【仲村宗悟 ライヴレポート】
『SHUGO NAKAMURA
1st LIVE TOUR 〜NATURAL〜』
2021年11⽉23⽇
at KT Zepp Yokohama
今年7月28日に1stアルバム『NATURAL』をリリースし、10月23日から『SHUGO NAKAMURA 1st LIVE TOUR 〜NATURAL〜』へと旅立った仲村宗悟。声優として着実にキャリアを築いてきた彼は2019年10月30日にデビューシングル「Here comes The SUN」をリリースし、シンガーソングライターとしての活動も本格的にスタートさせた。もともとシンガーソングライター志望だっただけに、それが大きな出来事だったことは想像に難くない。ところが、2020年に入ると同時にコロナ禍が起こり、仲村やスタッフが構築していた活動予定は変更せざるを得なくなる。しかし、“これから!”という時期に思うように動けないという苦しい状況に屈することなく音源をリリースし続け、デビューから2年を経て初の全国ツアーを実現させたのだ。仲村自身はもちろん、全国のファンも待ち望んでいたことを証明するように、ライヴには毎回多くのリスナーが集結。11月23日にKT Zepp Yokohamaで開催されたツアーファイナルのチケットは瞬く間に売り切れ、多くのリスナーが仲村の音楽活動に大きな期待を寄せていることを感じさせる中でのアクトとなった。
暗転した場内にオープニングSEが流れ、サポートメンバーに続いて仲村がステージに姿を表した。客席から熱い拍手が湧き起こると、仲村の“横浜ーっ!”という声が響き、ウォームな「僕なりのラブソング」からスタート。時おり笑顔を浮かべながら温かみのある歌声を聴かせる仲村の表情は自信にあふれていて、1stツアーのファイナルというシチュエーションに臆することなく、ライヴを楽しんでいることが伝わってくる。そんな彼に引っ張られてオーディエンスのテンションも一気に高まり、ライヴはいいムードで幕を開けた。
その後は“『SHUGO NAKAMURA 1st LIVE TOUR 〜NATURAL〜』にご参加いただき、誠にありがとうございます!”という挨拶も挟みつつ躍動感を湛えた「Here comes The SUN」や、さわやかな「あなたのこと」などを歌唱。華やかさと男っぽさを併せ持ったオーラを放ちながらエモーショナルな歌声を聴かせる仲村に目を奪われずにいられない。フィジカルなステージングを展開しながら歌う仲村の姿からは、彼の中には自身が提示したいライヴ像の明確なイメージがあると同時に、今回のツアーでいろいろなことを吸収して、さらなるスキルアップを果たしたことが感じられた。
中盤では翳りを帯びたスローチューンの「オブラート」やブラックコンテンポラリーに通じるアダルトな雰囲気を打ち出した「チョコレート」、浮遊感を纏った歌中とダンサブルなサビの対比を活かした「壊れた世界の秒針は」を続けて披露。ストーリー性のある流れに惹き込まれたし、それぞれの曲調に合わせて表情を変える仲村のヴォーカルも実に見事。“いろんな曲があっても歌は一辺倒”というようなパターンとは異なり、彼の歌唱力と表現力の高さを実感させるセクションになっていた。
“アーティストデビューして2年の間に、自分の歌たちが巣立ってみなさんのものになっていく瞬間を何度か経験させていただいたんですけど、本当にいいね、自分の曲を歌えるというのは。嬉しいし、僕の知らない場所、瞬間に僕が生み出した歌を聴いてくれている人がいるというのはマジで嬉しい。ありがとう!”というMCが入ったあと、続く4thブロックではパワフルなサウンドと切なさが香るヴォーカルを融合させた「imitation」、スリリング&ハードな「わかってちょうだいね」、ホーンセクションをあしらったゴージャスな味わいの「Oh No!!」などが投下された。ライヴ前半の煌びやかな雰囲気とはまた違ったロック感や大人っぽい味わいなども実に魅力的で、観飽きることがない。仲村の楽曲は幅色さとクオリティーの高さを兼ね備えていることがポイントで、今回のライヴを観て“いい曲が揃っているな”と改めて思わずにいられなかった。一曲一曲のカラーが濃いためさまざまな表情を見せながらも散漫さはなく、逆にライヴが進むに連れてどんどん世界観が深まっていくことが印象的だった。
