神はサイコロを振らない × キタニタツヤ

神はサイコロを振らない × キタニタツヤ

【神はサイコロを振らない
インタビュー】
バンド対キタニタツヤで殴り合う、
それを遊び感覚でやれた曲

神はサイコロを振らないの第二弾コラボレーションはキタニタツヤという好敵手。アグレッシブかつエロティックな歌詞は検索上位をマークし、曲調もキタニが得意とするハイパーなファンクをしっかりグルーブ感のあるバンドサウンドに昇華した「愛のけだもの」。異様なまでに意気投合したという柳田とキタニに共通項、そして今の神サイのテンションを届ける。

恋愛というテーマは
キタニとやろうとなった時からあった

コラボ第二弾の「愛のけだもの」は前作「初恋」(2021年7月配信)とは真逆ぐらい振り切った曲ですが、もしかしたら最初からシリーズのテーマがあったのではと推測していて。

柳田
あー、確かに両方とも恋愛ですね。だいぶ汚らわしくなりましたけど。

(笑)。両方、恋愛がテーマになったのは偶然なんですか?

柳田
そうですね。狙ってたというより、自分自身も恋愛はテーマとして書きやすいし、キタニとそういうテーマで書きたいっていうのは一緒にやろうとなった時からあったんで。まぁ、だいぶ大人の恋愛の感じですけど。

すっかり“キタニ”呼ばわりですけど(笑)、出会って長いんですか?

柳田
3回しか会ってないです(笑)。

それにしてはすごく仲が良いですね。今回も資料によると、前回のn-buna(ヨルシカ)さんに続き、吉田さんがそもそも知り合いだったとか。

吉田
それより前、キタニとは数年前に会ったことがあったんで、そこから連絡先は知ってたんです。なので、普通に“曲作らん?”みたいな感じで始まりましたね。

前回よりもラフに?

吉田
そうですね。で、柳田とも初回から波長が合って。柳田の家でデモの方向性を話し合うミーティングが、まだ会って2回目だったんですけど、その時にはぶち上がっちゃって、本当に楽しそうでしたね。

それが資料にある“二度目は全裸でお互いにグルーブを高め合い”ってことですね(笑)。

柳田
そうです。似てました、匂いが。

キタニさんの面白いところや個性と言うならば?

柳田
すごく面白いし、あほなこともするんですけど、根はすごく真面目な感じがしていて、オン/オフがちゃんとしてるというか。ふざける時は…まぁ、たいがいふざけていますけど、制作とかレコーディング、ディレクションの時のキタニってすごい真面目で、真剣に音楽作ろうとしてるんですよね。そういうところも自分と近いっていうか…そんな感じしました。

異様な高学歴ですよね。東大文学部卒で美学や芸術学を学んでいたって相当ですよね。

柳田
訳が分かんないですよ。そこからミュージシャンになって、あんなカッコ良い曲を作って、破天荒だなと思いますね。
吉田
勉強家な一面もあるんですけど、それよりもっと純粋に見えたところが大きくて。結構何にでも興味を持てる人間な気がします。それって意外と難しいような気がするし、トレンドものにすごく詳しかったり。
柳田
いい意味で尖ってないんですよ。尖ってんですけど、なんかその…
吉田
受け入れるものはちゃんと受け入れる。
柳田
そう! 許容範囲がでかいんですよね。俺がキタニだったらもっと尖りそうな感じがする(笑)。もっと狭まりそうだし。でも、作る世界観もしっかりしてるし、アンテナを張っている範囲も広いし、そういうところがすごく好きですね。

音楽的にはどうですか? ボカロP出身でもあり、今の世代のシンガーソングライターでもあるわけですが。

桐木
昔の曲とかって、意外と今みたいな感じじゃなくて、わりと俺ら寄りだったんですよ。それにびっくりして。“あっ、そういう一面もあるんだ!?”みたいな。最初からファンクじゃなくて、結構エモいコードとかも使ってシューゲイザーとかポストロックとか、その辺を感じる時代もあったりするんですよね。
柳田
そういうところに親近感抱いた部分もありますね。通ってきてるとこ意外と似ている。

制作は前作のn-bunaさんよりカジュアルな感じで始まった?

