MIYAVI

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【MIYAVI インタビュー】
未来を指し示すことに
自分たちの役割がある

若い子たちが堂々と意見を言える
社会にしていかないといけない

前作同様にカバー曲が2曲収録されています。ここまで“今作はJ-POPを意識した”と話していただきましたが、カバーはNirvanaの「Smells Like Teen Spirit」とP.O.D.の「Youth of the Nation」と洋楽なんですね。前作は矢沢永吉さんの「止まらないHa~Ha」と沢田研二さんの「TOKIO」という邦楽、今作は洋楽というような分け方だった?

当初は2020年にどっちのアルバムも出すプランで、どちらにも邦楽と洋楽を混ぜようかと思っていたんですけど、いろいろあって結果的に前作に邦楽の2曲を入れることになったので、こちらに洋楽2曲とも入ったという感じです。

なるほど。まず、グランジを代表するナンバーでもある「Smells Like Teen Spirit」からうかがいたいと思いますが、このカバーは新鮮ですね。原曲のイントロでのギターのストロークとサビに重なるノイジーなギターが印象的ではありますが、そこをほぼ排除して、歌メロだけを抽出している感じだったので、面白く聴かせていただきました。

完全に新しい解釈としてカバーさせていただきました。普通にコピーしてなぞるだけだったらわざわざ作品として発表する意味はないし、自分たちなりに解釈して、自分たちの音でリメイクするということに驚きや発見、面白味があると思っています。カート・コバーンも面白がってくれるといいなと思います。すでに原曲がギターミュージックだから、そこをどう同じギターミュージックとしてアップデートするかという部分は大変ではありましたけど。

オリジナルと異なるサウンドとはいえ、聴いた時に湧き上がってくる高揚感みたいなものは損なわれていなくて、そこも素晴らしいと思います。グイグイ迫りますよね。

これはライヴでも盛り上がると思います。実際、ビート自体もオーディエンスとの一体感をイメージしながら作ったので。

もうひとつのカバー曲「Youth of the Nation」。オリジナルはメタル寄りで、ラップも多いですが、これもまたその辺は踏襲されず、やはりメロディーのみを抽出した印象ではあります。

そうですね。これはメロディーよりもメッセージ性。《Youth of the Nation》ここから先は若者たちが作っていく時代。日本でもSEALDsという若い世代の子たちが活発に啓蒙活動していたり、今現在、世界でもスウェーデンのグレタ・トゥーンベリさんとか、たくさんの若い活動家が目立ってきている中で、僕たちもそこに対して共鳴して歌えることもたくさんあります。若い子たちが世代を超えて堂々と意見を言えるような社会に僕たちがしていかないといけない、そう強く感じています。

その「Youth of the Nation」の中でアメリカ国歌の『星条旗よ永遠なれ』をギターで弾かれていますが、これどんなふうに解釈したらいいでしょうか?

アレンジした当初のバージョンにはないんですけど、今回ジェフのアイディアで入れました。2019年にドジャー・スタジアムで演奏させてもらった時の映像をもとに“ここにアメリカ国歌を入れたらどうだろう?”と。アメリカのロックバンドのカバー曲で、ちょうどアメリカ国内でも学生運動が盛んに行なわれていたので、アメリカ国歌をここに入れるというのは、その時に起こったムーブメント…今、黒人への人種差別も含めて、実際にコロナで浮き彫りになったアメリカの問題がたくさんあって…

アジア人に対する差別もありましたね。

そうですね。僕はアメリカという国が好きだし、彼らの持つ多様性というものは素晴らしいと思う。それと同時に解決しなければいけない問題もたくさんあって…それはもちろん日本も同様なんですけど、このアメリカ国歌はアメリカという国が抱えるそういった部分に向けたメッセージでもあります。実際、今、アメリカの在り方が問われていると思うんですよ。資本主義の在り方というか。中国やその他の国が台頭してきている中で、アメリカ自身がどうあるべきか、アメリカ国内でも意見が割れています。そもそも今年1月の議会襲撃なんてあり得ない話ですから。あれは今のアメリカが抱えている問題=分断化された自由の在り方を露呈した出来事だと思います。

次に歌詞についてお伺いします。《くだらない 自意識(プライド)は捨てて/無重力の 向こう側へ》(「New Gravity」)や《これが 君の言う「未来」ならば/僕は 僕の「夢」を叫ぶ》(「Hush Hush (feat. Kang Daniel)」)などの歌詞は、冒頭で“未来を指し示すことに自分たちの役割がある”とおっしゃられたことが集約されているように思います。

