かしてできる、繊細なお芝居だなと感じました。
ーーお二人が演じるのは、保守的な母親と自由奔放なバイト先の店主という、ある種対照的な女性ですね。
木村:わたし的には今まで演じたことのない母親像です。信仰心が篤くて、ちょっと普通のお母さんじゃないのだけど、台本には細かくは書かれていない。でもそれをバックグラウンドとして持っていないと、ただの悪いお母さんに見えてしまうんです。この作品ではいろんな人がそれぞれに傷を負っていて、沼地を一生懸命歩いているようなイメージなので、それが乾いた大地にならないように。稽古でもう一段深みが出せるといいなと思っています。
吉沢:私が演じるのは、(家庭でどこか居心地悪さを感じている)ルーカスにとって、心の許せる友人。はじめはなぜ“年の離れた”設定なんだろう、と思いました。
今の時点で思っているのは、自由に見える人にも傷や悲しみはあって、その部分でルーカスと共鳴しあえたということなのかな。自分の子供のような年齢のルーカスに対して、助けてあげたいけれど自分も苦しい…というナンバーがあるのですが、これはこういう意味だな、というのが最近見つかったので、まだまだ探求の余地がありそうです。
木村:稽古では“いいところまで来た”と演出家に言われていますが、噛めば噛むほど味が出てくるので、初日までにどこまでしみこませられるかな、開幕後も変化していくかな、と楽しみです。
吉沢:単純な話ではないんですよ。はじめ、ルーカスがただただかわいそうなのですが、途中で“あれ?”と思えるところもあって。演出家とも話し合っていますが、人間とは多面的なものだよ、人生とは繊細なものだよ、といったことを表現しているのかな、と考えています。
ーーご自身のチームはどんなカラーですか?
吉沢:WESTチームは“大人”が多いかな。ルーカス役のわっくん(坂口湧久)は達観していてびっくり。若いキャストをベテランがケア…という感じではないです。
木村:EASTチームは逆かな。ルーカスって出っ放しの役なので、稽古が始まる前にみんなで“(小道具の)お水持った?携帯持った?”と声をかけています。あと“天然”なキャストが多くて、楽しいですよ。
ーーどんな方に観てほしいですか?
木村:多面的な作品なので、もちろん思春期世代もルーカスの目線で共感できると思うし、親世代も、それ以外の方もどこかに共感できると思います。
吉沢:一筋縄でいかない脚本なので、ミュージカル・ファンだけでなく、演劇好きな方にもトライしていただきたいです。我々は一生懸命やるので、観終わったらどう感じたかうかがいたいですね。
木村:人の数だけ意見が出てくるような気がします。
ーーどんな舞台になればと思っていますか?
吉沢:ルーカスはどう成長して、最後にどんな余韻が残るのか、きっとチームごとに違う印象を受けると思いますが、お客様が“なるほどね”と思っていただけるような幕切れになるよう、劇中の積み重ねを丁寧にやっていきたいです。
木村:私も2組で印象は違うと思います。どちらも観ていただくと、全然違う解釈が出来るかもしれません。別チームも観てみたいな、と思っていただける舞台に出来ればと思っています。
取材・文/撮影:松島 まり乃

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