真白健太朗・江口拓也・日野聡インタ
ビュー 歌とダンスで世界を救う『M
UTEKING THE Dancing HERO』はアフレ
コ現場もとんでもない

歌とダンスで世界を救う、ファビュラスなSFヒーローラブコメディ『MUTEKING THE Dancing HERO』が、10月より放送スタート。シティ・ポップが漂うネオ・サンフランシスコを舞台に、淡い(?)恋の物語や3DCGを駆使した圧巻のライブやダンスバトルが繰り広げられる本作。
SPICEでは、主人公・ムテキ役の真白健太朗、ムテキの相棒・DJ役の江口拓也、巨大IT企業オクティンクのトップであるセオ役の日野聡に、作品の魅力やアフレコ裏話をインタビュー!
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【インタビュー】
――さっそく拝見したのですが、確かにとんでもない作品でした。
江口:まず、40年前に放送された『とんでも戦士ムテキング』の時点でぶっ飛んだ作品ですからね(笑)。僕は出演することが決まってから、公式さんが公開していた『とんでも戦士ムテキング』の1話を初めて観たんです。まさかあんなにぶっ飛んでいたとは……!
日野:ローラースケートで虹の道を駆け抜けるからね(笑)。僕は、幼稚園生くらいのときに再放送されていたものを観た覚えがあります。子どもながらに、「一体どうやって戦ってるんだろう……?」と不思議に思っていました。だから今回新たにアニメ化すると聞いて、懐かしかったです。
江口:デザインも尖っていますし、画面もものすごくカラフルで、アニメーションとしてもすごいですよね。
――さらにパワーアップした『MUTEKING THE Dancing HERO』。どんなところに惹かれましたか?
真白:僕は、ひとりひとりのキャラクターがしっかり描かれているところが素敵だなと思いました。それぞれに過去があり、秘密があり、物語が進むにつれて徐々に明らかになっていくんです。
日野:僕は、懐かしさもありつつ新鮮な気持ちもあったかな。というのも、現代のアニメーションの技術で、クオリティがすごいことになっているんです。さらに、登場するキャラクターがかなり個性強めな人たちばかりなので、とにかく1話を見ていただければ、きっと刺さるだろうなと。
真白:唐突に歌とダンスが始まったり、その映像のクオリティがものすごかったりするので、まずはそこを楽しんでいただけるとうれしいですね。
江口:もともとの作品が持っているポップさは、今回も健在です。1話のアフレコの時からすでに色が付いていたこともあって、そんな作品の雰囲気を感じながら収録することができました。しかも、コロナ禍以前に収録がスタートしていたので、序盤はキャストが集まってみんなで収録できていたんです。
日野:そうそう!
江口:アフレコが初めてだった真白くんにとっても、作品にとっても、一緒に収録できたことは大きかったと思います。
日野:初っ端から今の様な分散収録だったら、しんどいよね。現場の雰囲気も味わえないだろうし。
真白:はい! これだけたくさんのキャラクターが出てくる作品なので、一緒に収録できて本当によかったです。
江口:みんなで真白くんを見守っていて、現場自体の空気もすごくよかったんです。
本作で声優デビューできたことが「すごくうらやましい」
――真白さんにとっては、かなり大変な声優デビュー作だったのでは? と思うのですが、先輩から見ていかがでしたか?
日野:大変だと思います(笑)。大変でしょうけど、でも、逆にシリアスな作品で本格的に声優デビューするよりも、ここまでぶっ飛んでいる作品でデビューしたほうが、経験値としてはよかったんじゃないかな。もし真面目な作品でデビューしたあとに、ぶっ飛んだ作品をやるとなったら……案外そっちの方が大変だったと思います。
江口:確かにそうですね(笑)。しかも、全力でぶっ飛んでくる先輩たちの演技を、実際に見ることができたなんて、すごくうらやましい。先輩たちがどうやってキャラクターを作っているのか、演じているのかは、現場に行かなければわかりません。それを間近で感じながら演じられたことは、この上ない財産だと思います。
ムテキ役 真白健太朗
真白:先輩方のセリフの言い回しひとつとっても、「まさかそうくるとは!」という驚きの連続でした。常に圧倒されながらも、自分はなんて恵まれた環境で演じさせていただいているんだろうと。コロナ禍に声優業界に入ってきた世代は、別録りが主流で、共演者のみなさんと一緒に収録できないことが多いと思うんです。だからこそ、みんなでガヤを録ったり、先輩方のアドリブを拝見したりできたことも、自分にとって貴重な経験になりました。
――現場で印象的だったことがあれば教えてください。
真白:僕自身、どちらかといえば控えめな性格なので、このヒーローギャグコメディのテンションについていけるだろうか……と、収録前は不安だったんです。実際、何度もリテイクして頂きましたし、音響監督にもいろいろディレクションをいただきましたし。でも、先輩方がすごく伸び伸びと演じられていたので、変に縮こまるのではなく、発想の幅を広げて挑むことができました。それもすべて、みなさんが優しく見守ってくださったからだと思います。だって、いつも帰り際に、みなさんが僕にパンやおにぎりをくださるんですよ……!?
