鈴木このみ

鈴木このみ

【鈴木このみ インタビュー】
めちゃくちゃギラギラに燃えている
自分を覚えていてほしい

“この気持ちって歌にできたんだ!?”
っていう感動が一番最初にあった

続きまして3曲目についてもうかがいたいと思いますが、今日のインタビューの本筋はこの「Sanctuary」ではないかと思っておりまして。鈴木さん自身、この楽曲をもらって歌うと決まった時はどんな印象でしたか?

この曲、私がいつか歌ってみたいと思っていたテーマをもとに書いてもらったんです。まさに“Sanctuary”というタイトルどおり、自分の心の中にある誰にも踏み込めない聖域を歌いたいと。今ってSNSとかを使えば、自分のことをみんなに知ってもらうことができるけど、誰にも踏み荒らされない、自分だけが知っている自分の美しさみたいなものが人には必要だと私は思っていて。それがあるから長く歌っていても、自分自身が消費された気持ちにならない気がするんです。そこは擦り減らないところなので。でも、正直言ってすごく抽象的で難しいテーマだし“もしかしたらあんまりうまくかたちにならないかもなぁ”と思っていたんですけど、楽曲をいただいた時は“わぁ、この気持ちって歌にできたんだ!?”という感動が一番最初にありました。で、2番目に“わぁ、また新しい曲がきたーっ! これはどうやって歌おうかな?”って(笑)。

そうでしたか。まずはサウンド面から話をしましょうか。1曲目や2曲目とはベクトルが真逆と言っていい抑制の効いた楽曲ですよね。ジャズっぽくもあり、AOR的でもあり。

「そうですね。ちょっとセッションっぽいと感じながら歌っていました。“リズムがジャストだとカッコ悪い歌になっちゃうなぁ”と思いつつ、“ずれてもいいのよ!”という心の余裕が必要だったというか、気にしないマインドが大事だったと思います(笑)。

フリーキーなリズムもあるので、素人が聴いても相当に歌いづらいことは分かります。大人っぽいというか、“こういう側面も出してきたか!?”という、いい意味での衝撃がありました。

ありがとうございます。カラーが、いつもの真っ赤っかの鈴木というよりは(笑)、どっちかと言ったら藍色っぽいですよね。でも、それも紛れもなく自分らしいと自分ではすごく思います。人に見せていないだけで、もともとあった自分という感覚なので。

歌詞のテーマが鈴木さん自身から出てきたものであればそれはそうなんでしょうね。しかし、歌詞では《私はそんなことのために歌わない》と言いきっているじゃないですか。変な意味じゃなく、“度胸があるなぁ”って感じがしましたよ。

あははは。5年くらい前だったら“ここの歌詞を変えてください”って言っていたかもしれないです。“お客さんにどうとらえられるか分からないから変えてください”って。

鈴木このみの新機軸としか言いようがないですね。そこはちょっとびっくりしました、正直言って。

私も最初に聴いた時、ドキッとしました。しかも、そのあとで落ちサビに入るところでは、音の処理もホラーな感じというか、急にドライになって“すぐ近くにきたーっ!”みたいになるので(笑)、イヤホンとかで聴いても楽しいかもしれないです。

男の人の声も入ってます?

それ、さっき他の取材でも言われたんですけど、私です!(笑)

《何もかも渡しても奪わせはしない ちいさな願いを》のところですが、あそこは何の処理もなく低音でハモってるんですか? デュエットかと思いました。

“低いパートがあったらもっとゾクッとするかもね”っていうことで、どこに入れたら効果的に聴こえるか何パターンが試したんですよ。“サビはどう?”とか“Aメロのここは?”とか、いろいろ試行錯誤しながら最終的にこのかたちになりました。

それは本当に驚いた。戻ったらもう一度ちゃんと聴いてみます(笑)。ということは、「命の灯火」にも「Mirror,Mirror,Mirror」にも新しいトライはあったでしょうけど、「Sanctuary」はそれ以上に、今までやりたくてもできなかったことに挑戦してみた感じですか?

シングルのテーマに引っ張られて、“今なら出していい”と思えたことがすごく大きいと思うんですけど、本当にそうですね。すごく抽象的な事柄だし、これは自分以外の人にとってはそんなにピンとこないかもしれない…それが悪いと言ってるわけじゃなくて、自分の聖域みたいなものを感じない人もいるかもと思うんですよ。だから、全員に当てはまる曲かと言われると、もしかしたら違うのかもしれないけど、“必ずこれがすごく刺さる人がいるんじゃないかな? だとしたら、歌ったほうがいいな”って思いました。

はい。正直言って「Sanctuary」の歌詞はちょっと解説できないです。明確な意味は掴めないし、迂闊に解説すると自分自身に跳ね返ってくるように思います。

そうかもしれないです。本当に深ーく入り込んで書いていただいたと思うし、逆に“私のこの気持ちを何で書けたんだろう?”って(笑)。

それだけ鈴木さんにとってリアルな言葉なんですね?

かなりリアルですね。いつも独りになった時に考えることに近い気がします。

“歌”という言葉が出てきますから、シンガーとしてのポジションというか、シンガーとして立ち向かう気持ちというか、そういう感じなんでしょうか?

