ブルーグラスバンドでありながら
ポップさも持ち合わせた
カントリー・ガゼットの
『パーティーの裏切り者』
本作『パーティーの裏切り者』について
現在ではアラン・マンデのバンジョーの評価はもちろん高いが、当時は彼のプレイを本作で初めて聴いてその美しいトーンと鋭いドライブ感に驚いたものだ。特に「スウィング・ロウ・スウィート・チャリオット」のバンジョーソロには心惹かれた人は少なくないはず。もちろんバイロンはフィドルだけでなく、マンドリンやヴォーカルなど八面六臂の大活躍である。
収録曲は全部で12曲。トラッドは2曲のみで、ジーン・クラークの名曲「キープ・オン・プッシン」と「トライド・ソー・ハード」のアレンジは秀逸で、オリジナルを超えているというのは言いすぎか? ルーヴィン・ブラザーズ作でジム&ジェシーの十八番でもある「アイ・ウィッシュ・ユー・ニュー」、ゴスディン・ブラザーズの「サウンド・オブ・グッドバイ」、ハーブ・ペダーソン作の美しい「アンナ」など1曲も捨て曲はなく、デビュー作にして完成された音楽になっていると思う。もし本作を聴いたことがないのであれば、これを機会にぜひ聴いてみてください。よりウエストコーストサウンドに近づいた2nd『ドント・ギブ・アップ・ユア・デイ・ジョブ』(’73)も素晴らしいので、ぜひ!
最後になるが、バイロン・バーラインは今年の7月10日、残念ながら77歳で亡くなってしまった。実に偉大なフィドラーであった。R.I.P
TEXT:河崎直人