Wakana、最高の環境で行われたバース
デーライブ『Wakana Birthday Class
ic ~Happy Hello Day~』レポート

10年を越えるキャリアを下地に、2019年にソロシンガーとしてデビューを果たしたWakana。彼女の誕生日でもある12月10日に、『Wakana Birthday Classic ~Happy Hello Day~』と題して東京・紀尾井ホールでライブを開催した。橋本しん(Sin)〈音楽監督・P〉、柳原有弥〈V〉、結城貴弘〈Ce〉の3人による生演奏、そして声優・シンガーとして活躍する南里侑香をゲストに招いて繰り広げられたこの日のライブ、夜公演の模様をレポートする。

クリスマスナンバーのカバーも
普段は主にクラシックやオペラのコンサートが行われる紀尾井ホール。いわゆるバンドやソロ歌手がライブを行う会場と違い、スピーカーの数も少なく会場そのものの音響を活かした贅沢な環境で音楽を楽しめる会場だ。
ピアノ、ヴァイオリン、チェロの3人の準備が整い、大きな拍手に迎えられて、華やかな黄色のドレスに身を包んだWakanaが登場。まずは彼女の2ndアルバムから「breathing」。歌声が会場に満ち溢れるような感覚のなかで、この日のライブがスタートした。
カメラマン:大川晋児
続けて、『Wakana Covers ~Anime Classics~』にも収録されている「やさしさに包まれたなら」(原曲:荒井由実)と「Rain」(カバー:秦 基博<原曲:大江千里>)。「やさしさに~」では笑顔を見せたり、「Rain」ではドラマチックな演奏に合わせて楽曲の世界を表情や身振りでも表現した。
誕生日当日にライブをできる喜びと感謝、このライブでは「いろいろな曲」を歌うと宣言したあとで、クリスマスのスタンダード・ナンバー「White Christmas」と「When You Wish Upon a Star」を続けて披露。前3曲とはまったく違った発声、息遣いまではっきり聴こえる音響も相まって、贅沢な時間が流れていく。
ゲスト、南里侑香と歌った思い出の曲「聖夜」
ここで、ゲストの南里侑香が登場し、ペールブルーと銀色のドレス姿でゆっくりとステージ中央に歩みを進めると、隣に並ぶWakanaの誕生日を祝福。Wakanaは「ちょっと誕生日だということを忘れてたけど、世界中に旗を立てたいくらい嬉しい」と喜びを語った。
カメラマン:大川晋児
出会った頃の思い出や、当時からWakanaにとって南里はずっと憧れの人だなど話が弾んだ。
ここでWakanaが一度退場し、南里がFictionJunction YUUKA(以下、FJY)としてデビューした楽曲「暁の車」と、Wakanaが好きだと言っていたミュージカル『キャッツ』から「Memory」の2曲を披露した。
カメラマン:大川晋児
さらにWakanaが再び登場すると、せっかくふたりで舞台に立つのだからと「思い出深い曲」としてFJYの「聖夜」をふたりで歌った。途中、体を向け合いアイコンタクトしながら歌うなど、それぞれに歌手として活動し、友人でもあるふたりの仲の良さも感じられる温かい時間となった。
カメラマン:大川晋児
ここで南里が退場し、再びWakanaのソロステージに。「この季節になると歌いたくなる」と紹介して披露したのは、「snow falling」と「光の旋律」(ともにKalafinaの楽曲)。しっとりと聴かせた「snow~」に対して、「光の旋律」ではリズムに合わせてステップを踏む度にドレスが大きく揺れて華やかだった。
「恋はいつも」ではWakanaに合わせてクラップする観客も、歌っているWakanaも楽しそうな笑みがこぼれた。熱気を帯びた空気のなか、続けて披露されたのはWakana自ら作詞し「ありがとうをたくさんこめた」という「Happy Hello Day」。今回の公演のサブタイトルにもなっている楽曲で本編は終了した。
「たくさん歌を届けられる1年になりますように」
アンコールを求める大きな拍手を受けて、再びステージに登場したのは、Wakanaとピアノの橋本。この1年間で8回の有観客ライブを行ってきたWakanaは、この日のようなクラシックアレンジやバンドスタイルなどいろいろな形でのライブを行いながら「自分にどれが良いのか」を模索してきたと振り返り、「来年も音楽を、歌を追求していきたい」と語ってから歌い出したのは「歌うたいのバラッド」(原曲:斉藤和義)。誕生日であるこの日、来年2月にはソロデビュー3周年というタイミングで改めてソロシンガーとしての姿勢を示したような1曲だった。
ヴァイオリンとチェロのふたりを呼び込んでから「すべての瞬間を音楽にできたら」「この曲も、素敵な瞬間になることを願って」と言葉を重ねたWakanaが歌ったこの日のラストナンバーは「magic moment」。どこまでもまっすぐ伸びて行くような歌声、そして壮大でドラマチックな演奏でライブを締めくくった。
カメラマン:大川晋児
最後に、本日のメンバー紹介をするためにWakanaがゲストの南里を再び呼び込もうとしたところ、大きな花束を抱えて「Happy Birthday To You」を歌いながら南里が登場するというサプライズや、この日の感想を語りながらWakanaが感極まりそうになる一幕もあり、和やかな空気のなかライブは終了した。
ポップスや洋楽のカバー、そしてFictionJunction、Kalafina、そしてソロデビュー後の楽曲といった選曲の幅広さと歌声の表現力。それがピアノ、ヴァイオリン、チェロの生演奏とともに最高の環境で響き渡るという、なんとも贅沢な時間。「たくさん歌を届けられる1年になりますように」と語ったWakanaの今後の活躍がますます楽しみになるようなライブだった。
取材・文:藤村秀二カメラマン:大川晋児

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