伊東歌詞太郎

伊東歌詞太郎

【伊東歌詞太郎 インタビュー】
この曲は1番2番を
フルで聴くことが前提になっている

甘酸っぱさ、青春感というお題から、
出てきたテーマが“黒歴史”だった

MVも宇宙がモチーフになっていて、サウンドイメージにぴったりだなと。

監督から出てきたイメージがあれだったのは、すごく嬉しかったですね。もともと宇宙は好きだし、自分が今置かれている状況やこれからの未来をオーロラに込めて“Auroragazer”という名のワンマンツアーを今回やることにしていたら、なんと監督がMVにオーロラを出してきたんですよ! おまけに『ディープインサニティ ザ・ロストチャイルド』のエンディング映像にもオーロラが出てきて…これ、全部偶然なんですよ。

奇跡的なシンクロですね。アーティスト写真やジャケット写真の色味も、どことなくオーロラ感ありません?

ジャケットは偶然ですけど、アーティスト写真はちょっと意識したところがありますね。そう言えば「記憶の箱舟」のMV撮影の時、全力で歌っていたら監督チームに“無理しないでください”って言われたんです。でも、自分的には撮影に何時間かかろうと、全部全力で歌いきるのが当たり前なので、今回も全力で歌っていたら、やっと“無理しないで”って言われなくなりました(笑)。

リップシンクの場面でも歌う真似だけをしている人が多いですからね。

それはもったいないですよ! 真剣に歌うぶんだけ歌ってうまくなるんだから、歌える機会には全部歌っておきたいんです。しかも、MV撮影だと本当に歌うことで映像に嘘感もなくなるんだから、さらに歌わない理由はない。なので、今後もずっと歌うと思います!

その甲斐あって…というのも変ですが、今回の歌も素晴らしくて! サビ終わりのハイトーンなんかは、本当によく出るなと。

本当ですよね。なんで出るのか自分でも分かんないです(笑)。

でも、そんな難易度の高いメロディーを、自分で作っているわけじゃないですか。

そうなんですよ! “自分がどうしてここまで高いキーの曲を作るんだろう?”と考えたことがあって、メロディーって組み合わせなんですよね。つまり、音域が広がれば広がるほど組み合わせが増えて、メロディーを作る上で自分が解放されていくんです。なので、ついつい今の音域をフルで使うことになっちゃって、その結果またキーが上がっていき、その上がった音を使うから、またキーが上がっていくという。その結果、今は実音で4オクターブ出るんですよ。裏声やホイッスルヴォイス抜きで。

ええ!?

マライア・キャリーは8オクターブって言ってますけど、ホイッスルヴォイスを含めての話ですからね。ホイッスルヴォイスはただの音だからメロディーにはならないし、実音なら伊東歌詞太郎の4オクターブの中に全部入るから、今、この世に自分が歌えない曲はないんじゃないかと(笑)。

いや、すごい。カップリングがまったくイメージの違う曲になっているのも、その音域の広さがあればこそですね。「スプリングルズ•サワークリーム」は賑やかで明るいバンドサウンドですが、このタイトルってポテトチップスの味からきています?

そうなんです。プリングルズのサワークリーム味が大好きで、毎晩寝る前に必ず食べちゃうんですよ。ハーフ缶に換算すると月に44本食べてますね(笑)。この曲はTVアニメ『幼なじみが絶対に負けないラブコメ』第6話の挿入歌で、監督さんから“甘酸っぱさ”とか“青春感”というキーワードが最初から指定されていたんです。じゃあ、自分がそのキーワードから描きたいものって何かと考えた時、出てきたのが“黒歴史”だったんですよ。

えっ! もっとポジティブな曲かと思っていたのに。

まぁ、“黒歴史なんて誰にでもあるんだから気にせず声に出していこうぜ”っていうのと、“それが嫌ならダサくなんないで生きようぜ”っていうふたつのメッセージを込めているので、ポジティブではありますね。でも、書かれているのは痛いことばかりですよ。例えば“空から魔法少女が降ってこないかな?”とか“白馬に乗った王子様がこないかな?”とか、自分には特別な何かが起こるっていう妄想を学生時代は持ちがちじゃないですか。あとは、気になっている子との勘違いなやりとりとか、痛い思い込みとか。前に“中二病を大人になって振り返ってみた”っていう記事があって、そこに“中学生の時、自分の能力を抑えるために制服の下に包帯を巻いていました。悪を見つけたらその力をすぐに解放できるように、土日は街を徘徊していました”とかの体験談が載っていて。それって大人から見たらくだらないけど、その子は本気でやっていたんですよ。だから、くだらなくなんてないぞ!と歌っているんですよね。

もしや、そんな経験が伊東さんにも?

こういうことを言うと一段上の人間みたいに見えて嫌なんですけど…正直言って、自分に黒歴史はないんです。ただ、よく相談とかは受けていて。中学の時かな? ある女子に好かれていると思い込んでる友達に“いつ告白しよう?”と相談されたんだけど、その女子は全然別の男子を好きだっていうのを自分は知っていたとか(笑)。そういう体験をめっちゃ覚えていたんで、こういう歌詞が書けたんです。

そんな楽曲に大好きなチップスの名前をつけたのは…

“甘酸っぱい”からですね(笑)。タイトルにしたことで、もしかしたらプリングルズから一年分くらいもらえるんじゃないかと思ってたんですけど、一切連絡がなかったんですよ。ちょっと期待していたのに!(笑)

OKMusic編集部

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