柴田 淳

柴田 淳

【柴田 淳 インタビュー】
“失恋と言えば柴田 淳”という
柴田 淳ブランドを
確立するための20年だった

デビュー20周年を記念したオールタイムベストアルバム『20th Anniversary Favorites: As Selected By Her Fans』は全楽曲を対象にファン投票を行ない、1位~20位までの曲を収録。また、限定盤には自選による13曲を収録したDISC3や5万字を超える初の書き下ろし自叙伝が付属する。そんな今作に込めた想いや、20周年を迎えての気持ちなどを語ってもらった。

ファンの方が逃げずにいてくれたから
この20周年がある

20周年ということにTwitterで“ヒットもなくペラッペラの20年だった”と振り返っていましたけど、だとしても20年というのはすごいことだと思いますよ。

“鳴かず飛ばず”という表現が、本当に私にはぴったりだと思ったんです(笑)。でも、10周年の時に“ヒットもないのに10年も続けられたのはある意味すごい”と、自分で着地点を見つけて納得するようになりました(笑)。

この20年で思い出すこととかはありますか?

例えば「HIROMI」(2007年1月発表)というシングルの時、秋川雅史さんの「千の風になって」に阻まれて1位になれなかったなぁとか(笑)。アルバムを出す時も、なるべく高い順位に入りたいので競合を調査して、一番ライバルが少ないところを考えてリリース日を決めていたのに、いつもだいたい嵐さんと競っていたなとか(笑)。そういうことを思い出すと、それだけ時が経ったんだなと思いますけど、10周年以降は記憶がないです(笑)。若い時と年齢を重ねてからでは時間の経過がまったく変わるし、特に40代になると1年も2年も大して変わらないんです。だから、10周年は感慨深く迎えましたけど、20周年は“もうそんなに経ちました?”という感じで、まだ12、3年目という感覚なんですよ。

若い時は目標があって未来が輝いて見えたけど、40代や50代になるとたいていのことは済ませて、現状維持という感じになりますからね。

そうですよね。20代の時は新しい経験ばかりで必要以上に力を使ったり、世の中に揉まれて苦しむ。30代は経験が増えてくるので、少し力が抜けて仕事も楽しくなる。40代は同じ経験を何回か繰り返しているので、それをやったらどうなるかが分かるから、あえてトライしなかったり、欲がなくなっていくのかなと思います。若い時は“これを何歳までにやって〜”とか考えたけど、今は“いつでもやれるからなぁ”と思ってしまいますし。そういう意味では振り回されなくなりました。“いつ何が起きるか分からないから、やれることはやれるうちにやる”という考え方もあるけど、私は基本的に後悔しない生き方をしているので、いつ何かが起きても何の悔いもないし。ある種の達観というか。

20年続けることができた理由は何だと思いますか?

まずは“柴田 淳ブランド”を作るのが最優先だと、デビュー当時から思っていたんです。例えば、“夏と言えばTUBE”や“ゲレンデと言えばユーミン(松任谷由実)”みたいな感じで、“失恋ソングと言えば柴田 淳”と言われるようになりたいと。曲は聴いたことがなかったとしても、世の中に“失恋ソングと言えば柴田 淳”と浸透していれば、その人が大失恋をした時に“こんな時は柴田 淳で”と自然と手に取ってくれるんじゃないかと。そうなることが、柴田 淳ブランドの確立だと思っていたんです。でも、デビュー当時はそれを分かってくれるスタッフさんがいなくて、逆に売るために私の世界を壊そうとする人がたくさんいた。私も売れることが先決だと頭では理解していたけど、売れるための作詞作曲をして魂を売るようなことは、どうしてもしたくなかったんです。結果として20年というキャリアのわりに知名度が低いということになってしまったけど、その代わり柴田 淳の世界を確立することができた。その世界を信じてくれたファンの方が逃げずにずっといてくれたから、この20周年があるのかなと思います。

失恋は年齢に関係なく経験することだから、ある意味で時代や世代を超えることができますし、20周年という結果を見れば柴田 淳ブランドは正しかったということになりますね。

実際に悲しい曲が多いんですけど、私自身が恋愛であまり幸せになったことがないから、それなら幸せな歌は他の歌手の方に任せて、私は失恋の専門でいいのかなと。オールマイティーな歌手にならなくても、専門店でいたほうがいいんじゃないかと思っていて…素敵だと思うんですよ、ひとつのことを極めるのって。

失恋を極める?(笑)

(笑)。“失恋と言えば柴田 淳”と世の中で言われるようになったら、ようやく一人前として認められたということになると思ってバラエティー番組に出たら、“日本一暗い歌手”と言われるようになったんですけど、それもひとつの個性というか、キャラですからね。他にはないキャラがつくことも、一人前の証と思っています。
柴田 淳
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OKMusic編集部

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