「しばらく何も作りたくないぐらい、
全部出しきった気がします」GARNiDE
LiA 5thアルバム『DUALITY CODE』リ
リース記念インタビュー

「めちゃくちゃいいアルバムできちゃったなって、自分たちで思っているんですよ。今回のアルバムは、本当に自信があるんです。しばらく何も作りたくないぐらい、全部出しきった気がします」(MARiA)
GARNiDELiA『DUALITY CODE』
 はずんだ声のMARiAが表情豊かに話す横で、クールなtokuが静かにうなずいている。GARNiDELiAのおよそ1年振りとなる5thアルバム『DUALITY CODE』は、結成12年目を迎えた二人が、新しいフェイズに到達したことを示す画期的な作品だ。が、アルバムの話をする前に時間を少しさかのぼろう。2021年の前半、二人はGARNiDELiAを一時休止させ、初めてのソロプロジェクトに挑戦した。MARiAは本間昭光プロデュースのもと、TAKUYA(JUDY AND MARY)、山下穂尊(ex.いきものがかり)、橋口洋平(wacci)、じん、草野華余子などの楽曲提供を受け、ボーカリストに専念したアルバム『うたものがたり』を作った。そしてtokuは、神田沙也加一青窈鈴木このみ、未森すずこ、石原夏織竹達彩奈らをゲストボーカルに迎え、音楽家としての才能を全面開花させるアルバム『bouquet』を作った。『Duality Code』は、そんな短くも濃密なソロ活動で得た経験を得て生まれたアルバムだと、二人は口を揃えて言う。
「ソロ活動は確実に私の成長につながっていますね。歌い方の幅、表現力、声色も含めて“私はこういう歌い方もできるんだ”という引き出しが増えました。ソロアルバムでは10曲のラブストーリーを全部違う方に書いていただいたんですけど、“こういう言葉を使うとこう伝わるんだ”とか、“(歌詞の中で)答えを出さないほうがグッとくることもあるんだ”とか、自分の中にはなかった表現方法をいただけたので、それは今回のアルバムにすごく生かされていると思います」(MARiA)
「MARiAは、歌う人としての技術はもともとあるので、ソロでそれをどういうふうに新しく表現していくのかを、面白く見ていました。ソロアルバムはラブソングがメインだったので、GARNiDELiAに戻った時にラブソングがどう変わっていくのか?に期待しつつ、楽しみにしていましたね。自分のソロに関しては、ゲストボーカルにどう合わせるか?を考えて、いい意味で気を使った作り方をしたと思います。MARiAのために作る楽曲とはやっぱり違うので、わりと踏み込んだメロディの作り方や、ちょっと不思議なアレンジや、いろんな面白いことができました」(toku)
「tokuは昔から作家として、アレンジャーとして、いろんな方に曲を提供してきましたけど、GARNiDELiAになってからこんなに短期間に他の人が歌う曲を書くことはなかったので、“この人、やっぱりすごいんだな”と思いました(笑)。ガルニデのために書いた新曲は、今までのようにスピード感と音の厚みで押すのではなく、全体的に音数が減ったんですよ。あれだけ多種多様なボーカリストの方に曲を書くことで、いろいろ試してみた手法が、ガルニデのアルバムにも盛り込まれているのかな?と思います。どうなんですか?」(MARiA)
「それはソロを経てのこともあるし、この2年間の感情の揺れ動きも音に出ていると思いますね。コロナ禍の中、ライブができない状況で、どう音楽を聴いてもらうか?を考えた時に、音数がいっぱい詰まっているものは、ベッドルームミュージックにはなりづらいと思うこともあったし、自分が聴く音楽がチル的な方向になってきたこともあって、そっちに行けば行くほどメロディと歌詞の重要性が増して、アレンジも引き算になるし、歌詞の意味も強くなる。そこが今回はうまくマッチしたんじゃないかなと思いますね」(toku)
GARNiDELiA
