【Chinatsu インタビュー】
私にとって
ひとつの転機になりそうな作品
ジャズテイストの曲があったりと
今までにない世界観になっている
確かに今作には大人なテイストの曲も入っていますね。新鮮味はありましたか?
3曲とも今まで歌ったことのないタイプの曲で新鮮でした。カップリングの「その声探して」は宇宙空間を連想するようなダンサブルな曲調で、そのイメージで作ったMVを含めてChinatsuでは新しい世界観になっています。これまでアップテンポの曲自体がほとんどなかったんですよ。
ミディアムやスローな曲が中心?
そうですね。なので、「その声探して」はライヴで盛り上がるんじゃないかと思っています。私はジャズも好きなんですけど、「Lost a Dream」は念願叶ってジャズテイストのポップスを歌うことができました。
歌詞は全てChinatsuさんが書いていますよね。「Lost a Dream」の《それが愛ならいいな、 それが愛ならいいね》というフレーズが、リズミカルなメロディーと相まって印象に残ります。
この曲の主人公は思い通りにならないことが多くて、ちょっと世の中に疲れちゃっているんです。最終的には奮起して、自分を認めて生きていこうと進み出すけど、誰しもやさぐれたり、どうでもよくなっちゃうような時期があると思うんです。この曲の歌詞はデビューシングル「意味」とつながっているところがあります。
歌詞は私的なことというよりも物語を紡ぐようなスタイルで書いていくんですか?
全てがフィクションというわけではなく、“今の自分は何を思っているのかな?”と考えながら書くので私的なことも反映されていると思います。私自身、思い通りに活動ができない時期もありましたし、そういう葛藤も入っていて、聴いた方がご自身の経験と重ね合わせられるところがあったら嬉しいです。
そういう視点で聴くと「その声探して」の歌詞は“彷徨う”という言葉が何度か出てくるので、コロナ禍でライヴができなかった心情も反映されているのかなと。
そうですね。会いたい人とも会えなかったりするので“絶対にいつか会いたい”という気持ちを込めて書いたのですが、おっしゃっていただいたようにライヴも半年くらいできなかったので、自分の中で溜まっていたものが無意識に出ているかもしれないです。
タイトル曲の「Platinum」はAORテイストがある大人の恋愛ソングですね。
薬指にプラチナリングをした男性を好きになってしまうという。
シティポップな雰囲気なので、最初は違うテーマで書いていたんですが、過去に「シリウス」という訳ありの恋をしている女の子の曲を書いたことがあって、これを好きだと言ってくださる方が多かったので、その続編みたいな世界観にしようと思って書きました。
《都合の良い女(ひと)でいい》というフレーズにドキッとします。
明るくてノリのいい曲なので、言葉通りに受け取る方もいらっしゃると思いますが、この曲の主人公は本当はそんなことは思っていなくて、もっと自分のことを知ってほしいし、愛してほしいんですよね。そういう本音が言えないから強がりを言っているという。なので、MVにも思い悩んでいるようなシーンを入れています。あと、今作は2日間で3本のMVを撮影したんですよ。
3曲全て撮影するって豪華ですね。
いつも表題曲だけだったので初めての体験でした。実はシングル全曲の歌詞を自分で書くのも初めてだったし、デビューから5年という節目でいろいろな方の力を借りて、自信作を作ることができました。本当に思い入れのある一枚になったので、ぜひMVも観ていただきたいです。
10月26日には御茶ノ水KAKADOでリリースイベント『「意味」〜Platinumまでの軌跡』が開催されますが、どんな内容になりそうですか?
デビューシングル「意味」のリリースからぴったり5年後の日にちのライヴなので、今まで私を応援してくれた方やこれから出会う人たちに向けて、軌跡となった曲たちを歌って、Chinatsuの5年間を詰め込もうと思っています。配信も予定しているので、会場に来られない方も観ていただけたら嬉しいです。
取材:山本弘子
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シングル「Platinum」2021年10月27日発売
SME-Production
チナツ:2012年に“Chinatsu”名義で音楽活動を開始し、16年10月に1stシングル「意味」でデビュー。台湾でのライヴや、19年2月にはニューヨークでレコーディングをしたアルバム『CHINATSU IN NEWYORK』をリリース。毎週土曜21:00からFMやまとで放送中の冠番組『ノックアウトSONGS シンガー Chinatsu がお届けする30分!』でパーソナリティーを担当している。Chinatsu オフィシャルTwitter
「Platinum」MV