江口:あはは!
日野:あったね~!
真白:気がつくと、現場では食べきれないくらいの量になっていて(笑)。持ち帰って、晩御飯としていただいていました。うれしかったなぁ。
江口:そもそも、18歳前後の自分がこの現場にぶち込まれたらと思うと、真白くんはすごいと思う。
日野:言われてみれば、確かにそうだよね。
江口:僕だったら、絶対に冷や汗が止まらなかったと思います。
日野:しかも真白くんは、それまで声優の経験が一切ない状態で飛び込んだんだもんね。
真白:アフレコも芝居も、今回が初めてでした。
江口:それなのに、ちゃんとやり通したのが偉い。分からないなりに挑んでいたし、自分なりに考えて向かっていく姿は、ちゃんと周りにも伝わると思うんです。だから僕らも、おにぎりをあげたくなっちゃうわけで。
真白:(笑)。
江口:もし「こんなの全然余裕っすね~!」みたいな態度で現場にいたら、あの雰囲気にはならなかったはず。
日野:「コホン……君、ちょっといいかな?」って言われてしまうよね。
真白:それは怖い~(笑)!
日野:その点、真白くんは、度胸もあるし愛嬌もあったから、見守りたくなるんです。
江口:結局、現場の空気を作るのは作品の真ん中で演じている人の情熱なんだと思います。
真白:うれしい……! ありがとうございます!
江口:常に真白くんが僕らの話題の中心だったのもよかったですよね。「まだ高校生なの!?」「もうすぐ上京してきます」って。
日野:特に、サラ役の愛河(里花子)さんが興味津々だったよね。まるでお母さんのようでした。
真白:本当にありがたいですね。
ムテキ&DJの関係性や変化を楽しんで
――ご自身が演じるキャラクターの注目ポイント、演じるうえで大切にしていることを教えてください。
真白:ムテキくんは、ごく普通の高校生。台本をいただいたときから、等身大で演じられるキャラクターだなと実感しました。それくらい、自分と感覚が近かったんです。なので、きっと視聴者の方にとっても共感できる部分の多いキャラクターだと思います。音響監督の伊藤(巧)さんも、「その時々で感じた気持ちをぶつけてほしい」と言っていただけたので、変に難しいことを考えるよりも、なるべく自然体で演じたいなと思って収録に臨みました。
(c) タツノコプロ・MUTEKING製作委員会
――自然体で演じることほど、難しいことはなさそうです。
真白:そうなんですよね(笑)。そのままの感情を出すって、こんなにも難しい事なんだと実感しました。だからこそ、隣で演じていらっしゃる先輩方の存在に助けられたんです。先輩方は、このとんでもない世界に生きているキャラクターを演じているのに、とても自然に役に入り込んでいたので、すごく勉強になりました。
(c) タツノコプロ・MUTEKING製作委員会
そんなムテキくんですが、物語が進むにつれていろいろな壁にぶつかります。悩んだり追い込まれたりしていきます。それをどう乗り越えるのか。仲間たちと関わることで、どんな化学反応が起きるのかといったところを、注目してほしいです。ぶっ飛んだ作品ではありますが、大切に描かれているのは、人と人との繋がりなんです。だからこそ、ムテキくんを演じるときも、関わり方を大切にしたいなと。特に、江口さんが演じるDJとは深く関わっていくことになるので、2人の関係性や変化を楽しんでいただけるとうれしいです。
(c) タツノコプロ・MUTEKING製作委員会
――DJは、ムテキくんの相棒の様な存在ですが、謎の多いキャラクターでもあります。
江口:明るくてノリで生きているキャラクターですね。そして、なぜかムテキくんをムテキングに変身させることができます(笑)。
日野:あはは!