 ユニットとしての進化、それぞれのソロ活動の成果、そして時代の要請が組み合わさって生まれた必然のアルバム。『Duality Code』は、ライブの盛り上がりが目に浮かぶ強力なデジタルロックチューン「Live On!」で幕を開け、激しい曲から徐々にディープな方向へ。中盤の「aquarium」や「ピエロ」など、新機軸のアダルトでリアルなラブソングの世界へと突き進んでゆく。
「「Live On!」は、これから来るツアーに向けてという感じの曲ですね。速くて激しいアニソンの曲で僕らを知った人たちのために、“こういうのももちろんやりますよ”みたいな感じで(笑)。僕ら的にも、ライブでアゲていく曲を作りたかったしね」(toku)
「「aquarium」は、曲を聴かせてもらった時に水の中にいる感じがパッと浮かんだので、アクアリウムというテーマの恋愛ソングにしようと思いました。「aquarium」も「ピエロ」も、「オトメの心得」「春がきたよ」もそうなんですけど、こんなに恋愛ソングを入れるアルバムも今までなかったと思います。それができたのは、今回主題歌をいただいたアニメ『大正オトメ御伽話』と、ドラマ『どうせもう逃げられない』がどっちも恋愛ものだったことが大きくて、“主題歌で恋愛ものを書いてほしい”と言われることが今までなかったので、ガルニデといえば戦闘アニメの主題歌という、これまでファンが持っていたイメージをいい意味で払拭できると思ったんですね。それと、今までのタイアップソングに関しては、女の子っぽいとか男の子っぽいとかに左右されず、中性的に書こうと思って、一人称を“僕”にしていたんです。それは男性や女性に関わらず、頑張っている人の背中を押す曲を書くことが多かったからでもあるんですけど、今回のアルバムは一人称が“私”で、背中を押すようなロックな曲でも“僕”は使っていないんです。今まではみんなの共感というか、普遍的に刺さるような歌詞を意識していたんですけど、今回は“これがいま私があなたに伝えたいことです”というものを書いているので、距離が近く感じられるんだと思います。恋愛ものが多くなったのもそうだし、女性としての私の生き方みたいなものが刻まれていると思いますね」(MARiA)
GARNiDELiA『DUALITY CODE』
アルバム収録のタイアップ2曲、『大正オトメ御伽話』オープニング主題歌「オトメの心得」は、にぎやかなホーンセクションが活躍する明るく華やかな曲。ドラマ『どうせもう逃げられない』のオープニング主題歌「春がきたよ」は、GARNiDELiAにとって初のドラマ主題歌で、ピアノとアコースティックギターの音色を生かしたせつなくメロディアスなミドルチューン。ドラマのストーリーに寄り添いつつ、MARiAの等身大の恋愛観を映し込んだ2曲は、アルバムの後半を飾るハイライトになっている。
「「オトメの心得」は、“私、こんな可愛い歌詞も書けるんです”と言いたい曲(笑)。自分たちが『大正オトメ御伽話』という作品をすごく好きになったので、作品愛がにじみ出ていると思います」(MARiA)
「アニメの制作サイドから“ビッグバンド風に”というお題をいただいたので、それをガルニデのカラーにするにはどうしたらいいか。もっと大人っぽくすることもできたと思うんですけど、作品に出てくるキャラクターがすごく可愛いくて、MARiAの歌詞も可愛いものだったので、アレンジも可愛い音を追加してみたりしましたね。全部を生楽器でやるとガルニデ感が出ないので、ドラムとベースは打ち込みにしたりとか、ちょっとしたギャップを楽しむ楽曲になればいいなと思います」(toku)
「『どうせもう逃げられない』は、原作の漫画を読ませていただいたんですが、途中まではけっこう壮絶でエグイ感じで、これってバッドエンド?と思うんですけど、最後はちゃんと二人が幸せになっていくんですよね」(MARiA)
