Leetspeak monsters

Leetspeak monsters

謎多きバンド、
Leetspeak monstersが語る
音楽性のルーツ、目指す景色とは?

 現代では世界中で民間行事として定着しつつあるハロウィン。ん? なんだって先月末に終わったばかりのハロウィンの話を蒸し返しているかって? まぁまぁ、そう言わず、最後まで読んでみて欲しい。

 まずは、“そもそもハロウィンとは何か?”という説明からいくとしよう。ハロウィンといえば、子供たちが精霊やお化けに仮装してお菓子を貰ったり、仮装を楽しむイベントして親しまれているが、本来は、キリスト教の諸聖人に祈りを捧げる祝日「万聖節」の前夜祭として行われるヨーロッパ発祥のお祭りで、古代ケルト民族の宗教儀式のひとつであるサフィン祭が起源と言われている。この行事は、秋の収穫を祝い、先祖の霊をお迎えするとともに悪霊を追い払うお祭りで、日本でいうお盆のような日なのである。

 “仮装”という習慣は、この日に悪霊も一緒にやって来て、作物に悪い影響を与えたり、子供をさらったり、現世の人間たちに悪いことをするという言い伝えがあったことから、悪さをする霊や魔女から身を守るために仮面を被ったり魔よけの焚き火などをしたのが発端なのだという。

 現在ではこういった宗教的な意味合いは薄れ、多くの国で仮装を楽しむお祭りとして親しまれているのだが、ナント、ここに【年中Halloween!】というバンドが存在する。その名は、Leetspeak monsters(リートスピークモンスターズ)。墓場の街グレイヴタウン出身のモンスター、D13(ディーサーティーン=通称ドメ。VOCAL&RAP)、Yo’shmeer(ヨッシュミィア=通称ヨッシュ。GUITAR)、Euskyss(ユースキス=通称王子。BASS)、DieWolf(ダイウルフ=通称ワンワン。DRUMS)から成るミクスチャーロックバンドだ。

 ここ何年かのうちに、日本でもハロウィンが盛んになり、エンタテイメント界や音楽業界でもハロウィンに絡めたイベントやフェスなどが多く開催されるようになった訳だが、Leetspeak monstersは【年中Halloween】ということもあり、本家本元としてハロウィン当日に大人しくしていられる訳も無い。10月末に向けて彼らの本能と血は疼き、滾りはじめ、毎年自らが旗振り役となり、ハロウィンイベントを開催しているのである。

 2021年も10月26日に大阪公演 OSAKA MUSE、10月28日に川崎CLUB CITTA'で多くの仲間を集めた『Leetspeak monsters Presents Halloween Party 2021』を開催し、10月30日にはVeats SHIBUYAにて本家の魅力を出し惜しみなく届けた『Halloween Party 2021 –ONEMAN SHOW-』を行い、コロナ禍で入場制限がかかる中、ソーシャルディスタンスを保ちながらも、非現実にトリップさせてくれた熱気溢れる最高のライヴを魅せてくれたのだった。

 Leetspeak monstersは現在、“ヴィジュアル系”とカテゴライズされるシーンの中で活動しているのだが、一般的にイメージする“ヴィジュアル系”のサウンドや世界観とは大きく異なる。Leetspeak monstersが放つミクスチャーロックは、激しさとダークさで塗りつぶされた、ただただ荒々しいものではなく、ダークでありながらもスピリチュアルで、実にファンタジックなSHOWロックなのである。

 ヴィジュアルシーンで異彩を放つ謎多きバンド、Leetspeak monstersの正体とは? 結成の経緯から、独自の音楽性のルーツ、ライヴへの想い、目指す景色など、じっくりと訊いてみることにした。

お化け屋敷みたいなバンドがやりたい

D13「Leetspeak monstersを始めたのは今から10年以上前になると思います。Euskyssとはずっと最初から一緒にバンドをやっていて、その頃から入れたらもっと音楽歴としては長いんですが」

Euskyss「D13と最初に始めたバンドは歌モノ系でした。知り合う前は、お互いミクスチャーバンドをやっていたんですけど、一緒にやることになって、そこから全然違う歌モノ系のバンドを始めたんです。当時はそこまでガツガツ活動していなかったんですけど、ライヴをやっていてもD13の良さがあんまり出てないなぁって思うようになって、あるとき本人に“本当にやりたいことやっていいよ。どんなバンドがやりたいの?”って言ったんです。そしたら、“お化け屋敷みたいなバンドがやりたい”って言われて」

