ミュージカル『オリバー!』プレスコ
ール・レポート~魅惑の劇中ナンバー
5曲を披露【動画あり】

英国産ミュージカル『オリバー!』の、日本語版の東京公演が2021年10月7日(木)より東急シアターオーブにて開幕する(6日迄はプレビュー公演)。東京公演の初日に先駆け、10月4日(月)には報道向け公開舞台稽古(プレスコール)が行われた。約20分間の動画を以下に埋め込んだので、余裕のあるかたはご参照いただきたい。
【動画】ミュージカル『オリバー!』プレスコール

本作は、英国の文豪チャールズ・ディケンズの小説『オリバー・ツイスト』を原作に、ライオネル・バートによって創作された。1960年に英ウエストエンドで初演され、ほどなくしてブロードウェイに進出すると、トニー賞最優秀オリジナル楽曲賞を含む数々の賞に輝いた。1968年には映画化され、アカデミー賞6冠を獲得。1977年からは、後に『レ・ミゼラブル』『ミス・サイゴン』や『メリー・ポピンズ』などを送り出すことになる名プロデューサー、キャメロン・マッキントッシュの率いるクリエイティブチームが手掛けるようになり、再演が繰り返される。日本では1968年に帝国劇場にて招聘版により舞台初披露。1990年に日本人キャスト版が上演されて以降はしばらく上演が途絶え、今回、約30年ぶりの新演出版として甦りを果たした。
4日のプレスコールでは、劇中ナンバー5曲が披露された。
まずは、ナンシーのソロナンバー「彼に必要とされる限り」(As Long As He Needs Me)。恋人(犯罪者ビル・サイクス)にぶたれて傷つけられるも、彼のことを理解し、想い合えるのは自分だけだという気持ちを歌う1曲で、ここでは濱田めぐみが歌った。この日のプレスコールでは唯一、舞台上に一人だけ、という状況だったが、力強い歌声で魅せた。
続いては、一度聴いたらついつい口ずさまずにはいられなくなる「ポケットからチョチョイと」(Pick A Poket Or Two)。救貧院から葬儀屋に売り払われた孤児オリバーは脱走の末、ロンドンの街で出会ったドジャーにギャング団の住処へ連れていかれる。そこでスリ団の元締めであるフェイギンに、世の中を生き抜く流儀を教わる、というナンバーだ。この日は、フェイギン役を市村正親、オリバー役を越永健太郎、ドジャー役を大矢臣、ギャング団をハックニーチーム(中村海琉 河井慈杏 山口俊乃介 市村優汰 入内島悠平 髙橋唯人 瀧澤拓未 田中琉己 田中誠人 髙橋維束)が担当した。市村フェイギンを中心に、子どもたちの実に生き生きとしている姿が印象的だった。
「これが人生」(It's A Fine Life)は、スリ団の住処にナンシーがやってきて、辛い境遇で生きているが、彼女の持ち前の明るさ、芯の強さで「これもいい人生」と歌い上げるナンバー。今度はフェイギン役を武田真治、ナンシー役をソニン、オリバー役を高畑遼大、ドジャー役を佐野航太郎が演じた。ギャング団は引き続きハックニーチーム。今の時代にも強く共感される一曲だろう。
続いて「必ずここへ帰れ」(Be Back Soon)。オリバーが初めてギャング団の子どもたちと一緒にスリに出かける際に、フェイギンが子どもたちに「必ずここへ帰れ」と歌うナンバーで、フェイギン役を武田真治、オリバー役をエバンズ隼仁、ドジャー役を川口調、ギャング団をハックニーチームが担った。子どもたちの一体感が感じられるナンバーだった。川口が得意とするバトン・プレイも鮮やかだった。
そして最後は本作の代表曲のひとつ、「信じてみなよ」(Consider Yourself)。ロンドンの広場で出会った孤独な少年、オリバーに「信じてみな、泣く前に」とドジャーが歌いかけるナンバーである。オリバー役を小林佑玖、ドジャー役を酒井禅功、ギャング団をペッカムチーム(日暮誠志朗 福田学人 山下光琉 河内奏人 花井 凛 本田伊織 杉本大樹 高田夏都 平澤朔太朗 渡邉隼人)、そしてカンパニーの面々も次々と現れた。壮大ながらも細部まで緻密に作り込まれていて、どこをみていても楽しくなる。圧巻のダンスパフォーマンスで、「本番を観ずにはいられない」という気持ちにさせられた。
今回のプレスコールでは、新型コロナウイルス感染予防の観点から囲み取材は行われず、コメントムービーが各社に配られた。そのコメントを紹介しよう。
■市村正親
いよいよ『オリバー!』初日を迎えます。いつもそうですけども、初日が近づいてくると、僕もドキドキドキドキしてきます。これが逆にいうと、ワクワク感があります。今回子どもたちがすごいエネルギーとパワーを持って、とにかく舞台上で所狭しと歌ったり踊ったりしています。
その中でギャングたちをまとめていく、僕はフェイギンという役なんですけども。そのギャングの中に、スネイク役でですね、私の長男、市村優汰が出ております。ときどき役として目があったりするんですけども、不思議な気分になりますよね。息子なんですけど、スネイクというね。なんか不思議な部分があるんですけども、それは僕に与えられた特権なのかなと思っています(笑)。
みんなギャングの子たちはそれぞれ個性的で、いろんな形の金平糖があるみたい。一人一人がone。素晴らしい才能を持った、素敵でチャーミングな子供たちです。みんなに負けないぐらい、僕もパワーを出して、頑張りたいと思っています。『オリバー!』、ぜひお楽しみに!
■武田真治
ここが希望のはじまりです。本当にそう思っています。そうしたいと思います。この劇場から生まれるエネルギーがこの世の中の新しい希望のエネルギーになるようにしたいと思います。
■濱田めぐみ
いよいよ初日を迎えます。今まで子供たちと大人のメンバーと、そしてスタッフさんと全員で稽古をしてきて、ようやく皆様の前でお見せする作品になったと思います。みんなすごく緊張すると思うんですけども、温かい目で迎えてください。そして、我々と一緒に『オリバー!』の旅をしましょう。どうぞ、よろしくお願いします!
■ソニン
あの頃にタフに生きた女性代表として、ナンシーがかなり役をになっていると思うので、そこに関しては私も魂を懸けて、この役に、この作品に注ぎたいと思っています。今、多分、もう生きていてしんどいとか、やる気出ない人がたくさんいると思うんですけど、ナンシーの生き様をみて、そんなこと言っていられないというぐらいタフに生き抜きたいと、この東京、大阪終わる今年最後まで、生き抜きたいと思います。
取材・文・写真撮影=五月女菜穂
動画撮影・動画編集=森脇孝(エントレ)

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