「MARiAからそんな話を聞いていたので、「春がきたよ」のサビの出だしはマイナー感があるんだけど、サビの終わりにホッとするようなメジャー感あるメロディを付けられたらいいなと思って作りました。アルバムの中でも、メロディが特に気に入っている曲です。悲しい部分もハッピーな部分も両方あるので、曲全体を通して二極性が出て、アルバムタイトル『Duality Code』(=二元性)にも沿った曲にもなったと思います」(toku)
GARNiDELiA MARiA
 MARiAの新境地とも言うべき等身大の恋愛ソングは、「aquarium」「ピエロ」から、「ミルクキャラメル」「オトメの心得」を経て、「はじめてのクリスマス」「春がきたよ」へ。「最初の方はダークな感じで、だんだんハッピーになっていく流れにしたかった」(MARiA)という、なだらかなハッピー曲線を描いてアルバムは進む。歌詞について語るMARiAは、「さらけ出す」という意味の言葉を何度も口にした。それは「GARNiDELiAのMARiA」という強固なアイコンが、ゆっくりと変貌しつつあることを意味している。
「自分の中に“GARNiDELiAのMARiAはかっこいい女でいなきゃいけない”というものがあったんですね。そうあるべきだと思ってステージに立ち続けてきたんですけど、たとえば「はじめてのクリスマス」という曲でクリスマスの恋愛ソングを書こうと思った時に、“かっこいい私はいらないでしょ”と思ったのは、大人になって、少し余裕ができたからかもしれないです。もちろんそれは今までも私の中にいたし、ステージを降りたら普通の女の子だったわけですけど、それを見せちゃいけないと思っていたんですね。ずっと張り詰めていたし、尖っていたけど、それがふっとゆるんだというか、“こういう私を見せてもいいよね”と思えるようになったという感じです。ソロをやったことも大きいと思うんですけど、歌詞を書いてくれた方に“MARiAさんには生活感がないから、「冷蔵庫」というワードを歌ってほしかった”と言っていただいて、「光」という曲ができたように、そういう部分は見せていなかったんです。それで“ご飯を炊くイメージがない”とか言われて、“炊くよ、そりゃ!”みたいな(笑)。そういう一面を見せることで、同性のお客さんたちも、一緒に年齢を重ねているし、より親近感を感じてもらって深い関係になれるんじゃないかな?と思ったりします」(MARiA)
 そしてアルバムは、ラスト2曲でさらに大きな展開を見せる。11曲目「stellacage」はガルニデ史上初めてtokuが作詞作曲、リードボーカルをつとめる曲で、tokuの朴訥であたたかい歌声、ぬくもりあるメロディがじんわり胸に沁みる1曲。発端は2019年8月の〈stellacage Asia Tour 2019“響喜乱舞”〉ツアーファイナル、大宮ソニックシティ大ホールのステージ上でサプライズ的に披露された、その日限りで消えてゆくはずのワンコーラスだけの楽曲だった。
「それまでもツアーの最終公演で、MARiAの衣装替えの間に僕が何かをやるという5分くらいの時間があったんですけど、いろいろやり尽くしてきちゃったから、何をやろうかな?とすごく悩んで、曲を作ることにしたんですけど、人前で歌うのは嫌だから、リハーサルでも歌わないで、いきなり本番で歌うという」(toku)
「tokuさん歌ってる!って、スタッフもびっくりしてました。しかもめっちゃいい曲だから、“これ絶対アルバムに入れよう!”って言ったんです。ツアー前に出るアルバムだし、ガルニデのライブを〈stellacage〉=星を閉じ込めた箱、と呼んでいる意味を伝えるためにも、ここでリリースするのはいいタイミングだと思ったので。本人は“えー、本当に入れるの?”とか言ってたけど、12年やってきた私たちのアルバムだからこそ、tokuが作詞作曲して歌う、メイリア要素ゼロのこの曲をアルバムに入れることに意味があると思ったんですね。今までだったら絶対にその発想には至らなかったけど、それを“アルバムに入れよう”と言える状況になったのは、私たちの成長だと思うんです」(MARiA)
