ふぉ〜ゆ〜福田悠太・越岡裕貴、室龍
太、高田翔が東野圭吾の名作に新たな
息吹を吹き込む 朗読劇『手紙』イン
タビュー

東野圭吾の小説『手紙』。ある日突然兄が強盗殺人犯になってしまった弟の人生や、彼を取り巻く世間を真正面から描いた名作だ。犯罪加害者の家族にスポットライトを当て、偏見や差別、立ちはだかる困難、支えてくれる人々との絆や家族の情をリアルに描写し、胸に迫る物語を見せている。
これまで映画やドラマ、ミュージカルといったメディアミックスがなされてきた本作だが、今回は朗読劇という新たなスタイルで上演される。重厚な作品に挑むふぉ〜ゆ〜の福田悠太・越岡裕貴と室龍太、高田翔の四人に話をうかがった。
手紙の良さというものを、僕らが演じることでお客さんに改めて伝えられたら(越岡)
ーーまずは出演が決まった時の気持ちを教えてください。
高田:すごく嬉しかったですが、すごく有名な作品なので緊張感もありました。無事に舞台として成功させたいという気持ちもありますし、とにかく意気込みがすごいですね。朗読劇はこれまで何回かやらせてもらったんですけど、最近はなくて。やれたらなと思っていたらこのタイミングでお話をいただいて、しかも『手紙』という大きな作品。本当にラッキーだと思いました。
福田:僕は朗読劇は初めて。いつか挑戦してみたいなと思ってたので嬉しかったです。それが『手紙』という好きな作品だったのも嬉しいし。新しい自慢ができたなって。
越岡:できちゃったんだ?
福田:うん。
越岡:僕はですね、東野圭吾さんの作品を漁って読んでいる時期があったんですけど、その時に『手紙』も読んで、東野さんには珍しいヒューマンドラマ系だと印象に残っていました。それを朗読劇としてやれるのは楽しみだなという思いが一番にありました。今の時代と逆行していると思うんです、手紙って。手紙の文化がなくなってきた中で、改めて手紙の良さというものを、僕らが演じることでお客さんに伝えることができたらなっていう思いがあります。
室:東野圭吾さんの作品を俳優として演じられるのはすごくありがたいと思いましたね。
この行動が周りにもこういう影響を及ぼすとか、色々と考えさせられる作品(室)
ーー『手紙』という作品の印象を教えていただけますか?
福田:心に刺さるというか、読後感が言葉で言い表せないような悲しい気持ちだったり、でもなぜか清々しい気持ちにもなるような。
越岡:それすごく分かる!
福田:不思議な気持ちにさせる小説だなという印象を持ってます。
越岡:確かに、めちゃくちゃ重苦しいんですけど、最後読み終わった時のスカッと感みたいなのはなぜかあるって印象ですね。
福田:うん、スカッと感って言葉のチョイスは違うかもしれないけど、ドロドロしていたものが削ぎ落とされていく、洗練されていくような。
越岡:自分に置き換えてるのかもしれないです。ファンタジーじゃなくて、身近にもありえると言えば、ありえる話だから。何かしらを投影しちゃう部分はありますよね。
高田:生きてて、ことあるごとに「強盗殺人者の弟」っていうのが付き纏ってくる人生って、どういうものなのかなって。想像したら本当に……大変って言い方があってるか分からないですけど、どういう人生を生きていけばいいのかなって自分に置き換えて小説を読み始めてます。映画の方は見たことあるんですけど、痛いですよね。
室:メッセージ性のある作品だなと僕は思いました。これをしたらこうなって周りにもこういう影響を及ぼすとか、考えさせられる作品だし。ありえそうだけど、普通はないことでしょうし。でもそれをリアルに感じるのが不思議ですよね。
想像力が面白い方向に働いていくと思うので、それを楽しみながら演じたい(福田)
ーー演じる役柄についてと、どう演じていきたいかを教えてください。
越岡:僕と福田演じるお兄ちゃん役は多分いろんな役を演じさせていただくことになるので……。
福田:っていう噂だよね。
越岡:だから、声でお芝居するってことですもんね。朗読劇の経験が二人ともあまりないので、そことの葛藤になりそうだけどそれがすごく楽しみ。いろんな役柄を、声色を変えて演じる楽しみを見出したいです。
福田:武島剛志というお兄ちゃんを軸にいろんな役をやっていくことになると思うんですけど、お兄さんの方は最初に捕まってしまい、そのあとずっと檻の中から手紙を出していて、見えない状態なんです。小説の中でも、どういう生活をしていてどんな風貌になってるのか分からないまま話が進んでいく。朗読劇で、役者としては見えてるけど手紙を読んでる状態だから、想像力が面白い方向に働いていくんだろうなっていうのがあります。それを自分で楽しみながら演じるというか、朗読したいと思います。
高田:作品の中で月日が結構流れるんですが、その変化を声だけで表現するのはとても難しいことだと思うんです。声で説得力を出さなくてはいけないし、それをどう演じられるかが楽しみです。いろんな挑戦が今回あると思うので、稽古期間は短いけど自分の中でちゃんと準備できたらと思います。
