ジェームズ・キャメロン監督 幻の『
スパイダーマン』や『ターミネーター
』『アバター2』まで秘話が満載の初
保存版作品集が発売

ジェームズ・キャメロン監督の作品集『テック・ノワール ジェームズ・キャメロン コンセプトアート集』が初版5,000部限定で12月22日に発売されることがわかった。
『テック・ノワール ジェームズ・キャメロン コンセプトアート集』は、『ターミネーター』『エイリアン2』『タイタニック』『アバター』などで知られるジェームズ・キャメロン初の集大成作品集。B4変形の大型・ハードカバー仕様で、9箇所にわたる折り込みページは最大横幅90cm以上。未公開ぶんを多数含む300点以上のコンセプトアートは、本文ページすべてニスがけ仕上げで収録されているという。
『テック・ノワール ジェームズ・キャメロン コンセプトアート集』より
本書には、『殺人魚フライングキラー』から『ターミネーター』『エイリアン2』『タイタニック』『アバター』などのほか、ドラマ『ダークエンジェル』など映画以外のデザイン画、設計図、コンセプトも収録。監督デビュー作として温めていた幻のSF映画『Xenogenesis』の設定やストーリー、コンセプトアートも紹介されているとのこと。
『テック・ノワール ジェームズ・キャメロン コンセプトアート集』より
『テック・ノワール ジェームズ・キャメロン コンセプトアート集』より
『テック・ノワール ジェームズ・キャメロン コンセプトアート集』より
さらに、幼少期に描いたマンガ、異星人や遥か遠い世界、驚異的なテクノロジーを描いた学生時代のスケッチ、全然売れなかったポスター、ボツ企画のために描いた絵、下積み時代に描きためた低予算映画のポスターや美術・デザインなども掲載される。
『テック・ノワール ジェームズ・キャメロン コンセプトアート集』より
『テック・ノワール ジェームズ・キャメロン コンセプトアート集』より
全編キャメロンの語りで構成された本書には、歯に衣きせないエピソードや映画撮影の裏話が満載。B級映画の帝王ロジャー・コーマンのもとでは働きはじめたきっかけ、苦いデビュー作『殺人魚フライングキラー』の現場での出来事、『エイリアン2』でH・R・ギーガー氏を採用しなかった理由やスタン・ウィンストンとの会話から生まれた名キャラクター誕生秘話、“ケンカ屋”ならではのトラブルの数々や女性観など、キャメロンのデザイン哲学や、飽くなき好奇心、膨大な知識、私生活までが明かされる。
『テック・ノワール ジェームズ・キャメロン コンセプトアート集』より