江口:何者なのか、わけがわからないですよね(笑)。
真白:ムテキくんを、当たり前のように変身させますもんね。
江口:そうそう。DJの勢いに押されて、なし崩し的に変身することになる。
日野:とにかく勢いとノリが大事なキャラクターだよね。
江口:むしろ、それしかないといっても過言ではないかもしれません(笑)。最初は、ひたすらDJのノリと事件に巻き込まれていく展開ですが、徐々にDJとは何者なのかという部分が明かされていきます。そこではまた違った面を見せてくれるので、ギャグのときと真面目なときのギャップが見どころじゃないでしょうか。ギャグの印象が強ければ強いほど、シリアスな展開になったときが輝くと思うんです。なので、最初は「抜群にポジティブな野郎だな」とだけ思っていただけたら大丈夫です。ムテキくんにとっても、作品にとっても、導き手という役割があるので、ネオ・サンフランシスコにやってきたばかりで戸惑うムテキくんの背中を、押してあげられるだけのエネルギーを込めて演じました。
DJ役 江口拓也
――ただ押しが強いだけじゃなくて、絶妙なノリが見事なんですよね。ムテキくんがなし崩し的に導かれてしまうのも納得でした。
江口:あとは、なんといっても朝に収録していた作品だったので、あのテンションまでギアを上げて演じなければいけないのが大変でした(笑)。
日野:そうそう! 僕が演じたセオは、DJとはまた違う方向性にテンションが高い人だったので、とにかくオーバーリアクションを心掛けて演じました。
真白:(笑)。
貴重な、先輩たちの“濃さ対決”
日野:セオは、ネオ・サンフランシスコにある巨大IT企業オクティンクのトップという立ち位置で、会社の製品を町全体に広めるために、いろいろと企んでいるミステリアスなキャラクターです。目を見開くときも「くわっ」と言ってしまうくらい、おかしな言動をする人だったので、僕も江口くん同様に、勢いが大事だなと思って演じていました。周りにも濃いキャラクターがたくさん登場するので、濃さでは負けられないなと。
(c) タツノコプロ・MUTEKING製作委員会
江口:先輩たちの“濃さ対決”は、なかなか貴重だと思います(笑)。
日野:みんな、違うジャンルの濃さで勝負してくるからね(笑)。
真白:そこに放り込まれる、平凡なムテキくん……!
日野:こってり好きにはたまらない作品だと思います。
一同:(笑)。
――特に印象的だったキャラクターやキャストさんのお芝居はありますか?
日野:ムテキくんがよく行くダイナーの常連客、マット(CV:青山穣)とトミー(CV:松山鷹志)ですね(笑)。
真白:現場でも、みなさん必死に声を抑えながら笑っていましたよね。
日野:あの2人の、何とも言えない大物感を醸し出しながらも、言っていることはちゃらんぽらんというギャップがたまらなくて。僕はツボに入ると笑いが止まらなくなってしまうので、笑いをこらえるのが大変でした。大好きな2人です。
真白:僕が気になるキャラクターは、オーロラ。一切情報が明かされていないので、詳しいことはお話しできないのですが、この作品にとって鍵となる重要なキャラクターです。彼女のライブシーンや音楽も見どころのひとつなので、楽しんでいただければと思います。
KENNさんはアフレコ現場でも常にステキ
江口:作品全体で、大真面目にふざけている節があるのですが、そのなかでも象徴的なのが、KENNさん演じるステキングです。「こいつは一体何なんだよ!」と突っ込みたくなるはず。ムテキングと似た名前なので、「もしかしたら何かあるのか!?」思いながら観ていただければ。
日野:(笑)。
真白:ステキングは、とにかくステキなキャラクターです。KENNさんは、席からマイク前に行くときもステキでいることを心掛けていたそうです(笑)。
日野:あはははは! 確かにKENNくん、やってたわ。
江口:もうそこからふざけてる……!
