SiM『RUSH BALL 2021』ライブレポー
ト ーー轟音を轟かせ暗闇を切り裂き
未来へとバトンを繋ぐ

『RUSH BALL 2021』SiM
すっかりと日が暮れたステージにサイレンが鳴り響き、『RUSH BALL』で数々の伝説を残してきたSiMが登場。1曲目「Get Up, Get Up」から、SHOW-HATE(Gt)、SIN(Ba)、GODRi(Dr)が暗闇を切り裂く様に鋭く、地響きの様な轟音を響かせMAH(Vo)がシャウト。
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観客はディスタンスを保ちながらも、最大限のジャンプやヘドバン、拳を突き上げて応える大興奮のロケットスタートに。そのまま中指を突き立て、「KiLLiNG ME」へ。観客は中指を突き返す勢いで頭を振り、今度は妖艶に歌われた「SUCCUBUS」へと続く。
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MCで、「この国ではムカつくことがあったとしても、それをグッと飲み込んで耐えることが大人な対応、美徳とされている国でございます」と切り出したMAH。続けて、「そうやってストレスを溜め込んでさ。時には自分を傷つけちゃったりとか。SNSで他人をコソコソと傷つけたりとか。そういうことするぐらいだったら、みんなライブに来いよ、もっと! 爆音にまみれて、頭振って、飛び跳ねて、汗かいて、こんな最高なストレス発散方法はほかにありませんよ!」と訴えかける。これには観客も、「その通りだ! よくぞ言ってくれた!」と叫びたいところを拳や中指を突き立てて賛同。レゲエパンクバンドとしての真髄を見せるかの様に、ミドルなリズムが心地よい楽曲を連発して、多彩な楽曲性を存分に見せつけ、踊らせた。
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今度のMCでは、SiMが出演予定だった福岡県のフェス『TRIANGLE'21』と、縁のある山梨県の『SWEET LOVE SHOWER 2021』が中止になったことについて触れやるせない表情を滲ませる。「そんな状況下でも開催を決定してくれた、『RUSH BALL』、運営のGREENS、そして大阪府、泉大津市。本当にありがとうございます!」と感謝を伝える。
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そして、「信じてくれたんだと思うんだよね。オレらとみんなのことを。期待を込めて今回はゴーサインを出してくれてると思ってるので……オレ、そういう期待には、絶対に答えたいんだよね。そして絶対に裏切りたくないわけよ!」と心の内を語る。
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「腹くくってオレらに遊べる場所を提供してくれたからには、オレらも腹くくって全力で応えたい。ガイドラインに従って、正々堂々とロックのライブはやれるところを見せてやろうぜ!」と、一緒に歌いたくなる曲「Blah Blah Blah」をあえて投下。それでも歌うのを我慢して、ガイドラインを守りながらも楽しめるロックファンのマナーを見せつけ、こんな状況下でもフェスが、ライブができるということを証明してくれた。
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ラストの「f.a.i.t.h」に至るまで、ひとりひとりが抱える混沌とした感情を受け止め、共に爆発させるライブは心がもみくちゃになる盛り上がりに。暗闇を切り裂くように登場したSiMは、最後にはいつの日かまた『RUSH BALL』を思いっきり楽しめるようにとバトンを繋ぐ様にして、未来への光を灯してくれた。
取材・文=大西健斗 撮影=田浦ボン
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