以下は、本書のテキスト抜粋。
『エイリアン2』
これは、『エイリアン2』のプリプロダクション時に、スタン・ウィンストンと彼のチームのために描いたエイリアン・クイーンのイラストだ。フルサイズのエイリアン・クイーンをどう動かすかという基本的なコンセプトは決まっていたが、具体的な方法を考える必要があった。私は、エイリアン・クイーンのなかに2人のスタッフを入れようと考えた。2人は背中合わせになり、頭がちょうどエイリアン・クイーンの胸部にくるようにする。左側のスタッフは、2本あるエイリアン・クイーンの左腕のうちTレックス風の小さいほうを右腕で操作する。そして左腕でクイーンの大きいもうひとつの左腕を動かすんだ。右側のスタッフも同じことだ。説明を受けたスタンは「そんな突拍子もないアイデアは聞いたことがない」と言ったが、私は「とにかく試してみよう」と説得した。まず、中に入る2人のスタッフの体形に合わせた座台をファイバーグラスを使って超特急で制作した。その座台に2人を乗せてクレーンでクイーンの胸部の位置まで持ち上げ、彼らの上から黒いゴミ袋や発泡スチロールで覆っていく。エイリアン・クイーンの頭は、約2.5メートルもある大きな発泡スチロールの芯を作り、それを座台に取りつけてゴミ袋で覆った。腕はほうきで作り、それにもゴミ袋をかぶせた。ゴミ袋のせいで全体が黒光りして、粗削りではあるがすでに映画のエイリアン・クイーンの雰囲気はあったね。
スタンのチームのシェーン・マハンとディック・ワーロックが中に入り、私が「腕を動かしてくれ!」と言うとエイリアン・クイーンの2本の大きな腕が前後に揺れながら動きはじめた。次に「Tレックスの腕のほうも頼む」というと、大きな腕と連動して小さな腕も動きはじめたんだ。そのとたん、目の前のゴミ袋の塊に命が吹き込まれた。「足はどうする?」とスタンが言い、私たちは発泡スチロールを足の形に切ってやはりゴミ袋をかぶせ、エイリアン・クイーンの胴体につないだ。そして、スタンの別のスタッフに棒を使って文楽の黒子のように動かしてもらったんだ。最後に尻尾を作り、これはまた別のスタッフが釣り竿で操作した。
(146p本文より)
「表面のギーガー風の細かいディテールはすべて粘土で造形し、車用のラッカーを吹きつけて作った」
(247p本文より)
『アバター』
この見開きと166~167ページの絵は『アバター』のデザインをする際に描いたナヴィのコンセプトアートだ。私はよくスケッチした絵を何枚もコピーして、1枚ずつ色を変えて塗ってみることがある。ここではナヴィの肌の色をプリズマカラーの色鉛筆で塗り、縞模様を入れるなどいろんなデザインを試している。この頃は、ナヴィは指が退化して3本になった人間だという設定にこだわっていたが、そのあと人間に近い手に変更した。地球人のジェイク・サリーとパンドラに住むネイティリという2人の主人公が恋に落ちるわけだから、ナヴィの外見が人間とかけ離れたものになれば観客は違和感を持つだろうと思ったんだ。それに、ナヴィを「気味が悪い」ではなく「素敵だ」と感じてほしかったので、尻尾や耳、大きな目など猫のような特徴を持たせることにした。地球人と恋に落ちるという設定に違和感は生じなかったはずだ。
私はナヴィのなかでも、まずネイティリのデザインから始めようと考えた。観客が彼女を魅力的だと思わなければストーリーが成立しないからね。(中略)映画には現実の世界とは少し違ったルールがある。映画を観る人が全員ネイティリとジェイクを美しいと思い、彼らに恋をしなければならないんだ。もっとも、今じゃその考え方は時代遅れになり、ごく普通の容姿の俳優が演じるラブストーリーの名作が作られるようになってきた。だが、私は古典的なラブストーリーのルールに従って『アバター』を作ろうと思ったんだ――『ある愛の詩』(1970)のライアン・オニールとアリ・マッグローのようにね。
(168p本文より)
これらのネイティリのイメージはすべて、デザインを固めていく過程で描いたスケッチだ。最初のスケッチを描いたあと、私は、デザイン画で中心的な役割を担ってくれたスタン・ウィンストン・スタジオのジョン・ローゼングラントにそれを渡した。ジョンのチームは私の最初のアイデアをPhotoshopで再構築し、その後ZBrushを使って3Dモデルを作成した。ネイティリのデザインをあれこれいじりながらゾーイの特徴が失われていくポイントを見極め、必要に応じて調整していくんだ。最終的なデザインはすべて彼らに任せたよ。これはこの映画全体にいえることだ。唯一の例外はヴァイパーウルフで、これは私が全体をデザインしてジョンに渡し、ZBrushで仕上げてもらった。また、サナターの頭部のデザインは私だが、胴体はクリーチャーデザインの責任者ネヴィル・ペイジに任せた。彼はバンシーもデザインしている。
(172p本文より)
『ターミネーター』
左上のスケッチは、初期段階で破棄したコンセプト画だ。映画の終盤、ターミネーターがサラとカイルを工場内で追いかける夜のシーンで、あたりは真っ暗という設定だった。ターミネーターは手を伸ばして照明器具から蛍光管を抜き取り、機械の手から通電して振り回しながら暗闇のなかで2人を見つけようとする。だが、最終的にはその光景が『スター・ウォーズ』(1977)のライトセーバーにそっくりだということでボツにした。しかも、脚本の設定では彼の目は赤外線になっているから、論理的には暗闇のなかでも2人を追いかけることは可能なんだ。
(102p本文より)
カンヌ国際映画祭で配るパンフレット用の絵にはあえて描かなかったが、この時点でエンドスケルトンのデザインはすでに仕上がっていた。スタン・ウィンストンと私はどうやってエンドスケルトンを造形し、操作するかも決めていた。スタッフが背負ったバックパックに頭と胴体をつけ、文楽で使うような棒で腕を操作するとか、まあそういったことだ。
スタンとの1回目の会議で、エンドスケルトンは着ぐるみ以外の方法で撮ることはすぐに決まった。アーノルドとは別人になってしまうからだ。いくら彼の体が大きいといっても、着ぐるみにスタントマンが入ればそれを上回るでかさになるからね。それでボディをパーツごとに作ってスタッフが操作することにしたんだ。これを踏まえ、私は腰の部分を骸骨のようなデザインにし、観客にこれは着ぐるみじゃないと一目でわかるようにした。そして、油圧ラムシリンダーを取りつけ、横幅はあるが向こうが透けて見える作りにしたんだ。これがターミネーターのデザインの基本だった。
(328p本文より)
POSTSCRIPT: Spidey Sense
最後に:幻のスパイダーマン
これは私にとって幻の傑作『スパイダーマン』だ。スパイダーマンなしでは、この『テック・ノワール』は完成しないね。私の『スパイダーマン』のプロジェクトはお蔵入りしたため、コンセプトアートはほとんど存在しないが、個人的に何枚か描いておいたんだ。
(中略)
右のイラストは、スパイダーマンがビルをよじ登っているところだ。私の脚本では最終シーンの場所はワールドトレードセンターだが、この絵は特にそのシーンを想定したものじゃない。スパイダーマンのコスチュームはいくつか試したよ。334~335ページの絵ではスタンダードな赤と青だ。黒のコスチュームを描くことにしたのは、スパイダーマンを忍者みたいに撮りたかったから。世間は彼を自警団のメンバーだと思いはじめ、警察も彼を追うようになる。そのため黒ずくめのコスチュームを着ているという設定だ。コミックをもとにしたヴェノムを登場させたらどうかと考え、ピーター・パーカー自身が「黒いスパイダーマン」になるというストーリーも考えた。そんなふうにあれこれ構想を練ってはいたが、『スパイダーマン』用に描いたコンセプトアートのコスチュームは、この黒と従来の赤と青だけだ。
(332p本文より)

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