ーー(作中で弟は弟・武島直貴の)年齢にも幅があるんですもんね。
高田:そうですね。最初は高校3年生です。朗読でどう年齢を出せるかっていうのは面白いし、鍵になってくるのかなって気がします。
室:何をするにしても犯罪者の兄貴の存在が出てくるんですよ。僕にはそういう経験もないですし、難しい繊細なところを演じきれるかなと不安もあります。“これ”っていう役作りはせずに臨もうかと思っています。稽古の中でできるものもあると思うので。ある程度ベースはしっかり作っておいて、あとは(演出の)横内さんとも相談しつつ、稽古で積み上げていこうかなと。
四人でディスカッションして​、いい作品にしなきゃいけないなと思う(福田)
ーーそれぞれ、自分の兄・弟役に対する印象と、自分たちのペアの強みを教えてください。
越岡:(福田と顔を見合わせ)どっちペアから先陣切る? みたいなのやめて(笑)。(福田・越岡でジャンケンし)じゃあ越岡・室ペアからいきます! 室とは3ヶ月前ぐらいにやった『ッぱち!』で関西弁でのお芝居をずっと一緒にやってたので。その時に結構初めましての状況だったんですけど、稽古を踏んで本番をやっていく中で先輩後輩って壁がどんどんなくなっていって。室も色々伝えてくれるし、僕も友達感覚で喋れるくらいの仲なんじゃないかって。こっち(室)がどう思ってるか分かんないですけど、僕は勝手にそう思ってます。スタートラインが兄弟に近いと言えば近いと思うので、一緒に作るにあたってやりやすさはあります。
室:でも僕は、先輩後輩っていう線はちゃんとしてます。
越岡:おい、僕の話変わってくる(笑)。
福田・高田:(笑)。
室:フリじゃないですか(笑)。いや本当に、こっしゃんさんが言う通り、兄弟みたいな。長い間一緒にいたっていうか、濃い日程だったので。やりやすいって言ったらおかしいですけど、お互いなんでも言い合える間柄ではあると思うので、特に何の心配もないです。先輩の胸を借りて……。
越岡:いや、朗読劇に関してはこっち(室)が先輩ですから。朗読先輩。そこは僕が胸を……。
室:朗読先輩ってやめてもらっていいですか。言い方が良くない(笑)。
越岡:お互い関西出身なこともあって、波長があったりするんですよ。なので、楽しみですし、話し合ってやれたらなと思っています。
高田:えーと、そうですね。
室:そっちから喋るんですか(笑)?
越岡:(福田が)喋れってね(笑)。
高田:今のアイコンタクトはそういうことだろうなって(笑)。最近『SHOW BOY』という舞台で福田くんと一緒にやることが多かったので、だんだん分かってきました。そういうのが朗読劇でも出せたらいいなと思います。あと、僕は兄弟で一番上なんですけど、個人的にはお兄ちゃんが欲しかったので。本当のお兄ちゃんのようにやらせていただけたらなと思います。
福田:(高田とは)『SHOW BOY』で、兄弟役じゃないんですけど、心の距離は近い役でした。なので兄弟役にも抵抗感や「大丈夫かな」って心配は全くない。関係をちゃんと築き上げなきゃなっていうのもなく、自然にやれてる感じですね。一応、後輩感を出してきますけど、実際はそうじゃないんだろうなってのもありますし。
高田:いやいやちょっと待って(笑)。
越岡:一応出しとこうってする振る舞いが上手い(笑)。
高田:違いますって(笑)!
室:世渡り上手だなぁ。
福田:お前もな。
室:ええ、僕もですか!?
越岡:お前らだぞ(笑)!
福田:事務所的には福田・越岡が先輩ではあるんですけど、朗読劇っていうものに関しては僕らは経験がなくて(室・高田の)二人は経験がある。分からないことを聞けるような関係値はもうあるので、聞いて、色々ディスカッションして、いい作品になったらいいなというか。しなきゃいけないなっていう感じがひしひしと。
越岡:そうね。ここ(チラシのタイトル部分)でそう思うもん。
福田:元々作品として知れ渡っているものを新たな形で表現するっていうのは結構ハードルが高いと思うんですけど、このメンバーだったら。お互いのチームを見て、四人でディスカッションして、横内さんとも一緒に話しながら面白いものができたらと思います。
越岡:強みは? そちらのペアの強み。
福田:そうですね、両方「田」がつくので。
高田:「田」組でやらせてもらってます。
福田:そういう意味では、兄弟って苗字が一緒じゃないですか。
室:確かにそうですね。
福田:苗字が似てるっていうのは強みですね。
高田:強みですよね。
室:ほんとだ、そっちのチームどっちも「田」なんですね。
高田:そうなんですよ。
室:じゃあ僕「室岡」にしたほうがいいですか?
越岡:なんで? 無理して足さなくていいのに(笑)。こっちのチームの強みは……ご飯には困らない。
室:そこ!?
