【琴音 リコメンド】
今だからこそ
届けられる前向きさがあると思う
今の時代を生きている
自分だからこその表現ができた
続くM2「こたえ」も同じく田中隼人が作曲、KANATA OKAJIMAが作詞を担当しているが、逆境に立ち向かっていく主人公が思い浮かぶ「君は生きてますか」とは異なり、自分の気持ちを模索する様子が描かれ、歌声にも弱々しさがこぼれ出す。M3「6等星」は進むべき道が見つからない苦しさを抱えたまま歩んでいく描写が印象的で、今を生きる人々に寄り添い、誰も置いて行かない一枚になっているところも今作の特筆すべきところだ。なお、レコーディング時にアドリブで歌唱した箇所もあったそうで、現場の程良い緊張感がM1~3の繊細な感情表現につながっているのかもしれない。
「事前に“3曲全体を通して洋楽っぽいニュアンスで”とうかがっていましたが、具体的な部分はレコーディングの場ですり合わせました。「こたえ」と「6等星」は現場でメロディーや譜割が変更になる場面もあり、今まで自分が経験してきたレコーディングと比べてもかなりクリエイティブで新鮮でしたね。「こたえ」の最後に入っているフェイクの部分も、急遽“ここにフェイクを入れたいんですよね…。何かありますか?”と相談を受けて、その場でオリジナリティーを出せるか、適応力が試されている気分で内心ヒヤヒヤでした(汗)。ピリピリした現場ではありませんでしたが、えも言われぬ修行感があった記憶があります。また、この2曲は「君は生きてますか」のあとにレコーディングをしたので、先のレコーディングで田中さんから勉強させていただいたことを、自分なりに噛み砕いて実践する機会にもなっていました。ちょっとした癖のつけ方で印象がかなり変わることを改めて実感しましたし、自分の引き出しには今までなかった方法や、何となく避けてきた歌い方が実は重要な味になることを学びました」
また、琴音が作詞作曲を手がけたM4「夜音」は、都会の夜をテーマにしたムーディーなナンバーで、電子音や雑踏の音も取り入れ、未知の世界に連れ出されるような魅力がある。歌声は低めのトーンでクールにキマっているが、どことなく背伸びをしているようなドキドキ感もあり、《浪漫な夢見たっていいじゃない》《短絡的な結末も悪くない》という開放的なフレーズには心が救われる気さえする。
「楽曲自体は昨年にできていたので、上京してから初めての夏に感じた“自由でエモーショナルな感じ”をイメージして完成させました。上京前は一本のギターで曲を作っていたのですが、専門学生になってパソコンでも作曲をするようになり、ジャンルも大幅に広がって、より自分の好みの曲を作れるようになったんです。新天地でパワーアップした自分の楽曲を聴いていただけることをずっと楽しみにしていたので、お客さんに公開するものとしては第一号となるこの曲には特別な想いがあります。今回の収録曲の中では唯一のオリジナルソングでもあるので、なおさら“魅せたい”とか“やってやるぞ!”という気持ちが大きかったと思います。歌詞は今作への収録が決まってから書き直したのですが、夏の夜が好きなので、思い浮かべていたイメージが迷子になることなく、明瞭なまま表現できました。曲といい、歌詞といい、今までの自作曲とは雰囲気が変わっているので、お客さんがどんな反応をされるのかとても気になっています」
そして、今年1月にYouTubeでMVを公開していた、さだまさしの「防人の詩」のカバーも収録。「海も山も死ぬからこそ 海は干上がり 山は枯れる」万葉集 第16巻3852番に基づいて作られたと言われており、全てのものに宿る命を歌った、壮大でどこまでも意味深い曲だ。石崎 光の迫りくるようなアレンジと、琴音が魅せる声色の変化もかなりインパクトがあり、終盤のささやくような歌声が、絶望感にも似たような問いと、孤独な叫びを引き出している。
「Aメロからサビにいく流れが5回繰り返されるので、ブロックごとの歌詞に添った変化をつけて歌うように意識しました。和楽器と打ち込みっぽいドラムの音色に加え、多重録音した自分の声が伴奏を支えているのもこのカバーのポイントです。以前にも声の多重録音をしていた曲はあるのですが、こんなにも終始いろいろな声が聴こえるアレンジは初めてでしたね。「防人の詩」をカバーさせていただき、他の楽器と比べても、声には独特な要素があるのだと再確認できました。伴奏で和音を担っている声はシンセ的な役割をしていますが、嘆きや悲鳴のような音色だけではないニュアンスを含められるのも声ならではの表現ですよね。アレンジも歌い方も原曲とは印象が異なりますが、今の時代を生きている自分だからこその表現ができたと思っています」
前述の5曲+ドラマ本編でも使用された表題曲のスペシャルバージョンが収録された今作。ミニアルバム全体のコンセプトを大きく掲げているわけではないが、力いっぱい進もうとする姿勢、その場で思い悩む時間、ちょっと気楽に考えてみるのも生きていく上で必要なことなのだと感じられる作品だ。
