L→R HISASHI(Gu)、JIRO(Ba)、TERU(Vo)、TAKURO(Gu)

L→R HISASHI(Gu)、JIRO(Ba)、TERU(Vo)、TAKURO(Gu)

【GLAY インタビュー】
揺るがないリアルというものが、
今回のアルバムには必要な要素だった

2年振りの新作『FREEDOM ONLY』が10月6日の発売に向けてスタンバイ! 通算16枚目を数えるオリジナルアルバムであるが、その制作はコロナ禍で始まったものだ。世界を覆うパンデミックの空気は制作にどう影響したのだろう? リーダー、TAKURO(Gu)に収録曲に込めた想いを語ってもらった。

この4人だったら正しく次の人たちに
J-ROCK、J-POPのバトンを
渡せるのかも

ニューアルバム『FREEDOM ONLY』収録曲の歌詞には《疫病(やまい)を運ぶ人間(ひと)たち》(「BAD APPLE」)ともありますし、やはり新型コロナの話題は避けて通れないと思うんです。GLAYも多大な損害を被りましたし…

中止になった25周年のドームツアーのこと? まぁねぇ。…これは当時の話ね。コロナのニュースが増えてきた時、“5月には落ち着いているだろう”なんて呑気なことも言っていたじゃないですか。徐々に“それどころじゃないよね”感が世の中全体を支配していく中で、その辺ではGLAYはちゃんと空気を読むというか、今一番やんなきゃいけないことに対して迷いはなくて、“ドーム公演をやるのは今じゃないよね”と。俺たちは未来に対してとっても素直なところがあって、ドームツアーの中止に関しては、たぶんみんなが思ってるほどには深刻に受け止めたメンバーはいないんじゃないのかなというのが俺の印象ですかね。当時の心境は“まだよく新型コロナウィルスのことが分かっていないのに、あんなに人を集めちゃヤバイよね”“自分が好きなGLAYはそれをよしとしないだろう”と思った記憶があります。歴史を振り返ってみた時に人間の取るべき行動は過去からいっぱい学べるじゃないですか。人間はいつも最後の最後に間違えるけれども。

ニューアルバム収録曲の歌詞にもその言葉がありました。

そうだとしても、それが自分の愛したGLAYであったり、“もし自分が相手の立場だったら…”と考えた時に取る行動に関しては迷いもなければ、後悔もないですよね。“生きてりゃあ、またやれるでしょ”っていう。

そうですか。そのスタンスを“落ち着いている”と申し上げていいのかどうか分かりませんが、とにかく浮足立たなかったんですね。

気持ちとしては何層にも分かれていて…例えば、今、仕事の面でとってもつらい想いをしている人たちの気持ちは、100パーセントは無理かもしれないけれど、自分たちも同じような立場に置かれたのでちょっとは分かる。で、それとはまったく真逆で、ウイルスというものを紐解いていった時、コロナ禍はその進化の過程であることは間違いなくて、それは学術的な事実だったりする。“大好きな人が死んだらどうしよう?”というのもあるけれども、“街の居酒屋さんが大変だ”というところもある。さらに人間の死というものを超えた歴史的な事象でもあって、毎日毎日いろんなポジションになって考えを張り巡らせていくと、むしろ落ち着きますよね。物事の見方はひとつの面だけでないという。

右へ行ったり左へ行ったり、上へ行ったり下へ行ったりしながら、考えが安定へ向かっていく。もしかして、そのスタンスというか、物事の捉え方は今回のアルバムの楽曲制作にも重要なる影響を与えましたか?

そうですね。コロナ禍は地球規模の災害、地球の危機と言っていいと思うんですよ。何百万人も亡くなっているわけだから。そうなった時、やっぱりおぼろげながら自分の今までを思い返して…その上、時間なんかもあるわけだから、過去に自分が作ってきた楽曲群を聴き直し、未発表のものをもう一度掘り起こし、ざっくり簡単に言うと、走馬灯のページをめくるみたいな感じではありました。

コロナ禍で思うように動けない状況を前向きにとらえて、過去にも目を向けたわけですね。

昨年、“ステイホーム”という言葉が世の中に浸透しましたけど、実際にステイホーム中、今まで撮りっぱなしにしていたiPhoneの中の写真を一枚一枚プリントアウトして家族と見るとか、そういうことをしていたんですよ。みんなもそうだと思うけど、“サッシでも磨いてみようかな”みたいな(笑)。コロナ禍の前にはまったく目に留めなかったであろう、家の隅の傷や汚れをリペアする…みたいなね。

ごみの集積場が混雑したというニュースがありましたね、確か。

だから、自分に限らず、人々は改めて自分の周りを見つめ直したんじゃないかな。そんな中で、俺は過去の楽曲に対して、もう一回語りかけたというか、会話を始めて、“どうしてこの曲がリリースされなかったのか? クオリティーの問題なのか? 時期の問題なのか? それとも自分自身の問題なのか?”ってじっくり考える時間があったんですね。で、それと同時にコロナとはまったく関係のないところで、日本の音楽シーンだったり、世界の音楽の情勢だったりに想いを巡らせた時、俺ももう50歳で、あと何年GLAYをやれるか分からないけれども、この25年間で作ってきたGLAYの楽曲は、まごうことなくJ-ROCK、J-POPの片隅で生きてきたものだと。今、世界に通用する新しい音楽を日々、耳にしていますが、俺がこれから担うべきは、自分たちがやってきたJ-ROCK、J-POPをより進化させて、それを喜んでくれるかもしれない地球の裏側の人たちに届けられるまで頑張ることで、“ちょっとJ-ROCK、J-POPを背負ってみたい…もうそういう齢なのかもなぁ” と思ったんですよね。だから、分かる人が聴いたらクスっと笑っちゃうだろう、1980年代からの日本のロックのエッセンスがクイズみたいにあちこちに隠れていて…それは言葉にしろ、アレンジにせよ、音にせよ、そうで、そうしたアーカイブ的なアルバムを作りたいと思ったんです。それがGLAYの歴史でもあるしね。歌謡曲以降、日本のロックがようやく産業としてビジネスとして成り立って、そのおかげで自分たちが暮らしていた函館にまで届いたJ-ROCK、J-POPが大好きで生きてきた自分たちとしては、確実にバトンを渡されて手に持っている感触もあるから、それをやってみたいと。

客観的にGLAYを見つめることによって、J-ROCK、J-POPを背負っていく決意に辿り着いたということでしょうか?

“この4人だったら正しく次の人たちにJ-ROCK、J-POPのバトンを渡せるのかも”という。もちろん、どこまで走ったって手渡せるランナーなんか未だに見えませんが、それでも仮にバンドを辞めたり、自分が疲れて動けなくなったりした時に、その姿は誰かしらの参考になったり、教科書的な学びが少しでもあったりするバンドでいることがある種GLAYの責務かも…と薄っすら思ってますね。
L→R HISASHI(Gu)、JIRO(Ba)、TERU(Vo)、TAKURO(Gu)
TERU(Vo)
TAKURO(Gu)
HISASHI(Gu)
JIRO(Ba)
アルバム『FREEDOM ONLY』

OKMusic編集部

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