藤田麻衣子

藤田麻衣子

【藤田麻衣子 インタビュー】
原点に帰って
“恋愛”のアルバムを作りたかった

15周年イヤーを締め括るニューアルバム『忘れられない人』が完成! 「君に会いたくなる夜は(duet with クリス・ハート)」「手錠(duet with 平川大輔)」といったコラボ曲を含め、藤田麻衣子らしい“恋愛”をテーマにした10の楽曲が収められている。アルバムのテーマやレコーディング時のエピソードなど、新作に込めた想いを語ってもらった。

私は恋愛の歌が好きだし
これからも書いていきたい

ニューアルバム『忘れられない人』はタイトルの意味も含めて、どういうコンセプトで作られた作品ですか?

今回、“どういうアルバムを作りたいのか?”ということを考えた時に、恋愛のアルバムを作りたいという気持ちが強かったんです。15周年を迎えて、今年の3月に弾き語りベスト(『15th Anniversary 弾き語りBest』)をリリースしたんですけど、みなさんからリクエストしていただいた上位20曲に恋愛の歌とか片想いの歌とか失恋の歌とかがすごく多くて、私自身もレコーディングをしていく中で、“こういう歌が書きたいんだ。歌いたいんだ”っていう気持ちを改めて思い出すきっかけになったんです。それが自分にとってはすごく良かったみたいで、私は恋愛の歌が好きだし、これからも書いていきたいという気持ちになったので、原点に帰れるような作品を作りたいと。“忘れられない”とか“会いたい”とか、そういう気持ちが込められた歌がやっぱり藤田麻衣子の歌だよなぁって(笑)。

それが“忘れられない人”というタイトルにも集約されているわけですね。

はい。あと、15周年ということでコラボもしてみたいと思ったんですけど、男性アーティストとコラボはしたことがないから、15年の中で出会ってきた方からクリス・ハートさんと平川大輔さんと歌ってみたいと思ってオファーしました。アルバム制作の初期段階でクリスさんと平川さんとのコラボが決まって、2曲とも忘れられない人を思っている歌ですし、アルバムタイトルを“忘れられない人”にしたいから、そのコンセプトに合う曲を集めようかなと思って作り始めました。

クリスさんとのコラボ曲「君に会いたくなる夜は(duet with クリス・ハート)」は1曲目に収録されていますが、実際にコラボしてみての感想は?

歌がうまいのはもちろんなんですけど、自分の感情を引き出してもらえるというか、クリスさんが声を伸ばしていたりするとグッと押される感じで、いつも以上に自分の声も伸びていく感覚があったんです。“一緒に歌っていてこんなに気持ち良いなんて!?”という感動とか喜びがありました。

以前から親交はあったんですよね。

そうなんです。出会いは2014年で、その時に「手紙 〜愛するあなたへ〜」(2013年6月発表のシングル)をカバーしてくださったんです。クリスさんのイベントに私も参加させてもらって、「手紙 〜愛するあなたへ〜」を一緒に歌いました。その後もライヴにきてくださったり、自分もうかがったりとつながりはあったんですけど、一緒に一曲をレコーディングで歌うというのはなかったから、今回の15周年でコラボしたいなって。レコーディングは本当に楽しかったです。

9月8日のBunkamuraオーチャードホールでのコンサート(『藤田麻衣子 15th Anniversary Special Live』)でこのコラボ曲がアルバムに入ることを発表されましたが、ファンの方からの反響も大きかったんじゃないですか?

以前に一緒に歌ったことをファンの方は知ってくれているので、MVを観て“それぞれの声が合ってます”とか“ふたりの歌声がすごくきれいでした”とか“カラオケで歌ってみたい”とか嬉しい反響をたくさんいただきました。ぜひ男女で歌ってもらいたいです。

そして、もうひとつのコラボ曲「手錠(duet with 平川大輔)」ですが、平川さんとのかかわりもかなり以前からですよね?

出会ったのが2009年で、2011年に3曲ほど楽曲提供をしているので一緒に制作をしたことがある方です。他の声優の方とかも含めて、よくご飯にも行ったりしていたから、コンスタントにお会いしていたり、ちょっと間が開いても近況報告をし合ったり、私の中ではすごく話しやすい方ですし、“絶対に平川さんとコラボしたい!”と思っていました。

こちらもコラボ曲もようやくかたちになったという念願の曲ですね。

はい。平川さんとコラボをしたいとスタッフに伝えたら“忙しい方だから引き受けてくれるかな?”みたいな感じだったんですけど、“でも、きっと楽しいと思うからどうしてもやりたい!”と思って、張り切って楽曲も書いて、デモテープを完成させてから“この曲を一緒に歌ってくれませんか?”みたいな感じで、断れない状況でお願いしました(笑)。

以前に提供した「共犯者」のアフターストーリー的な楽曲ということですが。

そうです。どんな曲にしようかと思った時、ちょうど10年前に「共犯者」を平川さんが歌ってくださったので、そのアフターストーリーを作ってみようって。そう決めたら、いろいろアイディアが出てきました。聴いてもらうと分かるんですが、最後のサビのところで私は「手錠(duet with 平川大輔)」のメロディーを歌って、後ろで平川さんが「共犯者」を歌っていたりするんです。曲の中で「共犯者」が思い出のように出てきたら面白いと思って、そういうふうにしたんですけど、「共犯者」のイントロのメロディーが間奏で出てきたり、歌詞の内容も“その後”を書いていたらすごく仕掛けがいっぱいになってしまって。でも、それを平川さんと私で歌ったら面白いだろうなと。「共犯者」のその後のストーリーを書いていったら、アルバムタイトルの“忘れられない人”にもつながっていったので良かったと思います。あと、“共犯者”というタイトルはインパクトが強いから、今回も負けないぐらいインパクトのあるタイトルがいいと思って、“事件”とか“未解決”とかのワードを思い浮かべていたら“手錠”という言葉を閃いたんです。“手錠”だったら“彼女にかけられた手錠だけはまだ鍵が開けられない”とか、関連づけることができるんじゃないかと思って決めました。

平川さんの声の良さも含めて、個性がしっかりと感じられる曲になりましたね。

平川さんのファン目線に立って考えた時に、どういうものがドキドキするのかとか、“アツい!”って興奮するかを考えていました(笑)。平川さんとお話をした際、ライヴのリクエストで「共犯者」の要望が多いって聞いたんです。だったら、平川さんが歌うちょっとイケナイ曲がいいんじゃないかって。

実際に一緒にレコーディングをしてみてどうでしたか?

新鮮だと感じたのが、私はレコーディングする時もライヴの時もブレスがすごく入るんですね。でも、平川さんはブレスが全然聞こえてこなくて、“息してます?”って(笑)。確かに声優さんは台詞を言う時にブレスは入っていないので、長年声優のお仕事をされているから自然とブレスを入れないしゃべり方や歌い方をされているんだろうなって。でも、ブレスが欲しい瞬間もあったので、“ここの部分はちょっと大袈裟に息を吸ってもらっていいですか?”とお願いした箇所があります。
藤田麻衣子
アルバム『忘れられない人』

OKMusic編集部

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