ルールや決まり事ってもちろん大事なんですけど、いつの間にかそれにとらわれてしまうことがほとんどじゃないですか。“こうじゃなきゃいけないから、こうなんだ”っていう。別に全然そうじゃなくていいのに(笑)特に日本はそういうことが多いと思うんです。自戒の意味も込めて言いますけど、頭で考えすぎというか。プロセスばっかり大事して本末転倒になっているというか、結果が伴っていない。日本に限らずコロナ感染症の拡大を経て、いろいろなことが一度リセットしかけたわけじゃないですか。だったら、しっかりとリセットして、新しい価値観とシステムで再構築することが必要なんじゃないかと思います。

以前から考えてきたことが、図らずもこのコロナ禍で、より浮き出てきたという感じでしょうか? 先ほど、“「Are You With Me?」はアルバムに入れる予定ではなかった”とおっしゃっていましたが、ここの歌詞《見たことのない New world/この目で見てみよう》という辺りは、まさにおっしゃられたことと直結しています。つまり、アルバムを作るために導き出したテーマではなく、MIYAVIさん自身がずっと感じてきたことが集約されたとも言えるというか。

そうですね。それは自分がアーティストとして作品を作る上での一貫したメッセージでありスタンスでもあるんで、そこはどんな曲と混ざってもそんなに遠くはならないと思います。これだけ抜群に曲調は明るいですけど(笑)。

そこはよく分かりました。ところで、「Hush Hush (feat. Kang Daniel)」はダンサブルで本作の中ではタイプが異なるのですが、この楽曲が6曲目という中盤に置かれているのもいいですよね。アルバム全体に抑揚が効いていると思います。

こういった毛並みの違うバリエーションの楽曲も含めてMIYAVIサウンドとして成立するようになってきたと感じています。Kang Daniel(カン・ダニエル)くんも素晴らしい歌唱で参加してくれました。少し日本語がスパルタでしたけど(笑)。

コロナ禍である意味でイレギュラーな作品作りになったことが関係しているかどうか分かりませんが、出来上がったアルバムは実にバラエティー豊だなと。

そうなんですよね。今回、PERIMETRONチームがアートワークを担当してくれましたが、コンセプトは“架空を吐き出す”でした。ジャケット(初回限定盤B)では、MIYAVIの口から架空が出てるんですけど、その架空にもいろんなエレメンツがあって、ある種のおもちゃ箱というか、いろんなものが入っている。ダリの作品じゃないですけど、何でもありの夢の中みたいな。だから、すごくポップなんですけど、すごくエッジーに仕上がりました。

そこで言うと、「Dance With Me」をラストにすることも十分に可能だと思うんですけど、「Super Hero」で締め括ることで、作品全体がより明るくなるというか、前向きになるので、そこも本作の面白さだと思います。

そうですね。「Super Hero」は昔の楽曲なので、ずっと応援してくれてきたファンのみんなに対して何かしらサプライズとして届けたかったというか。今のMIYAVI サウンドでまた新しく、さらに壮大に生まれ変わったので楽しみにしていて欲しいです。

取材:帆苅智之

アルバム『Imaginary』2021年9月15日発売 Virgin Music
    • 【初回限定盤A】(CD+DVD)
    • TYCT-69206
    • ¥4,400(税込)
    • 【初回限定盤B】(CD+DVD)
    • TYCT-69207
    • ¥4,400(税込)
    • 【通常盤】(CD)
    • TYCT-60176
    • ¥3,080(税込)
    • 【UNIVERSAL MUSIC STORE限定セット】(通常盤+Tシャツ)
    • ¥5,500(税込)
MIYAVI プロフィール

ミヤヴィ:1981年生まれ、大阪府出身のソロアーティスト/ギタリスト。エレクトリックギターをピックを使わずに全て指で弾くという、独自の“スラップ奏法”でギタリストとして世界中から注目を集め、これまでに北米・南米・ヨーロッパ・アジア・オーストラリアなど約30カ国350公演以上のライヴを行なっている。13年6月には自身のアーティスト名を冠した世界デビューアルバム『MIYAVI』をリリースし、アジア、ヨーロッパ、北米など世界各国でリリースされワールドツアーと共に話題を呼んだ。また、アンジェリーナ・ジョリー監督映画『UNBROKEN』も出演し、俳優としてハリウッドデビューも果たしている。17年にはUNHCR大使に就任。常に世界に向けて挑戦を続ける“サムライ・ギタリスト”であり、ワールドワイドに活躍する今後最も期待のおける日本人アーティストのひとり。MIYAVI オフィシャルHP

「New Gravity」MV
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OKMusic編集部

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