YUGO. 、初のアーカイブ個展『NEW D
ESTRUCTION』が延期乗り越え最後の地
、心斎橋PARCOでスタートーー「直感
をより大事に観てほしい」

10月15日(金)、心斎橋PARCO 4FのSkiiMaGalleryにて、イラストレーターYUGO.の個展『NEW DESTRUCTION』が初日を迎えた。本展は、今年4月9日(金)に発売された、自身初で同名タイトルの作品集のリリースを記念して行われるもの。4月に東京、5月に福岡での展示を経て、本来は6月に大阪で開催予定だったが、新型コロナウイルスの影響で延期に。満を持して、3年ぶりの地元大阪での個展開催となった。今回の記事では、YUGO. EXHIBITION 『NEW DESTRUCTION』と、10月16日(土)にB2Fの心斎橋ネオン食堂街内「TANK酒場」とコラボレーションして行われた『YUGO. EXHIBITION 「NEW DESTRUCTION」OSAKA OPENING EVENT』の様子をYUGO.本人の言葉も交えながらレポートしよう。
YUGO. EXHIBITION 『NEW DESTRUCTION』
TANK酒場でDJとコラボレーションドリンク
まずは、14時からスタートした『YUGO. EXHIBITION 「NEW DESTRUCTION」OSAKA OPENING EVENT』の模様をお届けする。
YUGO. EXHIBITION 『NEW DESTRUCTION』
TANK酒場のDJブースではYUGO.をはじめ、彼と親交が深いTANK(TANK酒場マスターで元digmeoutアートディレクター)、BAN-CHAN(FM802 DJ、板東さえか『Poppin'FLAG!!!』(毎週火曜24:00〜27:00))、DAWA(FLAKE RECORDS)が曲をつなぐ。
YUGO.
それぞれに好きな楽曲をかけて居心地の良い空間を作り上げ、YUGO.の個展開催を祝っていた。
YUGO. EXHIBITION 『NEW DESTRUCTION』BAN-CHAN
TANK酒場とYUGO.のコラボメニューとして、「BLACK LIPS」と名付けられたアフォガードと、「WHITE SCRAP」というコーヒーフロートが提供された。YUGO.自身がコーヒー好きであることから決まったメニューで、クールでキュートな手描きPOPも。なお、4Fの展示会場とB2FのTANK酒場に両方訪れた人には、YUGO.のステッカーを配布中。
TANK酒場とYUGO.のコラボレーションドリンク
訪れたお客さんも、作品集を開いたりコラボドリンクを飲みながら、祝祭のひとときを楽しんでいた。
YUGO. EXHIBITION 『NEW DESTRUCTION』
そして、TANK酒場の頭上にある大きなビジョンには、YUGO.本人が制作・編集を手がけたティザームービーが定期的に流れていた。YUGO.のイメージカラーとも言えるマゼンタピンクやネオンカラーが効いた背景に、パンクなアートワークが秒ごとに連続で切り替わる。刺激的で最高にカッコ良い仕上がりだ。
YUGO.制作、編集のティザームービー
この映像はスペースシャワーミュージックのYouTubeチャンネルでも鑑賞可能。TANK酒場のビッグビジョンでは音は流れない仕様になっているため、音を楽しみたい人はYouTubeをチェックだ。しかもこの音源は、4Fの展示会場にて大阪会場限定商品として販売中のデモテープ『DISCLAIMER E.P.』に収録されている。
作品集収録の作品と、完全新作を含む約40点が一堂に会する
心斎橋PARCO4FのSkiiMaGalleryでは、架空の街「NEW DUST CITY(ニューダストシティ)」で結成された3人組パンクバンド「PRETTY POTATO(プリティ・ポテト)」をテーマに描いた作品と、YUGO.が過去に制作した原画やコラージュ作品、大阪展のため新たに書き下ろされた新作を含む作品約40点が展示されている。
YUGO. EXHIBITION 『NEW DESTRUCTION』
会場に入ると、NEW DUST CITYの世界観を表現したインスタレーションが目に飛び込んでくる。街のストリートを思わせるネオンサイン、選挙ポスター、ステッカーや落書き。バンドの溜まり場をイメージしたソファの周りには、YUGO.の作品の中にもよく登場するモチーフのスニッカーズ、ドクターペッパー、カプセル剤、ピザ箱が乱雑に散らばっていて、エレキギターやテレビが置いてある。
YUGO. EXHIBITION 『NEW DESTRUCTION』
NEW DUST CITYで暮らす少女は、政治家の母へ復讐を企てる。選挙活動を妨害するためにバンドを結成、演説当日に目の前でゲリラライブを行うーー。
YUGO. EXHIBITION 『NEW DESTRUCTION』
そんなストーリーが根幹にある「PRETTY POTATOシリーズ」は、「自分の理想の見た目のバンドやアートワーク、グッズをゼロから作れるなら、どういう人を描きたいかというテーマで描いた」とYUGO.。同シリーズは書籍に載せるために今年に入ってから描いた作品で、「完成を頭に描かない状態で描く」「パンク」がコンセプトにあったため、下書きなしで描き上げたという。ちなみに物語のエピソードはインスタレーション展示のどこかに貼られているので、気になる人は探してみてほしい。
このプロジェクトだったから、全力で悪ふざけができた
YUGO. EXHIBITION 『NEW DESTRUCTION』
一番奥に展示されている鉛筆画の作品群について先に触れておこう。これらはYUGO.がイラストレーターとして本格的に活動する前の2008年頃のもの。2019年に惜しまれつつ閉店したアメリカ村のdigmeout cafeでの初個展で展示された。
6月に行ったSPICEのインタビューでも語っていたように「いわゆる万人受けする絵では全くないし、ほとんど活動してない中の展示ではあったから、単純に売れずに手元に残ってた。その後すぐに(Suchmosのマネージャーであり、本展の舵取りを行なった)金子さんと会うことになって。金子さんがこの辺の作品をめちゃくちゃ気に入ってくれたので、全部あげたんですよ」と、今回の個展のキッカケを話す。
YUGO.
