重厚な
アフリカンジャズロックを聴かせる
ジンジャー・ベイカーズ・
エアフォースのデビューライヴ盤
『ジンジャー・ベイカーズ・
エアフォース』
本作
『ジンジャー・ベイカーズ・
エアフォース』について
「ダ・ダ・マン」「アイコ・ビヤエ」はアフリカンジャズロックとでも言うべき白熱した演奏となっており、ウィンウッドのオルガンをはじめボンドらによるホーンもノリまくったプレイを聴かせる。トラッドの「アーリー・イン・ザ・モーニング」や「マン・オブ・コンスタント・ソロウ」では珍しくリック・グレッチがエレキフィドルでのソロを披露している。お馴染みの「いやな奴(原題:Toad)」はベイカー、シーメン、カバカのトリプルドラムによる演奏で、これまでで最も迫力あるパフォーマンスとなった。また、「君の好きなように(原題:Do What You Like)」はジャズファンク的なテイストが感じられる演奏になっていて、ブラインド・フェイス時代とはまったく性質の違うアプローチを試みている。
GBAの先進的で重厚なアフリカンジャズロックは当時のアーティストたちに大きな影響を与え、中でもスティーブ・ウィンウッドに関しては、このライヴの参加したことがトラフィックの再編に果たした役割は大きい。
グループの面子からしてGBAは一時的なセッションと思われがちだが、この後、メンバーを大幅に入れ替え(ウィンウッドとクリス・ウッドはトラフィック再編のため抜けている)、2ndアルバムとなるスタジオアルバム『ジンジャー・ベイカーズ・エアフォース2』(’70)をリリースする。ここでも濃厚なアフリカン・ジャズロックは健在なのだが、クリームの「サンシャイン・オブ・ユア・ラブ」のカバーが収録されているのはご愛嬌。
TEXT:河崎直人