L→R 井上竜馬(Key&Vo)、木村雅人(Dr)、服部栞汰(Gu)、広瀬臣吾(Ba)

L→R 井上竜馬(Key&Vo)、木村雅人(Dr)、服部栞汰(Gu)、広瀬臣吾(Ba)

【SHE'S インタビュー】
生きるために
必要な音楽になってくれたら

リラックスして作ることができて
とてもピュアなアルバムになった

6曲目の「Chained」は映画『そして、バトンは渡された』のインスパイアソングで、とても壮大な楽曲ですね。「追い風」はワッと一瞬で掴む曲ですが、「Chained」は何回も聴くことで体に馴染んでいく曲だと感じました。

トラックを最初に作った時点でティンパニーを使っていたりして。そういった深い広がりのある曲は今までやっていなかったから、いつか作りたいと思っていたんですよ。映画『グレイテスト・ショーマン』の「This Is Me」という曲がすごい好きなんで、そういう雰囲気のある曲を作りたいと思って書き始めたんじゃないかな?

だから深みを感じさせるんですね。

あんなにアップテンポではなくなったんですけどね。でも、音の輪郭というかイメージは、グッと心にくるようなものを作りたいと思っていました。

サウンド感と言えば、10曲目の「Do You Want?」はサックスが入っていますね。

入れましたね。わりと肩の力を抜ける曲とは思いつつ、ピアノは弾いてなくて。ギターを弾いた、唯一のギター曲ですね。

サックスを入れた意図というのは?

古臭くしたかったんです。80'sの感じというか。ドラムの音もゲートリバーブという、よく80'sで使われていたものを入れたりとか。ちょっと打ち込みっぽくしたりしているので、そこに入っているから余計にそれっぽいのかなと。このアルバムは80'sを意識する作品が結構多かったから、「Take It Easy」もバチバチにそれを意識しました。

なぜ80'sを?

マイブーム?(笑) 僕はThe 1975が好きなんですけど、彼らはそういうサウンドを軸に作っているから、その影響もありますね。

なるほど。そして、最後の表題曲「Amulet」はアルバムの総括という曲になりましたね。

この曲の説明はすごく難しいですね。僕が“音楽ってお守りみたいだな”と思ったきっかけの曲が、Augustanaの「Boston」という曲で…僕にとっては落ち込んだ時とか、夜に落ちていきそうな時に聴いて救われている曲なので、それに影響を受けて作ろうと思ったんです。「Boston」は穏やかに流れていくんですけど、最後にすごく押し寄せてくるというか、感情がブワーッとあふれ出す曲なんです。なので、最後に自分の強い気持ちを全力で出すという構成を踏襲して、自分なりの「Boston」を描いた感じですね。

「Amulet」が感情の全てをさらっていく感覚になるのは、そういった背景があったからなんですね。

アルバムに込めている想いを、わりとそのまま言葉にした曲かな? 《独りで歩く時でも 傍に感じる》というフレーズなんて、そのままなのかなと思います。

今作はスーッと自然に聴ける部分もありますが、全てを聴き終えたあとに“あぁ、いいアルバムだった”としみじみできて、SHE’Sは最新を更新し続けていることを改めて感じました。

それは嬉しいですね。今までは“前作よりすごいアルバムを作ろう!”と考えていたんですけど、今回に関しては肩に変な力が入らないでリラックスして作れたし、すごくピュアなアルバムできたと思っているんです。前作『Tragicomedy』みたいに“たったひとりのために書こう”とか、“心って何だ?”と突き詰めるようなヘヴィな作業はしていないし。それよりも“こういう時にはこういう曲が聴きたいよね”と、自分がリスナーだったし、自分がクリエイターだった。これまでとはまったく違う作り方だったから、今までと全然違う疲労感だったし、達成感でしたね。だからこそ、“初”の不安を感じています(笑)。

(笑)。でも、前作でとことん向き合ったからこそ、今回はこういった作り方でも説得力があるんだと思います。

逆に前回がヘヴィな作業だったから、それと一緒のベクトルやモチベーションでアルバムを作るのは無理だと思ったし、そういう意味では今回は書き下ろしが主体になって本当に良かったです。今までみたいにやっていたらメンタルが大変だったんじゃないかな?

そんな今作はSHE'Sとしてはどんなアルバムになったと感じますか?

これまでで一番ライトに手をつけられるアルバムだと思います。“こういうストーリーで、こういうところに注目してほしいです”とか、“こういう想いがめちゃくちゃに詰まっています”というよりは、一曲一曲その時の気分でライトに味わえて、いつの間にか自分に染み込んでいたらいいなと考えながら作ったアルバムなので。アルバムを曲順どおりに聴いてもいいし、サブスク感覚で“今日はこの曲だけを聴く”とかでもいいというか…聴くための音楽というよりかは、生きるために必要な音楽というものになってくれたら面白いかな? いろいろな気分の時に、いろいろな曲を聴いてほしいと思います。

取材:キャベトンコ

アルバム『Amulet』2021年10月6日発売 Virgin Music
    • 【初回限定盤】(CD+DVD+PHOTOBOOK)
    • TYCT-69210
    • ¥4,950(税込)
    • 【通常盤】(CD)
    • TYCT-60180
    • ¥3,080(税込)

ライヴ情報

『SHE'S 10th Anniversary Tour「So Close, So Far」』
10 /10(日) 神奈川・KT Zepp Yokohama
10 /30(土) 広島・CLUB QUATTRO
11 /06(土) 石川・金沢Eight Hall
11 /13(土) 宮城・仙台PIT
11 /20(土) 北海道・札幌PENNY LANE 24
11 /21(日) 北海道・札幌PENNY LANE 24
11 /27(土) 香川・高松festhalle
11 /28(日) 福岡・Zepp Fukuoka
12 /04(土) 愛知・Zepp Nagoya
12 /05(日) 大阪・Zepp Osaka Bayside

『SHE’S in BUDOKAN』
【2022年】
2/24(木) 東京・日本武道館

SHE'S プロフィール

シーズ:メンバー全員大阪出身のピアノロックバンド。2012年開催の『閃光ライオット』ファイナリストを契機にその高い音楽性が一気に注目を集め、16年6月にシングル「Morning Glow」でメジャーデビュー。全楽曲のソングライティングを担う井上竜馬が奏でるピアノをセンターに据え、エモーショナルなロックサウンドから心を鷲掴みにする珠玉のバラードまで、壮大かつ圧倒的な存在感を放つ。21年、結成10周年であり、メジャーデビュー5周年のアニバーサリーイヤーに突入! SHE'S オフィシャルHP

「Amulet」MV

「Take It Easy」【Official Audio】

「Spell On Me」MV

「Spell On Me」【Official Audio】

『Amulet』【全曲トレーラー映像】

『Amulet』初回限定盤DVD
【Digest Movie】

OKMusic編集部

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