当初は過去の作品は作品集に載せたくないと思っていたそうだが、「金子さんが過去作を載せたいという思いありきで話を出してくれた。それから過去の作品を見返して、意外に過去の作品もカッコ良いかもと思える瞬間が時々あった。これぐらい尖った表現は今の自分にはできないし、出てこない発想。初期の作品には、感性として今自分にない強みがあるなと思ったから、載せてもいいかもという心変わりをちょっとずつしてきた」と語った。
またプロジェクトを進める中で、「当然真面目になるべき場面はあるけど、面白がってもらうためにプロジェクトを動かすのに、できたものが面白くないと何の意味もないという共通認識がお互いにあったから、出来る限り全力で悪ふざけて、会社も巻き込んでやろうと思った」と話す。
作品の全てに意味があること、見ただけでカッコ良いものを描くこと。それは、イラストやデザインを仕事にする人間の矜持
YUGO. EXHIBITION 『NEW DESTRUCTION』
中央に展示されている額装のカラー作品の一部は、昨年のコロナ禍で描かれたもの。YUGO.はミュージシャンとの仕事も多数こなしているが、彼らのツアーやライブが中止になった影響で、彼自身の仕事も2ヶ月間ストップ。「コロナに対してどうこうじゃなく、あまりにもニュースでコロナだけがフォーカスされるから、普通に生活していると本来入ってくるはずのニュースが入ってこなくなって、情報は平等じゃないと感じた。他に何が起きているのか、自分で本当に色々調べて感じたことを作品にしたいと思った」と描いた作品たちだ。
YUGO. EXHIBITION 『NEW DESTRUCTION』
そして、本展の開催が4ヶ月延期になったことで、その間に感じたことを描いた新作が6点追加されている。これらは作品集にも載っていない、大阪展でしか見ることのできないものだ。無数のスタッズ鋲がついた皮ジャンを着る女性が描かれた「CONFUSION」(2021)は、「ある事件を見て描きました。パンクも鋲も好きやから絵的に描いてみたいと思ったのもあるけど、男女平等を謳う社会の中で実際に起きてる問題や事件を考えた時に、圧倒的に女の人が不利という現実。誰も守ってくれないからこういう服を着てる、そういう意味なんです」と、社会への問題提起を描き出す。
YUGO. EXHIBITION 『NEW DESTRUCTION』
それだけではない。「これはどういう意味? と聞かれたら、全てに物語を作ってるので、全部答えられます。でもそれを言っちゃうと、そう意味づけされた絵にしか見えなくなる。意味を知らなくてもカッコ良く思ってもらえないと、絵描きの仕事を果たせてないと思う。聞かれた時に絶対に意味は答えたいし、何を描いているかわからなくても、デザインされてカッコ良いものでないといけない。そこはイラストレーションやデザインを仕事にしてる人間の一番大事なところかな」と熱く語るYUGO.に、イラストレーターとしての覚悟を感じた。
作品集『NEW DESTRUCTION』2枚の表紙原画
YUGO. EXHIBITION 『NEW DESTRUCTION』
作品集『NEW DESTRUCTION』の表紙原画は、過去と現在の作風が合わさり、新たな魅力を生み出している。これは別々に描いた2枚の原画をちぎって貼り合わせたもの。「普通ならデータにしてphotoshopの加工でレイヤーを重ねて印刷する。だけど金子さんはそういうのをすごく嫌う人で、手を抜いた部分は分かる人には絶対にバレるから、一生残る本の表紙に、手を抜くのは違うんじゃない? と言われて。原画が2枚あるのは、1回やってみて自分の中で表情が気に入らなかったから、もう1回イチから2枚描いて、破いて、貼って。2枚目の方が良かったから表紙に採用しました」と経緯を説明。タイトルは、『NEW DESTRUCTION』と『NEW DESTRUCTION(ANOTHER)』。ぜひじっくりと2枚の違いを見比べてほしい。
YUGO.の全てを味わえる個展
YUGO. EXHIBITION 『NEW DESTRUCTION』
本展では、2013年と2015年の個展で販売した作品も、所有者から借りて展示している。まさに初期から現在までのYUGO.の活動をまとめた集大成だ。決して妥協しない彼の作品作りの情熱と爆発力をたっぷりと堪能してほしい。
最後にYUGO.からの言葉を贈ろう。
「展示は好きに観てください。何も知らない状態で見てくれた人が何を感じるのか、自分には永遠に分からないことなので、本当に自由でいいです。そこで感じたことの置き換え方は人それぞれ違うけど、同じようにものづくりをしてる人のインスピレーションになってくれたら嬉しい。クリエイティブに関係ない仕事をしてても、プラスの何かになってくれたらいい。直感をより大事に観てもらえたらありがたいです」とメッセージを残した。
YUGO. EXHIBITION 『NEW DESTRUCTION』は、10月31日(日)まで、心斎橋PARCO 4F SkiiMaGalleryにて開催中。
取材・文=ERI KUBOTA 撮影=高村直希

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