70’sロックの
方向性のひとつを提示した
ジム・クウェスキン・
ジャグ・バンドの
『ガーデン・オブ・ジョイ』
ジム・クウェスキン
&ザ・ジャグ・バンド結成
2ndアルバム『ジャグ・バンド・ミュージック』(’65)ではボブ・シギンスが脱退、代わりに元ビル・モンロー&ザ・ブルーグラス・ボーイズ〜キース&ルーニーの革命的なバンジョー奏者であるビル・キースとイーブン・ダズン・ジャグ・バンドにいたマリア・ダマート(のちのマリア・マルダー)が加入し、グループの強化が図られている。また、グループ解散後にクウェスキンのパートナーとなるメル・ライマンがマウスハープで参加。3rdアルバム『シー・リバース・サイド・フォー・タイトル』(’66)ではブルーノ・ウルフが脱退し、再び5人組となる。
本作
『ガーデン・オブ・ジョイ』について
以前の3作と比べ、本作はボーカルにしても演奏にしてもまとまりのある端正さが特徴だ。それは初めてプロデューサー(ジョン・コート)を迎えたことや、大手のリプリーズレコードに移籍したことも関係してか、まさにプロフェッショナルな演奏になっているのだ。荒削りの手作り感がジャグ・バンド音楽の良さであることは間違いないが、これだけの完成度の高い音楽だからこそ彼らに追随しようとするグループが増えたのも事実なのである。ビル・キースがブルーグラス・スタイルのプレイをしていても違和感を感じさせないのも、このグループが模倣ではなくすでに自分たちのジャグ・バンド・サウンドを完成させたからだと言える。
選曲はガス・キャノン等のジャグ・バンド関連をはじめ、デューク・エリントンの有名な「ムード・インディゴ」のほか、「マイ・オールド・マン」「アイム・コンフェッシン」「シェイク・オブ・アラビー」「ジー・ベイビー・エイント・アイ・グッド・トゥ・ユー」など古いジャズナンバーが多く、グリーンの加入がこれらの選曲を可能にさせたのかもしれない。アルバムジャケットはサイケデリックロック時代ならではの60’s的デザインだが、中身は時代を感じさせないグッドタイム・ミュージックが詰まっている。