GARNiDELiA toku
 そしてアルバムを締めくくる、強力な推進力で突っ走るデジタルロックチューン「Reason」。MARiAが全身全霊を打ち込んで書き上げた歌詞がすべてを物語る、深読みを必要としない「GARNiDELiAの存在理由」がここにある。
「私がいま全力で、ライブで直接みんなに一番聴いてほしい曲が「Reason」なんです。この2年間ぐらいツアーができない中で、みんなにも会えなくなっちゃったし、音楽がマストとして必要とされる世界ではなくなってしまった…というか、世間的に不要・不急ではなくマストのものではないという判断をされてしまった。確かに衣食住という余裕があって音楽を楽しめる機会があるとは思います。でも自分たちはライブで生きているし、音楽で生きている人間としては絶対にマストなものなんだけど、“ライブをやってはいけない”という状況になった時に、“必要とされていないのに、それでも私が歌い続けたい理由は何だろう?”とか、“ステージに立ちたい理由は何だろう?”と思ったんです。、自分たちの仲間の中でも、もう音楽をやらないと決めて別の道を選んだ人もいっぱいいるし、それを見ている中で、“自分がやり続ける理由は何だろう?”ということを、あらためてすごく考えた時間が多くて、それが全部この曲に詰まっています。自分で出した答えがこの曲なんです。たぶん私はずっと、この歌に込めた思いで歌い続けていくと思いますし、これが私の本当の等身大、一番リアルなMARiAです。それをアルバムの最後に持ってきているところに意味があるんですね。全部が、ここにたどりつくまでの今までだったと思うから」(MARiA)
「今回のアルバムは、自分たちが話している日本語という言語で意味を伝える時に、きちんと寄り添えるメロディやアレンジを作ることが、もっと強力な音楽を作る方法なのかなと思って、そういう作り方をしています。今までは、アレンジで音を足したほうがもっと映えるのかな?ということを試してきたんですけど、言葉の持つ意味を考えていくと、もっとストレートでシンプルでいいんじゃないか?ということを、アルバムを作りながら思っていたので。普段しゃべって伝えるのは恥ずかしい言葉でも、歌だと言えたりする、そういう言葉の強さを今回あらためて感じましたね」(toku)
GARNiDELiA『DUALITY CODE』
 久々の全国ツアー〈GARNiDELiA stellacage tour 2021→2022“Duality Code”〉は、12月5日CLUB CITTA’ 川崎から1月23日の東京・中野サンプラザまで、6都市を駆け抜ける。「ライブのセトリを組むように曲順を決めた」(MARiA)という『Duality Code』の世界観は、ライブでこそ生きるはずだ。GARNiDELiAの新たな運命の羅針盤とも言うべき『Duality Code』を、まずは音源で、そしてライブで、存分に堪能しよう。
「今まで何回も変化を繰り返してきましたけど、このアルバムが一番大きく変わったと、いい意味で思ってもらえると思います。それは“あー、ガルニデ変わっちゃった”じゃなくて、“ガルニデはガルニデだから”という感じ。周りの評価とか、見られ方とか、そういうものが全部取っ払われて、“うちらがやればうちらだから”ということです。ガルニデは何のジャンルの人ですか?と言われ続けてきたけど、ガルニデがやればガルニデの曲になるねって、自分たちの中でわかってきたんです。「オトメの心得」も「春がきたよ」も、今までだったら“え、こんな曲やるの?”というテンションの曲だったと思うんだけど、“ガルニデの曲ですけど、何か?”みたいな、自分たちの中で自信がついたのかな。いろんなことにとらわれず、自由になりました」(MARiA)
インタビュー・文=宮本英雄

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