D13「オカルトとかホラーが好きだったので、そういう世界観を音楽でやりたいなって思ってたんです、ずっと。分かりやすく言うと、ティム・バートンの世界みたいな。ティム・バートンの作る映画の中で演奏しているロック・バンドみたいなイメージのバンドをやりたくて。そこがLeetspeak monstersの始まりでしたね」

Euskyss「そこからいろいろと試行錯誤してオケを作っていく中で、D13のボーカルの良さが出せることも考えながら、ラップを入れて、ループ物のヒップホップっぽいネタで、上物で映画の音楽をサンプリングした様な感じで作ってみたら、それがしっくりきて、だんだん今のLeetspeak monstersの音楽性になっていったんです」

D13「Euskyssが持ってきてくれて、それを仕上げていきながら、本当にやりたいことだったこともあって、とにかくやってて楽しくて仕方なかったですね。でも、“絶対こんな音楽売れないよね!”ってケタケタ笑いながら作ってましたね(笑)」

自分達がヴィジュアルシーンで
活動することが想像付かなかった

 D13の頭の中にある世界をサウンドに落とし込み、具現化していく作業がとにかく楽しかったのだと語る2人。Leetspeak monstersの基盤が出来上がって間もない頃のサウンドは、まさに今も彼らが軸としている“お化け屋敷みたいなバンド”そのものだ。現在サブスクリプションでも視聴可能な、現メンバーでの体制になる前(2012年)にリリースされたEPに収録されている楽曲たちを聴き返してみても、もう既に【Leetspeak monstersという確固たる音楽ジャンル】を確立させていることが分かる。

 そんなLeetspeak monstersのメインコンポーザーはEuskyss。彼が生み出す楽曲たちは、緻密で繊細で難解なのだが、実に耳触りが良く、完成度が高い。「とにかく雑食で、ジャンル問わずいろんな音楽を聴きまくってたんです」と語るEuskyssは、ベースを始めたタイミングで音楽学校に通い、基礎から音楽の仕組みについて学んだ経験があり、そこで出逢ったブラックミュージックを得意とする恩師に薫陶を受け、R&B寄りのベーススタイルが基盤になっていったのだと言う。

 そして、一筋縄ではいかない難解な拍や、隙間なく詰め込まれた歌詞やリリック。そんな【Leetspeak monstersという確固たる音楽ジャンル】をいとも簡単に歌い上げるD13。レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのザック・デ・ラ・ロッチャがとにかく好きというD13は、自身の音楽ルーツとしてマルーン5、フォール・アウト・ボーイ、ビースティ・ボーイズを上げる。なるほど、な融合だ。

 難解なリズムを滑らかに表現するドラマー・DieWolfもまた、ロック畑のドラマーでは無かったことから、Leetspeak monstersのサウンドは【Leetspeak monstersという確固たる音楽ジャンル】へと進化を遂げていったと言える。

DieWolf「ルーツはフュージョンとジャズです。僕の中にはLeetspeak monstersを始めるまで、ロックというジャンルはなかったんです」

D13「最初に誘ったとき、断られたんです。“自分にはこういうジャンルは叩けないと思うから”って」

DieWolf「ポップロック的なバンドは昔やっていたことがあったんですけど、ガッツリしたロックって本当にやったことがなくて。叩ける自信がなかったんです。でも、“絶対に叩けるから大丈夫、自分なりのプレイでいいから”って言われて加入することになったんですけど、やはり自分のプレイスタイルは変えられなくて。でも、逆にそれがLeetspeak monstersらしさに繋がっていったのかなって思っているんです。個人的に4つ打ちとかは苦手だったりするんですよ。なので、そこも最初はなかなか苦労したところではあったんですけどね。得意分野を活かせるのは、ゴリゴリに跳ねてる感じの楽曲なんです。自分的には、基本的なプレイスタイルは変わっていないんですけど、多様性が身に付いた感じですね。最近力強さが増してきたかな、って感じることもあってだんだん自分の中でも振り幅が広がって来ているのを感じてます」

