【MAN WITH A MISSION
インタビュー】
ロックバンドに対する憧憬を
青臭いくらいに持っている
MAN WITH A MISSION(以下、マンウィズ)のニューアルバム『Break and Cross the Walls I』がとにかく素晴らしい。当初2枚組作品としてドロップする予定だったが、2作品連続リリースに切り替え、その第一弾となる。自分たちが信じ続けた音楽や思想をより赤裸々に表明した決意作について、Jean-Ken Johnny(Gu&Vo&Raps)を直撃した。なお、Jean-Ken Johnnyの発言は編集部でオオカミ語(カタカナ)から分かりやすく日本語(平仮名)表記にしている。
自分たちが聴いて育った音楽を
出してもいいんじゃないか
今作は何十回と聴きましたが、非常に聴き応えのある作品でした。歌詞のメッセージも一貫性があり、バラエティーに富んだ楽曲が揃っていますけど、揺るぎないマンウィズ節を感じる力強い作風ですね。
アルバム名もそうですが、時代の狭間でみなさん壁にぶち当たっていると思いますし、ここ数年はいろんな問題が顕在化したと思うので、そこで感じたものが全曲に散りばめられています。
今作は時代性と切り離せない内容になりましたね。
そうですね。楽曲自体は時代に左右されないように気をつけているんですけど、発信しているメッセージは間違いなくこの時代の中で生まれたものだと思います。ただ、過去の作品でも目を背けてはいけないテーマは引き続き歌っていますから。我々の強みを考えた時、ジャンルそのもので強さを打ち出すのは難しいと思うんです。サウンド的には多岐に渡っているので。今回は我々がロックミュージックに憧れている部分を惜しげもなく、恥ずかしげもなく、自分たちの曲に落とし込みました。そういうことをやってもみんなと共有できるということを、この11年間で見つけることができたので。
このタイミングでなければできなかった懐の深い作品だと思います。
2020年にベスト盤『MAN WITH A "BEST" MISSION』(7月発表)を出せたのも良かったなと。コロナ禍の影響でライヴができなくなり、僕はそのベスト盤を今までの作品の中で一番聴いたんですよ。“このバンドの強みはどこなんだ?”と考えたし、それが制作にも影響を与えたんです。その結果、自分たちが聴いて育った音楽を開けっ広げに出してもいいんじゃないかと思いました。
マンウィズが受けてきたロック衝動をピュアに吐き出した作品だと?
そうですね。今まではそこにフィルターをかけていましたから。開けっ広げになれた理由はふたつあって。ひとつ目は自分たちのバンドの曲を聴き返した時に、ロックバンドに対する憧憬が強くあると再確認できたこと。ふたつ目は僕らが影響を受けた90年代の音楽を2020年にも説得力のある構造にしたいと。それを具現化できるだけの引き出しが、我々の中で完成してきたのかもしれません。
改めてマンウィズ最大の強みとは?
ロックバンドに対する憧憬を青臭いくらいに持っているのが強みだと思います。
なるほど。そして、今作は当初2作品同時リリースを考えていたそうですね?
ライヴ活動ができない中で久しぶりに出すオリジナルアルバムということで、センセーショナルというか、でっかいお土産をみなさんに届けたいと思ったんです。
Guns N' Rosesの『USE YOUR ILLUSION I&II』とか、あの辺がイメージにあったんですか?
特にKamikaze Boyはあったと思いますし、あの作品は衝撃的でしたよね。僕であればThe Smashing Pumpkinsの2枚組作『メランコリーそして終りのない悲しみ』とか、未だにヘヴィロテで聴きますから。芸術的なくらいに完成度が高い作品だと思います。正直言って期間を空けずに2作品を出すことには不安もあったんですよ。統一感が失われているのではないかと思いましたが、どの曲を聴いてもマンウィズだという強みは出ているのであればいいかなと。
今作の冒頭曲「yoake」の中に“もう一度自分たちを信じるのさ”という意味の《One more time believe in us》が歌詞にありますが、マンウィズ自身も何か揺らぎかけていたものがあったのでしょうか?
今、僕らが生きている時代が千年後、二千年後にどういうふうに映るのかと普段から考えているんですよ。その時代の希望や失望は当時の人しか味わえないわけだから、“じゃあ、自分たちはどんな未来を歩んでいくのかな?”って。そういう曲を書いてみたかったんです。