【04 Limited Sazabys
ライヴレポート】
『Deliver 04 you tour』
2021年9月15日 at Zepp Tokyo
9月15日、“Deliver 04 you tour”と題されたレコ発ツアーZepp Tokyo公演2デイズ最終日。THE GET UP KIDSの「Holiday」が場内に流れたあと、暗転と同時にけたたましいサイレン音が鳴り響き、GEN(Vo&Ba)、HIROKAZ(Gu)、RYU-TA(Gu&Cho)、KOUHEI(Dr&Cho)のメンバー4人が登場。序盤は腰を深く下ろし、フロアーの四隅にまで音を届ける冷静沈着ぶりだ。“リビングにいるみたいな気持ち”とGENが自分たちの演奏を早くも振り返っていたけれど、観ているこちらも同じ印象であった。いい意味で肩の力が抜けた上で、自然体かつドッシリ構えたフォーリミがそこにいた。ドラム始まりで緩急豊かに聴かせる「Jumper」はライヴで特段に映えていたし、ロックンロール調の「mahoroba」と変化球も織り交ぜてショーは進んでいく。
また、HIROKAZの誕生日(9月19日)が近いこともあり、この日はサプライズでケーキでお祝いするスペシャルな演出もあった。本人曰く“何となく察した”と苦笑いを浮かべながら、メンバーからもらった“本日の主役”なるお約束の襷(たすき)を肩にかけ、HIROKAZはプレイを続行。その後、スタッフの推し曲である「Do it Do it」を披露。初期曲らしいシンプルなキャッチーさに観客も好リアクションで盛り上がっていた。
そして、新曲「fade」「just」はフォーリミの現在地を高らかに示す役割をきっちりと果たす。ここでは奇を衒わず、変わらないバンドらしさを濃厚に突きつけるサウンドを提示。飾らず、カッコつけず、普段着でビシッと決める彼らがいた。疾走度と高揚感、加えて抜群のメロディーの良さで観客に寄り添う。そのストロングスタイルが実に眩しかった。しかも、この日はZepp Tokyoが2022年1月1日に閉館するということで、ライヴ中に“Zepp Tokyo最後”とGENが名残惜しそうに何度も口にしていたのが印象深い。バンドとしても思い出の染みついた会場に違いない。天井のミラーボールが煌々と回る中で披露した壮大な「midnight cruising」もここで聴くのは最後かと思うと、一抹の寂しさを覚えたほど。
ライヴ全編を見渡してみると、パンキッシュな楽曲を挟みつつも、「Letter」や「soup」のようなメロディアスな側面にフォーカスを当てた楽曲の存在感が際立っていた。やんちゃな少年性よりも、大人びた風格の方が上回っていた。無論、エッジや角が取れたわけではない。今は足場を固めて、目の前の観客と背伸びせずに向き合う素に近いステージングとなっており、それがまた新鮮に映った。換言するなら、踊り場で伸び伸びとプレイするフォーリミのパフォーマンスも、今だからこそ観れる貴重なものだった。
ショーの終盤、“怒り以外の感情を共有したい。エンターテイメントは弱い人のためになる。心に栄養を与えて…また会いたいです!”というMCから「Squall」へ。ここにいる人たちの感情を根底から掬い上げる懐の深いエモーションに感涙。何度聴いても胸を打たれる名曲であり、今のご時世においても強い光を放っていたのは言うまでもない。今ツアーはまだまだ続くが、次に出会うときはどんな姿を魅せてくれるのだろうか。これからもフォーリミの動きから目が離せそうにない。
撮影:ヤマダマサヒロ/取材:荒金良介
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