また、アッパーな「JUMP」で4thブロックを締めたあとのMCも胸に染みた。“ありがとうございます。こうやって遊びたかったんよ、俺は。沖縄から出てくる時も音楽でみんなと遊べたら、こんなに最高なことはないよなと思って出てきたんだ。でも、打ちのめされた。蓋を開けたら何者でもなかったわけよ、仲村宗悟というものは。自分ひとりで小さい箱を借りてライヴをしていたけど、もうびっくりするくらいお客さんを呼べなかった。その後、役者という道に出会って音楽をやりながら役者もやるようになったけど、役者を続けていくことにも恐怖を感じていたんだ。でも、音楽も、役者も、思いきりの気持ちでやらないといろんな人に迷惑をかけてしまう。何より将来の自分に失礼だなと思ったんだよね。それで、全部を思いきりやって、ここまでこれた。俺はまだまだダメダメだけど、もっともっと上を目指すから見ていてほしい”ーーそんな飾ることなく等身大で話す彼の姿と言葉に、客席からは温かみにあふれた拍手が湧き起こったことは言うまでもない。
その後は本編の締め括りとして、穏やかかつメロディアスな「ゆらゆら」と華やかなミディアムチューンの「ナチュラル」が届けられる。光を感じさせる空気感や包み込むような仲村の歌声、心地良さにあふれたサウンドなどにオーディエンスもいい雰囲気のリアクションを見せ、KT Zepp Yokohamaの場内がひとつになったことが感じられる。「ナチュラル」のエンディングで仲村は“最高の時間だった! ありがとう!”という言葉とともに大きくジャンプし、さわやかな余韻を残してステージから去っていった。
初の全国ツアーでシンガーソングライターとしてのスキルの高さや魅力を十分に提示した仲村。役者としての側面や凝った演出などに頼ることなく純粋に音楽だけで勝負して、場内を埋めたオーディエンスを魅了したのはさすがと言える。1stアルバムのリリースと初の全国ツアーを経て、より多くのリスナーを巻き込んでいくに違いない。アンコールのMCで彼は“僕には武道館という夢がある”と語ったが、それも決して荒唐無稽な夢想ではないのではないか…そんなことを感じさせる良質なライヴだった。
暗転した場内にオープニングSEが流れ、サポートメンバーに続いて仲村がステージに姿を表した。客席から熱い拍手が湧き起こると、仲村の“横浜ーっ!”という声が響き、ウォームな「僕なりのラブソング」からスタート。時おり笑顔を浮かべながら温かみのある歌声を聴かせる仲村の表情は自信にあふれていて、1stツアーのファイナルというシチュエーションに臆することなく、ライヴを楽しんでいることが伝わってくる。そんな彼に引っ張られてオーディエンスのテンションも一気に高まり、ライヴはいいムードで幕を開けた。
その後は“『SHUGO NAKAMURA 1st LIVE TOUR 〜NATURAL〜』にご参加いただき、誠にありがとうございます!”という挨拶も挟みつつ躍動感を湛えた「Here comes The SUN」や、さわやかな「あなたのこと」などを歌唱。華やかさと男っぽさを併せ持ったオーラを放ちながらエモーショナルな歌声を聴かせる仲村に目を奪われずにいられない。フィジカルなステージングを展開しながら歌う仲村の姿からは、彼の中には自身が提示したいライヴ像の明確なイメージがあると同時に、今回のツアーでいろいろなことを吸収して、さらなるスキルアップを果たしたことが感じられた。
