ドリス ヴァン ノッテン 2015年春夏
メンズコレクション - 重なるストリ
ートとバレエ、2つのR

ルドルフ。これは、伝説とも言われるバレエダンサー、ルドルフ・ヌレエフ(Rudolf Nureyev)を指している。そしてローザス(Rosas)というのが、世界的振付師の一人、アンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケル(Anne Teresa de Keersmaeker)が芸術監督をつとめるバレエ団のこと。この2つのインスピレーション源を、今季ドリスは「R」というアルファベットに込めた。イラストレーターのリチャード・ヘインズによって描かれ、カットソーの胸や肩、ショートパンツなどに落とし込まれた、ゴシック体の「R」がそれを象徴している。

ドリスの得意とする、少しくすんだカラーやヴィンテージ調のテキスタイルを用いたアイテムを軸にショーは進んでいく。セットアップやシャツ、ロングのスプリングコートなどのクラシックなアイテムには、オーバーサイズとスリムシルエットを組み合わせてメリハリのついたサイズ感にすることで、ストリート感をプラス。その中には、タンクトップやナンバリングTシャツ、マウンテンパーカーなど、スポーティーな切り口も垣間見える。

そこへ新鮮さを吹き込むのが、バレエの持つエッセンス。ハイウエストのテーパードパンツ、ダンスシューズのようなスポーツシューズ、ヴィヴィッドなユニタード……。こうしたバレエの衣装を思わせるアイテムが、一辺倒になりがちなストリートウェアに強い刺激を加え、構築的な要素を省いたテーラードやシルクをはじめとした柔らかな素材が、ダンスの持つしなやかさを強調した。

ドリスは以前、今回のキーワードにもなったアンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケルの作品『Rain』に衣装提供をしている。コレクションで多く登場したスキンカラーのウェアは、まさにそのときに見られたアイデア。もしかすると今回のショーまでの設計図は、その当時すでに描かれていたのかもしれない。ダンスとファッション。身体を通し、その先にある”何か”を追い求めていく二つの表現の形は、パリの地で静かに、そして驚くほど自由に重ね合わさった。

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