植田圭輔、田淵累生ら舞台『文豪スト
レイドッグス 太宰、中也、十五歳』
いよいよ開幕! 舞台写真・開幕レポ
ートが到着

2021年10月5日(火)東京・よみうり大手町ホールにて舞台『文豪ストレイドッグス 太宰、中也、十五歳』が開幕した。本作は、12日(火)まで東京・よみうり大手町ホール公演を行ったのち、10月16日(土)から17日(日)まで大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール、10月21日(木)から24日(日)まで東京・シアター1010 大ホールにて上演される。東京公演ではライブ配信を実施。
配信では、公演ごとに異なるブロマイド特典や、キャラクターにフォーカスした映像収録など、配信限定のコンテンツを楽しめる(アーカイブ期間中は何度でも視聴可能)。開幕に際し、舞台写真とオフィシャルレポートが到着した。
◆オフィシャルレポート
ついに「双黒」始まりの物語が明かされる。
「異能」の力を持つ者たちを擁する「武装探偵社」と「ポートマフィア」がしのぎを削る架空の都市ヨコハマ。2017年の『文豪ストレイドッグス』初舞台化から4年という膨大な時間と5作品の上演を重ねて、通称「文ステ」は壮大に物語を紡いできた。今回上演される『太宰、中也、十五歳』は“現在”から遡ること、7年前の話。のちに「双黒」と呼ばれる二人の少年、太宰 治と中原中也の出会いが描かれる。キャストの力強い演技で浮かび上がる人間ドラマとイマジネーション溢れる「異能」バトルで、『文豪ストレイドッグス』の世界観を実体験できる。
7年前、ポートマフィアの新首領・森 鴎外に初仕事を命じられた太宰 治は、未成年のみで構成された互助集団「羊」のリーダーで「羊の王」と呼ばれる十五歳の少年、中原中也と最悪の出会いを果たす。互いに嫌い合う二人だが、ヨコハマに広がる「アラハバキ」の噂の真相に迫るため、共闘をすることに……。
2017年のシリーズ第1作から登場し、今度で中原中也役として4度目の出演となる植田圭輔。植田自身が「念願が叶った」と語る『太宰、中也、十五歳』の上演だけに気合は十分だ。作品冒頭に中也が舞台中央に現れた瞬間には、空間を切り裂くような衝撃があった。“現在”の動じない中也とは違って、15歳の中也はあがき、もがいている。青の時代の中也のひりつく感覚を、植田は全身で表現。アニメで見て「生身の人間では不可能では…?」と思われたアクションを恐るべき身体能力で体現した。
太宰 治を演じるのは田淵累生。第5作『DEAD APPLE』で初登場し、今回で2度目の出演だ。『DEAD APPLE』から今作の間には映画『文豪ストレイドッグス BEAST』の撮影があり、映像作品でも太宰を演じた経験を生かして、今作に臨んだ。15歳らしく振る舞うが、ふと見せる居ずまいに太宰が本来持つ怜悧さを感じさせる。相反する表現で太宰の奥深い内面を覗かせる、魅力的な太宰だった。
本作の大きな見どころとなるのは中也と太宰の共闘だ。初めて会ったときから毛嫌いし合っていたけれど、「異能」の相性は抜群によい二人。図らずも組むことになった二人からバディ感が立ち上がる。思えば太宰が、負の感情であるにせよ、ここまで心を動かされたのは中也が初めてなのかもしれない。「生きるなんて行為に、何か価値があると、本気で思ってるの?」と言っていた太宰の心に、中也が変化を起こした。人は人と関わることで変わるのだと、そんなことも感じさせられた。
関わりといえば、ポートマフィアの新首領、森 鴎外の太宰や中也に及ぼす影響は大きい。森と太宰の関係は親子のようでもあり、「羊の王」の中也が森と出会って「長」としての在り方に心を打たれる。中也が大きく成長するのも、森の存在あってこそ。森 鴎外を演じるのは、初登場となる根本正勝だ。ひょうひょうとした部分と組織の「長」としての冷徹さを併せ持つ森を、豊かな演技経験を生かして懐深く演じた。

そして、同じく初登場となったのは蘭堂役の細貝 圭。蘭堂の持つ独特の存在感を見事に放ち、物語の世界観を確実に形作る。作品の見せ場となるのは、蘭堂が「異能」を見せるシーン。プロジェクションマッピングと演技が一体化して、物語の世界に包み込まれたような没入感が味わえる。
「羊」の構成員、白瀬を演じる伊崎龍次郎も初登場。中也に寄せるピュアな信頼から始まる前半と後半の違いをくっきり見せて、生きる人間像を創り上げた。広津柳浪は3年ぶりの登場となる加藤ひろたかが演じて渋さを見せ、2年ぶりの登場となる夢月せらが演じる尾崎紅葉が艶やかだ。さらに、「ドッグス」と呼ばれるアンサンブル8人が人間から物体まで縦横無尽に演じるのも「文ステ」ならではの楽しさだ。ちなみにお勧めは「暖炉」。人間が暖炉を演じられるなんて、誰が想像できるだろうか?
脚本・演出は中屋敷法仁。第1作から演出を手掛ける中屋敷は、複合的な表現で『文豪ストレイドッグス』の世界を立体化する。俳優の身体表現を駆使して演劇的な高揚感をかき立て、照明など最新鋭のテクニックで臨場感を高める。舞台となるヨコハマ「擂鉢街」を象徴する階段状のステージが左右に割れる大仕掛けで、スピーディな物語展開を実現した。原作を見てどう演じるのだろうかと思っていた「電子遊戯場(ゲームセンター)」のシーンは「こう来たか!」という表現で、これはぜひご覧いただきたい。
中屋敷演出の真骨頂は、キャラクターが生きていること。今作では太宰が、中也が大きな物語の中でもがくように生きる様がリアリティを持って描かれる。二人の息吹を、しかと感じることができる。壮大な異能力アクションバトルであると同時に、緻密な台詞劇として人物像に、人間ドラマに肉薄する。生きる二人と同じ空間を共有できるのが、舞台を観る醍醐味だ。
さらに、『太宰、中也、十五歳』の原作が出た当時から『文豪ストレイドッグス』本編の物語も進み、この1年後の小説(『文豪ストレイドッグス STORM BRINGER』〔朝霧カフカ 著・春河35 イラスト〕)も発表されているので、それらの物語も含意した舞台化となっている。いろいろな要素が肉付けされ、植田の言葉を借りれば「解像度が上がっている」舞台化となっている。漫画・アニメを観ている方にも、今作を観ることでより奥深く『文豪ストレイドッグス』の世界を体感していただけるだろう。
文=大原薫 撮影=田中亜紀

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