中盤では翳りを帯びたスローチューンの「オブラート」やブラックコンテンポラリーに通じるアダルトな雰囲気を打ち出した「チョコレート」、浮遊感を纏った歌中とダンサブルなサビの対比を活かした「壊れた世界の秒針は」を続けて披露。ストーリー性のある流れに惹き込まれたし、それぞれの曲調に合わせて表情を変える仲村のヴォーカルも実に見事。“いろんな曲があっても歌は一辺倒”というようなパターンとは異なり、彼の歌唱力と表現力の高さを実感させるセクションになっていた。
“アーティストデビューして2年の間に、自分の歌たちが巣立ってみなさんのものになっていく瞬間を何度か経験させていただいたんですけど、本当にいいね、自分の曲を歌えるというのは。嬉しいし、僕の知らない場所、瞬間に僕が生み出した歌を聴いてくれている人がいるというのはマジで嬉しい。ありがとう!”というMCが入ったあと、続く4thブロックではパワフルなサウンドと切なさが香るヴォーカルを融合させた「imitation」、スリリング&ハードな「わかってちょうだいね」、ホーンセクションをあしらったゴージャスな味わいの「Oh No!!」などが投下された。ライヴ前半の煌びやかな雰囲気とはまた違ったロック感や大人っぽい味わいなども実に魅力的で、観飽きることがない。仲村の楽曲は幅色さとクオリティーの高さを兼ね備えていることがポイントで、今回のライヴを観て“いい曲が揃っているな”と改めて思わずにいられなかった。一曲一曲のカラーが濃いためさまざまな表情を見せながらも散漫さはなく、逆にライヴが進むに連れてどんどん世界観が深まっていくことが印象的だった。
また、アッパーな「JUMP」で4thブロックを締めたあとのMCも胸に染みた。“ありがとうございます。こうやって遊びたかったんよ、俺は。沖縄から出てくる時も音楽でみんなと遊べたら、こんなに最高なことはないよなと思って出てきたんだ。でも、打ちのめされた。蓋を開けたら何者でもなかったわけよ、仲村宗悟というものは。自分ひとりで小さい箱を借りてライヴをしていたけど、もうびっくりするくらいお客さんを呼べなかった。その後、役者という道に出会って音楽をやりながら役者もやるようになったけど、役者を続けていくことにも恐怖を感じていたんだ。でも、音楽も、役者も、思いきりの気持ちでやらないといろんな人に迷惑をかけてしまう。何より将来の自分に失礼だなと思ったんだよね。それで、全部を思いきりやって、ここまでこれた。俺はまだまだダメダメだけど、もっともっと上を目指すから見ていてほしい”ーーそんな飾ることなく等身大で話す彼の姿と言葉に、客席からは温かみにあふれた拍手が湧き起こったことは言うまでもない。
その後は本編の締め括りとして、穏やかかつメロディアスな「ゆらゆら」と華やかなミディアムチューンの「ナチュラル」が届けられる。光を感じさせる空気感や包み込むような仲村の歌声、心地良さにあふれたサウンドなどにオーディエンスもいい雰囲気のリアクションを見せ、KT Zepp Yokohamaの場内がひとつになったことが感じられる。「ナチュラル」のエンディングで仲村は“最高の時間だった! ありがとう!”という言葉とともに大きくジャンプし、さわやかな余韻を残してステージから去っていった。
初の全国ツアーでシンガーソングライターとしてのスキルの高さや魅力を十分に提示した仲村。役者としての側面や凝った演出などに頼ることなく純粋に音楽だけで勝負して、場内を埋めたオーディエンスを魅了したのはさすがと言える。1stアルバムのリリースと初の全国ツアーを経て、より多くのリスナーを巻き込んでいくに違いない。アンコールのMCで彼は“僕には武道館という夢がある”と語ったが、それも決して荒唐無稽な夢想ではないのではないか…そんなことを感じさせる良質なライヴだった。
撮影:草刈雅之/取材:村上孝之