米津玄師、超プレミアム初ワンマンラ
イブ大成功

1万通を越す応募の中から選ばれた550人の観客が見つめる中、自らギター&ボーカルをつとめる4人編成バンドと共に、ファーストアルバム『diorama』の1曲目『街』からライブはスタート。「ニコニコ動画」投稿で脚光を浴びた“ハチ”名義の時代から、主にDTMスタイルで楽曲を制作してきた彼にとって今回が初ライブだが、堂々とした立ち姿と歌唱力は予想以上で、オリコンウィークリーチャート2位を記録したセカンドアルバム『YANKEE』からの『MAD HEAD LOVE』など、激しい高速チューンでのバンドの息もぴったり。中盤ではメランコリックなムードの『vivi』などミディアム/スローの曲を力強く響かせ、優れたメロディメイカーとしての才能を見せつける。

「なぜ今日ここに立っているのか。それは、僕の音楽を支えてくれる人たちと、面と向かって話したいと思ったからです」『アイネクライネ』を歌い終えたあとの、この日一番長いMC。“チームプレーが苦手”で“自分のためだけに曲を作っていた”彼が、新たな道を歩むことを決意する語りに、大きな拍手が湧きあがる。優れたメロディメイカー&シンガーでありつつ、歌詞では自己の存在と他者とのコミュニケーションの問題に正面から向き合う米津玄師のメッセージが、観客に強く響いていることを証明するワンシーンだ。その後は『しとど晴天大迷惑』など高速チューン連発でぐいぐい盛り上げ、アンコールはメジャーデビューシングル『サンタマリア』をはじめたっぷり3曲。最後に「気をつけて帰ってください」と手を振る表情は、ライブが始まった時の緊張感とはまったく違う幸福感にあふれていた。今後の米津玄師にとって大きなターニングポイントになるであろう、貴重なライブだった。(文/宮本英夫 撮影/中野敬久)

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