真白:常にステキに、堂々と振舞っているKENNさんがとにかく面白くて。
日野:とことん役に徹していたね(笑)。
江口:そんな先輩の遊び心が、ふんだんにちりばめられた作品になっています。あと、アイダさん役の高橋李依ちゃんが、真白くんにいろいろなことを細かくアドバイスしている姿が印象的でした。後輩ながらも、頼もしいなと。
真白:この現場で最初に話しかけてくださったのも高橋さんでした。
江口:先輩たちはその背中で芝居のお手本を見せてくださって、真白くんと年齢の近い李依ちゃんが、細かい部分をサポートしてあげている感じでしたね。そんな様子を、「真白くん、いいな~!」と思いながら見ていました。
一同:(笑)。
(c) タツノコプロ・MUTEKING製作委員会
クールでおしゃれ、「???」が正解
――こんな作品が好きな人には絶対刺さるはず! という本作の見どころを教えてください。
日野:純粋に、アニメーションの面白さを実感できる作品だと思います。深く考えていけば、掘り下げるポイントも多々あるのですが、それ抜きでも十分楽しめるので、お子さんにも刺さるでしょうし。ギャグや色合い、動きなどが十分見ごたえがあるので、「なんだかよくわからないけれど、とにかく面白い」と思えるアニメーションになっています。自分が幼稚園生の頃に観ていた時も、作品に込められた深いメッセージまでは理解できずとも、歌ったり踊ったり、ローラースケートで戦ったり……そんなシンプルな部分にすごく興味をひかれたので、アニメーションに触れるきっかけになるような作品だと思います。
(c) タツノコプロ・MUTEKING製作委員会
江口:同時に、大人の方には、クールでおしゃれに映るんじゃないかなと思います。なんなら、普通のカフェやバーのモニターでこの作品が流れていても、違和感がないんじゃないかなと。実はものすごくいいバランスの作品なので、どの世代にも勧められますし、アニメになじみがあってもなくても楽しめる作品だと思います。
――最初は、「???」と思いながらも、不思議と見続けたくなる、だんだんクセになる作品ですよね。
江口:そう。最初はわからなくても大丈夫。
真白:むしろ、「???」くらいの反応が正解ですよね。
日野:今って、わかりやすい答えをすぐに求めがちじゃないですか。でも、こういう楽しみ方もあるんだってことが届くといいですよね。
真白:まずは、深く考えずにパッションだけで気軽にご覧いただけるとうれしいです。物語が進んでいくにつれて、自然と作品のメッセージ性が伝わってくると思いますし、そこで気づくことも出てくるはず。考え方を変えてくれる、広げてくれる作品になっているので、いきなり答えをだすのではなく、徐々に見つけていく過程を楽しんでいただければと思います。
OPムービー
3人がムテキになれる瞬間は?
――本作で一番大切なのはノリ。ご自身がお芝居以外でムテキになれる瞬間はどんな時ですか?
真白:僕は、ゲームをしているときと、音楽を聴いているときです。さすがにムテキくんのように突然踊りだしたりはしませんが(笑)、やっぱり音楽を聴きながら歩いていたりすると、ノリノリになります。
江口:僕は、間違いなくお酒を飲んでいるときですね。アルコールさえ入れておけば、ムテキになれます(笑)。
真白:確かに強そう……!
江口:ただし、かりそめの強さだけどね! 酔いが醒めたら終わるムテキです。
一同:(笑)。
日野:タイムリミットはあるけれども、酔っている間はムテキだね(笑)。僕は、子どもと一緒にいるときかな。
江口&真白:おお~!!
日野:子どものためなら、なんでもできます。
セオ役 日野聡
真白:かっこいい!!
江口:言ってみてぇ~!!
日野:それ以外のときは、ちゃらんぽらんなただのおじさんだよ(笑)。子どもがいないと、強くなれないことだけが弱点です。
真白:3人のなかでは、日野さんが一番ムテキですね。
江口:酒なんて言ってる場合じゃなかった!
一同:(笑)。
――最後に、放送を楽しみにしているファンにメッセージをお願いします!
真白:この作品には、いろいろな価値観や個性を持つキャラクターが登場します。自分の物差しだけでは測れないような僕らの世界と同じように、「みんな変わっているけれど、みんないいよね」と受け入れることで、見えてくるものがきっとあるはず。まずは柔軟な心で、楽しんでくださるとうれしいです。
江口:日頃お疲れのあなたにこそ、観てほしい。そんな、処方箋のようなアニメです。力を抜いて楽しめる作品になっていますので、ぜひ気楽にご覧ください。
日野:僕が演じたセオの口ぐせは「GREAT!」です。ぜひ皆さんも、アニメを観ながら一緒に「GREAT!」と言って楽しんでください(笑)。そういう楽しみ方があっても、いいですよね?
真白:ですね(笑)!
取材・文・構成=実川瑞穂/撮影=池上夢貢

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