「今までの作品と比べても、『君は生きてますか』は全体的に希望的な雰囲気を纏っていると思いますし、今の時代に重なるというか、今だからこそよりたくさんの方に届けられる作品になったのではないかと感じています。今回の制作は今後の楽曲制作にも大きくつながる経験にもなったので、大事な作品です。収録されている各曲が、聴いていただける方々それぞれのかたちで糧になれば嬉しいです」
「事前に“3曲全体を通して洋楽っぽいニュアンスで”とうかがっていましたが、具体的な部分はレコーディングの場ですり合わせました。「こたえ」と「6等星」は現場でメロディーや譜割が変更になる場面もあり、今まで自分が経験してきたレコーディングと比べてもかなりクリエイティブで新鮮でしたね。「こたえ」の最後に入っているフェイクの部分も、急遽“ここにフェイクを入れたいんですよね…。何かありますか?”と相談を受けて、その場でオリジナリティーを出せるか、適応力が試されている気分で内心ヒヤヒヤでした(汗)。ピリピリした現場ではありませんでしたが、えも言われぬ修行感があった記憶があります。また、この2曲は「君は生きてますか」のあとにレコーディングをしたので、先のレコーディングで田中さんから勉強させていただいたことを、自分なりに噛み砕いて実践する機会にもなっていました。ちょっとした癖のつけ方で印象がかなり変わることを改めて実感しましたし、自分の引き出しには今までなかった方法や、何となく避けてきた歌い方が実は重要な味になることを学びました」
また、琴音が作詞作曲を手がけたM4「夜音」は、都会の夜をテーマにしたムーディーなナンバーで、電子音や雑踏の音も取り入れ、未知の世界に連れ出されるような魅力がある。歌声は低めのトーンでクールにキマっているが、どことなく背伸びをしているようなドキドキ感もあり、《浪漫な夢見たっていいじゃない》《短絡的な結末も悪くない》という開放的なフレーズには心が救われる気さえする。
「楽曲自体は昨年にできていたので、上京してから初めての夏に感じた“自由でエモーショナルな感じ”をイメージして完成させました。上京前は一本のギターで曲を作っていたのですが、専門学生になってパソコンでも作曲をするようになり、ジャンルも大幅に広がって、より自分の好みの曲を作れるようになったんです。新天地でパワーアップした自分の楽曲を聴いていただけることをずっと楽しみにしていたので、お客さんに公開するものとしては第一号となるこの曲には特別な想いがあります。今回の収録曲の中では唯一のオリジナルソングでもあるので、なおさら“魅せたい”とか“やってやるぞ!”という気持ちが大きかったと思います。歌詞は今作への収録が決まってから書き直したのですが、夏の夜が好きなので、思い浮かべていたイメージが迷子になることなく、明瞭なまま表現できました。曲といい、歌詞といい、今までの自作曲とは雰囲気が変わっているので、お客さんがどんな反応をされるのかとても気になっています」
そして、今年1月にYouTubeでMVを公開していた、さだまさしの「防人の詩」のカバーも収録。「海も山も死ぬからこそ 海は干上がり 山は枯れる」万葉集 第16巻3852番に基づいて作られたと言われており、全てのものに宿る命を歌った、壮大でどこまでも意味深い曲だ。石崎 光の迫りくるようなアレンジと、琴音が魅せる声色の変化もかなりインパクトがあり、終盤のささやくような歌声が、絶望感にも似たような問いと、孤独な叫びを引き出している。
「Aメロからサビにいく流れが5回繰り返されるので、ブロックごとの歌詞に添った変化をつけて歌うように意識しました。和楽器と打ち込みっぽいドラムの音色に加え、多重録音した自分の声が伴奏を支えているのもこのカバーのポイントです。以前にも声の多重録音をしていた曲はあるのですが、こんなにも終始いろいろな声が聴こえるアレンジは初めてでしたね。「防人の詩」をカバーさせていただき、他の楽器と比べても、声には独特な要素があるのだと再確認できました。伴奏で和音を担っている声はシンセ的な役割をしていますが、嘆きや悲鳴のような音色だけではないニュアンスを含められるのも声ならではの表現ですよね。アレンジも歌い方も原曲とは印象が異なりますが、今の時代を生きている自分だからこその表現ができたと思っています」
前述の5曲+ドラマ本編でも使用された表題曲のスペシャルバージョンが収録された今作。ミニアルバム全体のコンセプトを大きく掲げているわけではないが、力いっぱい進もうとする姿勢、その場で思い悩む時間、ちょっと気楽に考えてみるのも生きていく上で必要なことなのだと感じられる作品だ。
「今までの作品と比べても、『君は生きてますか』は全体的に希望的な雰囲気を纏っていると思いますし、今の時代に重なるというか、今だからこそよりたくさんの方に届けられる作品になったのではないかと感じています。今回の制作は今後の楽曲制作にも大きくつながる経験にもなったので、大事な作品です。収録されている各曲が、聴いていただける方々それぞれのかたちで糧になれば嬉しいです」
文:千々和香苗
「君は生きてますか」MV
「防人の詩」MV
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