柳田
n-bunaさん、アユニ・D(BiSH/PEDRO)さんの時は“いいものを作りましょう!”という態勢だったんですけど、「愛のけだもの」に関しては友達ん家に行って、“さぁ、作ろうぜ!”みたいなノリで、遊び感覚で一緒に作れた…だから、ずっと楽しかったですね。もちろん今回もいいものを作ろうという意気込みはありましたけど。

神サイでは基本、柳田さんがデモを作ることが多いと思うんですけど、今回の作り方はもっと原型から一緒に?

柳田
いや、オケに関してはキタニがざっくりした基盤みたいなものを2パターン用意してくれて、ひとつが「愛のけだもの」のもとになるアッパーなもので、もうひとつがちょっとチルいっていうんですかね、テンポもゆっくり目で…それもすごくカッコ良かったんですよ。“どっちもやりたい!”っていうぐらい良ったし、どちらもメロディーとかもたくさん浮かんでくるし、最後まで迷ったんですけど、ライヴでも映えるし、こういうアッパーかつファンクなものって神サイには少なかったから、こういう方向でやっていこうということになりました。

音楽性もですが、ちょっと爆弾投下みたいなところありますね。リスナーやシーンをザワザワさせるというか。これはキタニタツヤという触媒みたいな人がいて、よりやりやすくなったテーマなんでしょうか?

柳田
そうですね。「愛のけだもの」はキタニの超得意分野な楽曲だったし。最初に“どんな感じで歌とか作っていく?”って話になった時に、海外のアーティストとか日本でもヒップホップアーティストがコラボする際、バースごとに自分のポジションは自分でメロディー作って、それでお互い殴り合うみたいなところがあるんで、そういうのをバンド対キタニでやったら、きっとめっちゃ面白いってところから始まったんで。例えば俺が1Aと1Bの歌詞を書いたんですけど、それに対してキタニは“柳田、こう来たから俺はこう書こう”みたいな。そういうのも初めての試みだったから、それもまた遊び感覚でただただ楽しくて。お互いの様子をうかがいながら“じゃあ、俺はこういこう”って、そんなやりとりがあって楽しかったですね。

例えばヒップホップなら女性ラッパーがメインでいて、男性が絡むみたいな、そういう展開に近い感じがしたんですよ。それを男性同士でできるのが面白いなと。そういうリファレンスについても話しましたか?

柳田
それこそ俺の家で、気がついたらふたりとも服脱いでた時に(笑)、すごくそういう話しをしたし、リファレンスの話もしました。コラボにもいろいろやり方あるじゃないですか。デュエットにしても完全に歌を振り分けたりするのか、はたまたユニゾンするのかって。まだ遊び感覚に近かったんで、“ふたりでユニゾンしてジャニーズさんのグループみたいな良さを取り入れようぜ”!となって。違う成分の声が重なって厚みを出すサビのある曲の中で、AメロとBメロではやり合っている…みたいな。そういうのをやっていこうという話になったんです。同じラインをハモでもなく、同じラインのサビを互いに歌うっていうことをやってみたんですけど、それがまた新鮮で面白かった。

違うタイプのヴォーカリストだから余計に自由度が増してると思いました。

柳田
そうですね。普段やってることも全然違うというか、そもそもキタニとは畑が違うから一緒にやるのは楽しかった。n-bunaさんの時もそうでしたけど、全然違う界隈にいる人と何かを作るっていうのは楽しいです。むしろ、俺らに近いバンドと何かを作るって、逆に難しそうだなって。全然違うところから“そんなことある!?”みたいなアイディアがどんどん出てくるのが面白かったんで。
神はサイコロを振らない × キタニタツヤ
配信シングル「愛のけだもの」 /神はサイコロを振らない × キタニタツヤ

OKMusic編集部

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