 4つ打ちといえば、オーディエンスのクラップからスタートするダンス曲「Haunted Mansion」では、フロアがダンスフロアに変貌するほど煌びやかな楽曲なのだが、DieWolfのキレの良いドラミングは最高に気持ち良いし、苦手意識など微塵も感じはしない。DieWolf的に“得意”を感じるのは「Make your treats」。ハロウィンにお菓子を作る歌として作られた、薄暗さと物語性を感じる楽曲だ。なるほど、得意というだけのことはあり、このリズムは最高にマッチする。さらに、DieWolfの言葉を受け、最近のライヴで聴いた「Supernatural」が真っ先に思い浮かんだ。DieWolfはこの曲で、彼自身のルーツから影響を受けたセンスを個性としたドラミングとは異なる力強いプレイを魅せていたのだ。そのドラミングは、まさしく“ロック寄りのドラムプレイ”であったことから、Leetspeak monstersの表現の振り幅が、更に広がってきていることを証明していた。

 2020年10月28日にリリースされた5thシングル「Samhain」で魅せる、メロウなベースフレーズといい、それを際立たせるドラミングといい、ロングトーンのギターフレーズとラストに向かう楽器隊の息の合った畳み掛けといい、織り成すサウンドの抑揚は実に素晴らしく、Leetspeak monstersの証と言える繋ぎ目を感じさせないドメの歌声には無意識に引き込まれてしまう。

D13「「Samhain」は僕らの楽曲の中でも特別にダークな雰囲気で。あそこまでダーク世界観は珍しいかなと思いますね。「Samhain」が出来て、ライヴというか、ステージでのSHOWの魅せ方が変わった感じがしているんです。僕の中でライヴというのは、お客さんを楽しませることが第一だったりするので、手を振って一緒に盛り上がれるような魅せ方を第一にやって来たところがあるので、歌モノのバラードをお客さんが客席で微動だにせずに聴いてるっていう感じは、個人的にあまり好みではなくて。もちろん、そういうスタイルが似合ってるバンドも居るので、そこは否定している訳ではないんですけど、そこはあくまでも自分自身の中に、そういう伝え方が想像つかなかったというところがあり、どうやって歌ったらいいか分からなかったんです。でも、「Samhain」をやることになって、初めて、人の目を見て聴いてくれる人に伝えるという歌い方ではなく、自分の世界に入って歌うだけという伝え方をしったんです。あぁ、なるほど、こういうことなんだなって、分かった気がしたんです」

Euskyss「去年の4月に「Beltane」、10月に「Samhain」、現段階での最新シングルとなる「Trick or Treat」を今年の10月にリリースしたんですけど、「Beltane」と「Samhain」を作るに当たって、魔女の祭典をテーマに書こうと決めて作っていたんです。5月に“Beltane”と呼ばれる春の祭典、10月に“Samhain”というハロウィンの原型になった秋の祭典があるんですけど、2つがついになっている曲にしたいなと思ったんです。そのテーマから、いつもとは少し違った世界観になっていったという流れでしたね」

D13「今までのLeetspeak monstersらしさは、「Trick or Treat」みたいな、みんなで一緒に盛り上がれる楽曲の方が主流だったこともあり、そっちが王道な感じはあるんですけど、「Beltane」「Samhain」が出来たことによって、少しバンドの価値観が変化したのかな?ってところはありますね」

 遡ったところで言うと、2012年にリリースされたアルバム『Waiting in the closet of your heart…』に収録されている「Dance Dance」は、女性ボーカルとの掛け合いも曲中に存在するアメリカのハードロックを感じさせるご機嫌なリフとテンポ感であるし、英詞で歌われる表情豊かなメロディラップが印象的な「The wizard said laughing」は、モンスター感満載の中、生音のみにも関わらずインダストリアルを強く感じる芸術作だ。

 最新シングル「Trick or Treat」のカップリング曲「Supernatural」に至っては、音だけ聴いたらLeetspeak monstersとは気付かないほどストレートなロックであるのだが、聴き進めて行くと奥底にはしっかりとLeetspeak monstersのブレない軸を感じることが出来る色濃い個性を放つ1曲である。

 とにかくその音楽性の高さは実に素晴らしく、その個性は簡単に真似出来るものではない。しかし、これほどまでに幅広い音楽性の基盤を持つ彼らは、何故、敢えてヴィジュアル系というシーンで活動していく選択をしたのだろうか?
 