越岡:僕が全部払うので。
室:それはそうですね(笑)。
その人のことを考える時間も含めて、手紙っていいなと思います(高田)
ーー作品タイトルにちなんで、「手紙」にまつわる思い出やエピソードを教えてください。
越岡:手紙だとあれしか出てこない。
福田:ふぉ〜ゆ〜のメンバーでお互いに手紙を書いて泣くっていう。
越岡:うん、それが最初に出てきちゃう、手紙って聞くと。これなぜか知らないけど二回ほどやってるんです。滝沢(秀明)くんの発案で、お互いに思ってることや感謝をおふざけなしで、ガチで書いてきてって言われて。タッキー&翼のコンサートで、ホテルの部屋に集まって「松崎(ふぉ〜ゆ〜の松崎祐介)、書いてきた手紙読め」って言われてマツが読んだ内容が良すぎて全員で号泣するっていう思い出が。
福田:あるね。ふぉ〜ゆ〜とタッキー&翼の六人で、地方のホテルで集まって、酒飲んで号泣するっていう(笑)。
越岡:そうそう、内容はふぉ〜ゆ〜への思いだったり、こんな自分だけど……みたいな。
福田:みんなそれぞれ書いてきたんですけど、その時はマツだけ読んでみろって。
越岡:試しに読もうって。軽い気持ちだったんだよね、最初は。
福田:「どんな感じなのか読んでみようぜ!」って。滝沢くんも翼くんも軽い気持ちで「読めよ! 面白い!」って。
越岡:最後には泣きながら「いいな」ってね。(タッキー&翼の二人が)「お前らいいなぁ!」って(笑)。
福田:それが第一弾で。次はつい最近、LINELIVEをやらせていただいてる中で、僕らふぉ〜ゆ〜の10周年を記念して手紙をもう一回メンバーに書いてみようということで書いたんです。二回目だからまあ泣かねえだろうなと思ったら、生配信でみんな号泣(笑)。
室・高田:あはは(笑)。
越岡:もうね、ダメなんすわ(笑)。手紙ってなんだろうね、なんか伝わるものが大きく感じる。頭にあることを書いて紙で伝えるじゃないですか。重みが強い気がする。なんでだろう。言うのもそうなんですけど、手紙の方が重みを感じてしまうことはありますね。
高田:僕は、舞台の千秋楽に、お世話になった方に手紙を書くっていうのを一時期やってました。ありがとうございましたって。
越岡:携帯持ってなかったの?
高田:携帯は持ってます。なんか書きたかったんです。
室:違いますよね! 持っててもそういう……(福田に制止され)僕、喋り止められたらいいとこないんですけど(笑)!
高田:手紙で書いた方が気持ちって伝わるかなって。メールとかだと寂しい部分もあるのかなと。その人のことを考える時間もすごくあるし、手書きがすごくいいなと思って書いたことがあって。すごく喜んでもらえました。でもジャニーズのお世話になった方には書いたことないです。違うんですよ、最近ジャニーズの方ともお仕事させていただくことが多くなって……。
越岡:(自分も)ジャニーズなんだよ(笑)?
高田:手紙書きたい気持ちはあるんですけど、この間の『SHOW BOY』は書けなかったですね、すみません。
越岡:全然いいよ(笑)!
高田:連絡はさせていただいたんです。ジャニーズの人でも書きたいなと思うんですけど、今ファンレターとかも受け取りダメなのに書いちゃって大丈夫なのかなって気は遣ってます。でも今後書きたいなと思います。字を書くの好きなんですよ。意外と。
福田:こっしーも好きだよね。
越岡:結構好き。
高田:綺麗ですよね、字。何かで見たことあって、綺麗な字を書くなあと思って。
越岡:お互いに書こうね、これ終わったら。
高田:いいっすね!
福田:それでは最後に室ちゃんいってみましょう!
室:そんな振り方あります(笑)? 僕、川中美幸さんと舞台をご一緒した時に、初日に手紙をいただいたんです。直接お礼を言ったけど、僕も手紙で返したいなと思って書いた覚えがあります。今って携帯でなんでも済ましちゃってて、年賀状とかも携帯でできるじゃないですか。だから手紙の書き方を調べながら書きました。失礼がないように。苦労したなっていう思い出があります。でも、いいですよね手紙って。
ーー皆さんは手紙をもらう機会の方が多いですよね。
越岡:ファンの人とかすごいよね、毎回思うけど。
室:「新幹線の中で書いてます」って手紙があって、字ガッタガタなんです。でもそれが愛おしく思うんですよ。すごいですよね、手紙の力って。
越岡:筆圧とかからもその感じ伝わりますもんね。
高田:どういう状況で書いてるかすごいイメージできますよね。
福田:その分僕らは舞台やステージに立って、パフォーマンスをするっていう。
越岡:それがお返事だよね。
息のあったやりとりから信頼関係や仲の良さが伝わってくる四人。和気藹々とした様子で話しつつ、作品に対して真摯に向き合う姿勢に、不朽の名作をどう見せてくれるのか期待が高まった。本作は9月16日(木)〜20日(月・祝)まで、紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYAで上演される。
取材・文=吉田 沙奈

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