スタンス的なものじゃないですかね? 今回のシングルは「Sanctuary」があったことで、すごく締まりが良くなったと思います。“いい最終話だったなぁ”という気持ちになれるというか(笑)。「Mirror,Mirror,Mirror」で終わると気分が盛り上がって、“よし、やってやるぞ!”っていう感じだと思うんですけど、「Sanctuary」があるなしでシングルの印象が変わったとは思いますね。

これは今日のインタビューで分かったことですが、今回のシングルも単に与えられた楽曲を歌うだけじゃなく、楽曲制作から携わってますし、これからはよりセルフプロデュースに近くなっていくことが容易に想像できます。

そういうスタンスに自然と変わってきましたね。昔は与えられたものを一生懸命に歌っているだけで…まぁ、その頃はまだピヨピヨしていたから(笑)、目の前にあるものを必死にやっていたんで。でも、こんなにたくさん歌う人がいる中で、それでは自分の存在意義というのは出ないと思うし、やっぱり戦い抜いていかなくちゃいけないと考えた時に、こういうスタンスに変わっていったんだと思います。

このシングルでそれが再確認できた感じでしょうかね。本当に今回のシングルも3曲ともお見事でした!

やったーっ! 前回はとても褒めてもらったので、今回は何を言われるかと不安でした(笑)。

あははは。でも、右肩上がりであることは間違いないでしょう。

ありがとうございます。私も今回のシングルを作り終えて、達成感がすごーくあります。それは歌のスキルという意味でも。華余子さんが新しい節回しを植えつけてくれたのと、今一番リアルに思っているメッセージが込められたのもめちゃくちゃ大きいですね。前回のシングル以降、時代背景なのか“生きる!”みたいなテーマを歌っている気がしていて。今回は“自分の命をどう使っていくか?”とか“なりたい自分になる”で、「Bursty Greedy Spider」も“生まれ変わった自分はどんなことがあってもワクワクして生きていこう”ということ、それこそ「Theater of Life」(2020年7月発表のシングル)はサビで《生きている》って歌っているし、最近は“生きる”ということについてずっと作品に考えさせられているところがあるので、もしかしたら次のアルバムはある意味で作りやすいかもしれないですね(笑)。

今言われた“生きる”というのは、やはりコロナ禍という状況が関係しているんでしょうか?

関係していると思います。人や環境からしか自分の感情って生まれないじゃないですか。 そう考えると、やっぱりあると思いますね。特にアーティストは活動に制限があって、その中で何かやらなきゃシンガーとして死んでしまうから必死で戦わなきゃいけなかったので。

その姿勢は素晴らしいし、頼もしく思います。このコロナ禍で“歌詞は何を書けばいいのか?”と悩んでいるアーティストもいらっしゃると思いますし、ベテランの方の歌は確実に柔らかいものになっているんですよ。そんな中で、アグレッシブに立ち向かおうとする鈴木さんのような姿勢は頼もしいです。

私は柔らかくならない(笑)。

若い人は柔らかくならなくていいんですよ(笑)。

どちらかと言えば今のモードが燃えているのかも。それは自分が10周年目前というのが大きいと思います。“ここでやられてなるものか! だって10周年目前だもん!”という気持ちもあるし(笑)。あと、かかわる人が華余子さん然り、炎タイプじゃないですか(笑)。それに感化されて、“だったら自分も今しかできないこと、普段できないことをやってみよう!”と。

若い人はそうじゃなくてはいけません。

そうですか(笑)。でも、まさに今しか轟々と輝いているものは出ないと思うんで。もしかしたら数年経っていい意味で丸くなって、柔らかいものも歌えるようになっている自分がいるかもしれないし、それはそれで楽しみだなと思うんですけど、今は逞しく…実際には逞しくないかもしれないですけど、逞しくあろうとする自分を今回のシングルにもしっかりと残せたと思います。

取材:帆苅智之

シングル「命の灯火」2021年11月5日発売 株式会社KADOKAWA
    • ZMCZ-15061
    • ¥1,650(税込)
鈴木このみ プロフィール

スズキコノミ:1996年11月5日生まれ、大阪府出身。11年に『第5回全日本アニソングランプリ』決勝大会でグランプリを獲得し、翌12年に「CHOIR JAIL」で15歳でデ ビュー。TVアニメ『ノーゲーム・ノーライフ』オープニングテーマ 「This game」、TVアニメ『Re:ゼロから始める異世界生活』オープニングテーマ「Redo」など多くのTVアニメ主題歌を担当。TVアニメ『LOST SONG』では田村ゆかりとW主演声優を務め、オー プニング主題歌「歌えばそこに君がいるから」も歌唱。16年より4年連続でアジアツアーを行なっており、上海、シンセン、香港、台湾、フィリピンにてワンマンライヴを開催。20年には夏クール放送のTVアニメ『デカダンス』のオープニングテーマ「Theater of Life」、TVアニメ『Re:ゼロから始める異世界生活』2nd seasonオープニングテーマ「Realize」、TVアニメ『恋とプロデューサー~EVOL×LOVE~』のエンディングテーマ「舞い降りてきた雪」のトリプルタイアップを獲得し、初のシングル3カ月連続リリースを行なった。鈴木このみ オフィシャルHP

「命の灯火」MV

OKMusic編集部

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