鈴木康博

鈴木康博

ここからは自分の身近なことを
歌っていくんだと思った

オフコースでの活動は鈴木さんにとってどんなものだったのでしょうか?

勉強でした。会社を作って、アレンジも初めて自分たちでやるようになって…今思うと一生懸命でしたね。

50年以上活動してきた中で、音楽への向き合い方が変わったこともあったのではないかなと思うのですが。

ある時期に自分のセンスがついていけなくなって、そうするとメジャー契約が終わるんです。“今までメジャーを目指して音楽を作ってきたのに、セールスしてくれる場所がなくてもやり続けるのか?”“どこも契約してくれないのに、それで音楽と言えるのか?”と考えました。今は“インディーズ”という言い方があるけど、昔は“自主制作”と言われていたんですよ。メジャーから外れることは都落ちで、“それでもやるのか?”って自分に問いかけて…でも、もう音楽しかやることがなかったんです。生きていく上で音楽を選んできて、自分のことを歌にしてきてね。作ればかたちとして残っていくものだから、これを続けるしかないと思った。あの時は本当に自分と音楽に向き合った感じがします。その時までは売れたいから音楽を作っていたところもあって…例えば自分で歌詞を書かなくても、作詞家の方にお願いすることだってできる世界だったんです。それが自主制作になると全部自分でやるしかない。そこで初めて自分の音楽と向き合えた。はっきり言ってしまえば、音楽を作る時に伝えたいことなんてないんですよ(笑)、俺がやっていることに関してはね。思ったことを歌詞にして、誰かが共感してくれれば手を出してくれるっていう感覚です。すごく伝えたいことがあってやっていると、だんだん大上段になっていくんだよね。そうすると、音楽が自分から離れていって、すごく距離ができてしまう。それは最初にフォークソングをやり始めた時に、戦争がどうのこうのって歌っていた時の気持ちと似ていて。戦争をしていないのに反戦を歌ったって、自分に実感がないから響かない。そのことにもやっと気がついて、もうここからは自分の身近なことを歌っていくんだと思いました。これはすぐに気がつけるものじゃなかったね。

今の鈴木さんのスタイルにつながっているんですね。

うん。でも、自分のスタイルって自分ではあんまり分かっていないんだけどね(笑)。一時期は“音楽は自分の美意識を世の中に問うもの”と言っていたこともあるんですけど、今は美意識を持ってささやかにやっているだけです。

OKMusic編集部

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