Euskyss「2017年から今の事務所にお世話になることになって、ヴィジュアル系というシーンの中で活動する様になったんですけど、最初は絶対に入りたくないって言ってたんです」

D13「今の事務所の社長のラメさんに声をかけてもらったときは、僕もEuskyssもDieWolfも全くヴィジュアル系を通って来ていないので、抵抗があったというより、自分達がそのシーンで活動するということが想像付かなかったんです。当時、Yo’shmeerになる前のギターだったメンバーも、ハードロックとかヘヴィロックをルーツとする奴だったので、そのシーンに免疫はなくて。最初はお断りしたんですけど、何度かお話をさせて頂く中で、すごく熱心に“Leetspeak monstersはもっと多くの人に知ってもらって、たくさんの人達に聴いてもらうべき音楽だと思うから”って言って下さって。自分達の音楽性を変えずに、聴いてくれる人達の振り幅を広げられるのかな? って思えたところもあり、経験値を上げるという意味でヴィジュアル系というシーンでやってみようかなと思える様になったんです。正直、怖かったです。シーンを変えるということは、今まで自分達が積み上げて来たバンドの歴史を0、もしくはマイナスからのスタートにしなくちゃいけないですからね」

 相当な覚悟があったと言う。が、しかし、自分達が創り上げて来た来た音楽性を信じ、ヴィジュアル系というシーンに身を置いてみる決意を固めた彼らは、軸となる音楽性を変化させることなく、シーンに合わせた魅せ方を取り入れ、新たにLeetspeak monstersをスタートさせたのだ。

D13「前のギターが辞めることになって、Yo’shmeerに声を掛けたんです」

Yo’shmeer「僕はメロコアが好きだったんですけど、1番好きだったのは90年代のヴィジュアル系だったこともあり、もともとLeetspeak monstersのファンで、チケットを買ってライヴをよく観に行ってたんです。Leetspeak monstersがヴィジュアル系のシーンで活動する様になってからライヴを観に行ったとき、今までは居なかったゴスロリ系の女の子たちが、ドメさん(D13)が大きく手を上下に振って煽るノリを真似て盛り上がっていて、ヴィジュアル系のシーンに新たしい風を吹かせているなって感じたんです。自分が90年代のヴィジュアル系が好きな理由は、全てのバンドがそれぞれ全く違う個性を放っていたことでもあったので、それをLeetspeak monstersに感じたんです。すごいな、カッコイイな! って思って、ますます好きになったんです。でも、あるとき、前のギターの方が辞めることになって、ドメさんから誘われたんですけど、俺、最初は断ったんです。ビビッちゃって。“俺には無理です”って言って断ったら、“じゃあ、誰かいいギタリスト居たら教えてくれない?”って言われて。で、知り合いや友達にいろいろと聞いて探してみたんですけど、みんなに“お前しか居ないと思うよ。適役だよ!”って言ってもらって、冷静に考えたら、自分でも俺しかないかな、やるしかないな、ビビッてる場合じゃないなって思ったんです。それで、改めてドメさんにやらせて下さいってお願いしたんです。個人的にも、Leetspeak monstersがヴィジュアル系のシーンで活動することを決めて新たな風を吹かせていってるその挑戦が、すごくカッコイイなって思えて。自分達が培ってきた個性をそのままに、自分達の未知なるシーンに殴りこんでいく感じが、本当にすごくカッコイイなって思ったんで、自分もここでその挑戦を一緒に出来るって、最高だなって。Leetspeak monstersのバンド内は、D13=骸骨・Euskyss=吸血鬼・DieWolf=狼男・俺Yo’shmeer=フランケンシュタインというキャラクターになっているんですけど、自分で言うのもなんなんですけど、俺、フランケンシュタインっていうキャラはピッタリだなと(笑)。根拠のない自信ってやつですかね! 絶対に面白くなるっていう自信が湧き上がって来たんです!」

D13「我々はヴィジュアル系のシーンを全く知らなかったので、Yo’shmeerから、“今まで縦ノリって無かったんですよ! Leetspeak monstersが新しいノリをシーンに持ち込んだと思います!”って言われて、あ、そうなんだ、じゃあ、このまま貫き通せばいいんだな、って改めて思ったんです。僕自身、挑戦することは大好きだし、ずっと同じところに止まっているよりも面白いと思ったら飛び込んでみたいと思う人間なんですけど、正直、飛び込む前は抵抗がなかったと言えば嘘になるし、今までのシーンのお客さんが離れてしまうのも怖かったんですけど、最近は元々のミクスチャーシーンで対バンして来たバンドとも一緒にやったりしてますし、そっちのシーンのお客さんもたくさん観に来てくれる様になって来ているので、変なこだわりは一切なくなりました」

OKMusic編集部

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