モーツァルト/エリーザ役の明日海りお(ヘアメーク:山下景子(コール) /スタイリング:大沼こずえ(eleven.))

モーツァルト/エリーザ役の明日海りお(ヘアメーク:山下景子(コール) /スタイリング:大沼こずえ(eleven.))

【インタビュー】ミュージカル「マド
モアゼル・モーツァルト」明日海りお
「絞りたての感情をそのままお届けし
たい」

 「モーツァルトが実は女だった」という福山庸治の同名コミックスを原作とした、日本オリジナルミュージカル「マドモアゼル・モーツァルト」が10月10日から開幕する。1991年に初演された本作は、劇中でモーツァルトの楽曲が使用されているのはもとより、小室哲哉が音楽を担当していることでも話題を呼んだ。今回の公演では、音楽の才能に恵まれたことから男として育てられ、自分を偽って結婚した妻との関係や本来の自分の姿に悩むモーツァルトを、明日海りおが演じる。明日海に本作での役作りについてや、ヒロイン役の華優希との久しぶりの共演への思いを聞いた。
-本作への出演が決まったときの心境を教えてください。
 宝塚歌劇団を卒業後に出演したミュージカルゴシック「ポーの一族」は、宝塚時代にも演じたことがある作品で、かつ昔からお世話になっている小池修一郎先生の演出の作品でしたので、今回の作品はこれまでとは違う新しい挑戦になるなと思いました。すごく楽しみです。
-「女性でありながら男性として育てられたモーツァルト」という複雑な役柄ですが、演じるに当たってどのようなところを意識したいと考えていますか。
 宝塚では男役として年を重ねていくと、どっしりとした役を演じることが多いので、私も退団前はそういう役柄が多かったように思いますが、今回演じるマドモアゼル・モーツァルトはとてもパワフルな役なので、私も舞台に向かう“ギア”を全開にしていきたいと思います。モーツァルトは、音楽家として生きるために、女であることを隠して生きてきました。そして、女であることを隠してコンスタンツェと結婚します。そんなとき、サリエリという1人の男性と出会って、初めて女性として扱われ、恋心を知ります。きっと、モーツァルトは初めての感情に驚いたと思います。設定は複雑ですし、劇中ではモーツァルトのさまざまな葛藤や、普通の女の子では経験しないような感情が入り乱れた様子が描かれていますが、そこはうそなく演じたいです。自分が戸惑いを感じるなら戸惑ったまま、整理がつかないならそのままの感情を出したいです。絞りたての感情をそのままお届けしたいと思います。
-宝塚での男役の経験が今回の役柄に生きてくるのでは?
 もちろん、生きてくると思います。モーツァルトは幼い頃から男として生きていて、男でいることがなじんでいるのではないかと思うので、そういう意味でも、私が長年、舞台で男役をしてきたことは生かせると思います。それから、モーツァルトがエリーザとしてドレスを着て出かけようとしたら、コンスタンツェに「その歩き方はやめて」と指摘されるというシーンがあるのですが、その女の子としての振る舞いに慣れていないところや、ドレスを着ることに不安とうれしさが入り混じるような気持ちはすごく理解できます。きっと男役をしていた私だからこそ、感覚が近いところがあるのかなと思います。ただ、今回の役は、男役をやることの延長ではないので、そこはしっかりと意識して、今、ここに生きるモーツァルトを、エリーザを演じて、お客さまに感じていただきたいといます。
-モーツァルトの妻であるコンスタンツェ役を、宝塚時代にコンビを組んでいた華さんが演じることも話題になっています。今回の共演についてどんな思いがありますか。
 まさかこんなにも早く共演できるなんてとびっくりしましたが、とてもうれしく思っています。ただ、短い間でしたが、かつて男役と娘役という間柄でコンビを組んでいたので、それが華ちゃんにとって足かせにならなければいいなとは思います。どうしても、宝塚の娘役さんは男役をすごく立ててくれるところがありますし、男役もどこかそれを普通に思ってしまい、そして娘役さんに対して「かわいい、かわいい」という意識が湧いてしまうんです。華ちゃんには、今までの関係性に縛られずに、伸び伸びと演じて、可能性を広げてもらいたいです。とはいえ、2人でこれまで一緒にお芝居をしてきたということには自信を持って、今回のモーツァルトとコンスタンツェの絆を表現できたらと思います。
-宝塚退団後は、NHK連続テレビ小説「おちょやん」やドラマ「コントが始まる」など映像作品でも活躍していますが、映像作品で得たことをどのように舞台に生かしていきたいですか。
 それは私もミュージカル・ゴシック「ポーの一族」に出演させていただいたときからすごく意識していました。ミュージカルなので、もちろん歌も大事ではあるのですが、せりふのやりとりの中に映像現場で学んだ真実味を持たせられたらと思います。もちろんこれまでも、真実を作り上げてきたつもりですが、映像ではよりナチュラルに、よりリアルにということが大事なのだと感じました。ですので、そこはうまく舞台にも取り入れていきたいです。ただ、映像では、舞台のように幕が上がるというところからは始められません。お客さまと一緒に幕が開いて、オープニングが始まって…というあの空気はやはり舞台にしかないものです。舞台には、その日、その回でしか生まれないものが絶対にあるので、私もそれを思い切り楽しみながら演じたいと思います。
-「音楽の天才」と呼ばれるモーツァルトにちなんで、明日海さんにとっての音楽とは?
 感動をくれるものです。メロディーを聞くだけで切なくなったり、楽しくアクティブな気持ちになったり…心が大きく動かされます。お芝居においては、音楽がきっかけでその役をより深く知ることもできたりもするので、私にとっては演じる上でも大切なものです。ですが、私は、すごく影響を受けやすいので、普段は聞かないようにしているときもあるんです(笑)。
-最後に、改めて公演を楽しみにしている人たちにメッセージを。
 初めての挑戦が盛りだくさんの作品ですが、共演者の皆さまと、そして演出の先生と一丸となって見応えのある作品にできたらと思っております。意気込みはばっちりですので、無事に幕が開けられるように努力したいと思います。
(取材・文・写真/嶋田真己)
 ミュージカル「マドモアゼル・モーツァルト」は、10月10日~31日に、都内・東京建物Brilliaホールで上演。
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