この瞬間、音楽の力を全身に浴びる―
―May’n Birthday Concert 2021「M
OMENTS」ライブレポート
会場の照明が暗転すると、会場からは手拍子が起こった。そんなファンの暖かい手拍子に出迎えられたMay'nが2人のダンサーと共にステージへと登場すると、TEAM ONGAKUSHITSUと呼ばれる彼女のサポートバンドメンバーによる「ハッピーバースデートゥーユー」のワンフレーズの生演奏からライブはスタートした。
集まったファンの振り付けも完璧で、May'nとも息ピッタリの振りコピで会場の一体感は増していく。
本日のTEAM ONGAKUSHITSUはギター、ベース、ドラムスに加えバイオリンの4ピース構成だったが、続く「今日に恋色」はまさにそんなストリングスの音色が、彼女の歌声に寄り添うようなハーモニーを奏で、ライブの始まりにふさわしい疾走感と爽快感のあるナンバーを届けてくれた。
バースデーライブとしては数年ぶり、純粋なライブとしても5月30日「1 to 5 -MUSIC-」ぶりということで「誕生日を迎えるっていうワクワク以上に、久々にみんなの前でライブが出来るという喜びの方が勝ってます!」と素直な喜びを表してくれた。
またこの日のライブタイトルにもなっている「MOMENTS」という言葉に込めた意味も、この瞬間をみんなと共有したい、楽しみたいという想いから付けたことを語り「みんな、久々のライブだけどしっかり追いついてきてね!一瞬たりとも見逃さないでよ!」と叫ぶ。
続く「SUMMER DREAM」はワウの効いたギターのカッティングや、ベースのスラップ、ブラスの織りなす弾むようなアンサンブルが気持ちいいダンスチューンだ。彼女とダンサーたちのリズムに合わせて肩を揺らすダンスも非常にマッチしていて、見ているこちらも思わず身体が動き出してしまう。
6曲目の「イリタブル」も「SUMMER DREAM」同様、レーベル移籍後初のフルアルバムで6月30日に発売されたばかりの「momentbook」からの選曲だ。こちらもダンサブルなナンバーではありつつも、田中秀和氏が手がけることによるポップなキュートさも散りばめられており、心地よい横揺れの時間が続いた。
本日のTEAM ONGAKUSHITSUのメンバー紹介もありつつ「ライブはまだまだ続いていくから、ここからはゆったりと聞いていってください」と促されると会場も着席し、ライブはバラードパートへ。
続いて披露した「ダイアモンドクレバス」は不朽の名曲だし、静寂に包まれた会場を、時に激しくそっと優しく語りかけるようなMay'nの歌声に改めて聞き惚れる。
「今、この瞬間が終わらないように」という歌い出しで始まる「シキザクラ」は、まさにMOMENTSにふさわしい新曲だし、R&Bを基調としてグルーヴィな展開が心地よい。
10曲目の「place roulette」もR&Bのリズムの中にもヒップホップの要素も取り入れて、前へと新たな一歩を進み出すような、そんなイメージの楽曲だ。
シンフォニックなバイオリンの音色が印象的なイントロの「Scarlet Ballet」が聞こえてくると、会場も部長に食らいつき、応じるMay'nも続く「ノーザンクロス」でさらに畳み掛けてくる。
ライブでもお馴染みの曲ではあるが、サビの十字を切るような振りコピも、客席も全員ピッタリで流石と言わざるを得ない。
間髪入れずに続けた「ViViD」では、ストリングスも加わったアレンジを披露。原曲よりもハッピーでポップな印象で、会場がひとつにまとまっていくのを感じる。
ライブも終盤に差し掛かり、「You」「未来ノート」とラストに向けて駆け抜けていく展開に少しのセンチメンタルを感じつつも、自然と笑みが溢れてくる。
「今はようやく希望が見えてきたと思うってワクワクの方が強い。けどまだ声が出せなかったり、会いたいって思った時にすぐ会える世の中とは言えないよなって。」
「ツラかったことはすぐ忘れちゃうけど、思い返したら結構大変だった1年だったなってYouと未来ノート歌ってたら思い出しました。」と少し涙ぐみながらも素直な気持ちを伝えてくれた。
アイスホッケーに青春を捧げる女子中学生たちの物語ということもあり、自身の中学時代を重ねながら曲作りを進めていったそうだが、そんな彼女がこの曲に本当に込めた想いは「時には自分を大切にしながらも、仲間がいればもっと楽しいかもしれない」ということだと語り、「今日は部員のみんな、1人1人にそんな想いを届けるために、この曲を歌います。」と万感の思いを込め、歌った。
そんな彼女の想いを受け止めるように曲のラストで「ラララ〜」と、手を振りあう部員とMay'nの姿は、なんとも言い難い素晴らしい相互扶助の関係だなと素直に思った。
また、2021年12月/25日にはスタジオライブ形式で「May'nXmas」を行うことも発表。元気いっぱいに「前日はユリアしてます!」と、北斗の拳の舞台期間中ではあるものの敢行するようなので、こちらも続報に期待しよう。
タオルを振り回したり、頭の上に乗せたり、ジャンプしたりと振りコピも忙しい曲ではあるが、そこはさすが誕生日を祝いに駆けつけた部員。予習復習なしでも息ピッタリの動きを見せ、May'nの”PEACE of SMILE”を誘う。「最後は皆さん、ピースじゃなくて”3”と”2”で行きますよ!」と最後まで笑顔の絶えないステージはこうして幕を閉じた。
最後に1人1人の顔を見て挨拶していく彼女の姿と、そうして前から順に座っていく部員の姿がまさにこの日を象徴していたと言えるだろう。
May’ nとしても13年のキャリアを経て、ファンと作り上げてきた絆が、コロナ期間も繋ぎとめ、こうしてようやく再び陽の目を浴びられる日々に戻りつつあるんだなと、誰の目から見ても分かるくらいに温かい雰囲気で会場には満ち溢れていた
きっと彼女にとってもファンにとっても、そんな互いに歩んできた日々の重みを知る1日となったのではないだろうか。
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