スーパースターになった
リオン・ラッセルが
自分のルーツへ大きく舵を切った
意欲作
『ハンク・ウィルソンズ・バック』

アメリカ音楽を俯瞰する感覚

レオンのディスコグラフィーを精査してみれば、ロックンロール、R&B、ゴスペル、ブルース、ラグタイム、ジャズ、カントリー、ブルーグラス、ケイジャン、フォーク…と様々なジャンルの音楽が散りばめられている。

リオンがあえてひとつのところにとどまらず、メインストリームから外れた音楽にさえ食指を伸ばしてみせたのも、それら全てがアメリカ音楽を構成していることをわかっていたからだろう。実は、驚くべきことに、レオンは『アメリカーナ』(’78)というアルバムを残している。今ではグラミー賞の一ジャンルにさえなっている「アメリカーナ」という定義を、こと音楽で示した最も早いアーティストかもしれない。ある意味、彼は30、40年ぶん時代を先んじていたのではないか。

レオンは2016年11月、彼が住まいを構え、本作のレコーディングが行われたテネシー州ナッシュヴィルのブラドリーズ・バーンにもほど近い、ジュリエットという町で74年の生涯を閉じている。そして今は故郷のオクラホマ州タルサの墓地で静かに眠っている。

TEXT:片山 明

アルバム『Hank Wilson’s Back Vol. I』1973年発表作品
    • <収録曲>
    • 1. ロール・イン・マイ・スウィート・ベイビーズ・アーム/Roll in My Sweet Baby’s Arms
    • 2. シー・シンクス・アイ・スティル・ケア/She Thinks I Still Care
    • 3. アイム・ソー・ロンサム・アイ・クッド・クライ/I’m So Lonesome I Could Cry
    • 4. アイル・セイル・マイ・シップ・アローン/I’ll Sail My Ship Alone
    • 5. ジャンバラヤ/Jambalaya(On the Bayou)
    • 6. ア・シックス・パック・トゥ・ゴー/A Six Pack to Go
    • 7. ザ・バトル・オブ・ニュー・オリンズ/The Battle of New Orleans
    • 8. アンクル・ベン/Uncle Pen)
    • 9. アム・アイ・ザット・イージー・トゥ・フォーゲット/Am I That Easy to Forget
    • 10. トラック・ドライヴィン・マン/Truck Drivin’ Man
    • 11. ウインドウ・アップ・アバヴ/The Window Up Above
    • 12. ロスト・ハイウェイ/Lost Highway
    • 13. グッドナイト・アイリーン/Goodnight Irene
    • 14. ヘイ・グッド・ルッキン/Hey, Good Lookin’
    • 15. イン・ザ・ジェイルハウス・ナウ/In the Jailhouse Now
『Hank Wilson’s Back Vol. I』(’73) / Leon Russell

OKMusic編集部

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