JUNNA 2年半ぶりの有観客ライブツア
ーで見せた 「ありのままの20才」の
音楽たち ツアーファイナルレポート

2021.8.19『JUNNA ROCK YOU TOUR 2021 ~20才の夏~』@Zepp Haneda(TOKYO)
『マクロスΔ』から誕生した戦術音楽ユニットワルキューレとしてデビューしたJUNNA、あれから5年、ソロデビューから見ても4年が経過したが、まだ彼女は20才だ。そのパワ―溢れるソウルフルな歌声は誰が聴いても圧倒されるものだが、今回7月27日から東名阪で行われた『JUNNA ROCK YOU TOUR 2021 ~20才の夏~』最終日に足を運んだ。有観客のワンマンツアーとしては約2年半ぶりとなるJUNNAはどんな音楽を奏でてくれるのだろうか。
会場となるZepp Haneda(TOKYO)がある天空橋駅を降りると風が強く吹いていた。晴天の空高く雲が舞い上がり、夏の暮れゆく空気とともに会場に付く前から少しエモーショナルになりつつ会場に入る。SEの中バンドメンバーが登場。客席が立ち上がり、発声の代わりに大きな拍手で迎える中、遂にJUNNAがステージに立つ。
「20才の夏にようこそ!」と、叫んだ後に歌い出したのは「FREEDOM~Never End~」だ。彼女が歌うとその場の空気が一瞬で変わる。エネルギーと質量を持った圧倒的なボイスが広い会場に一気に広がっていく。
きらめくレーザーの中で歌われた「Steppin' Out~extended version~」、大人っぽさをしっかりと含めた「La Vie en rose」と立て続けに繰り出されるロックナンバー、改めてその声の強さを全身でビリビリと感じる。本当に伸びる素晴らしいボイスだ。
JUNNAのライブを久しぶりに見て感じたのは、単純に歌唱のレベルが上っただけではなく、2年半で深く広がりを魅せた感性と共に、ありのままに歌うという魅力だ。
20才になり、確実に大人の扉を潜ろうとしているJUNNA。「ここまで走ってくることが出来て本当に嬉しく思っています!」と語るその声はまだ若干の幼さを残している。
「あばよイエスタデイ」「Sleepless」とダークな雰囲気の楽曲のセクションではぐっとその低音に心が掴まれる。TVアニメ『賭ケグルイ✕✕』OPテーマである「コノユビトマレ-20✕20 ver.-」を聴いても改めて思うが、JUNNA楽曲は本当に難易度が高い。歌いこなせるのが凄い!ということではなく、自分の表現のアウトプットの一部にしている彼女の歌の力の奥深さに驚いてしまう。
「みんなにもきっと大切な人がいると思うんですけど、そんな人を思い浮かべて聴いてほしいです」
そう言って披露されたのは「波打ち際」。寄せては返す波を表現したようなリズムが心地よい。照明も涼しげに青く会場の中の世界を染めあげていく。心地よい音楽に浸っていると異国感溢れるメロディが飛び込んでくる。TVアニメ『魔法使いの嫁』OPテーマとなっていた「Here」だ。
「ここからはゆったりとお届けします」JUNNA初の作詞作曲を担当した楽曲「いま」はそんな言葉から紡がれた。シンプルな言葉にいっぱいの思いを詰め込んだバラードは真っ直ぐに客席に届く。今回のツアーは昨年12月に発売された2ndアルバム『20✕20』から多く演奏されたが、改めて耳に残る名曲が揃っていると実感する。そしてアルバムとライブのJUNNAが格段に進化しているのも感じることが出来た。
客席も席数を半分に減らしての開催…とはいえ、2年半ぶりにJUNNAに会えたその思いは半端なものではない。二階の記者席から見てもJUNNAの一挙手一投、歌われる一音一音に対するリアクションが強い。待ちわびていた時間なのだ。ステージ上も客席もこの瞬間を思い切り楽しもうとしている。
JUNNA 撮影=塚越淳一
「Sky」から「火遊び」はメドレー形式で展開された。後半JUNNAがステージから去ったあともバンドメンバーが熱くインストで盛り上げる。壮大なメロディがどんどん広がっていく感覚は痛快でもある。演奏が終わったあとの万雷の拍手がその素晴らしさを物語っていた気がする。
そこで聴こえてきたのは「Believe In Myself」のイントロだ。衣装をチェンジしたJUNNAが暗闇を照らす光のように歌う。『20✕20』のジャケットを意識した黄色い衣装から黒い衣装に。前述のインストからどんどんと世界観を広げた曲から一転して、「Now or Never」ではビックバンド感で客席からのクラップを煽っていく。広いZepp Haneda(TOKYO)のステージに映える一曲だ。

ライブは後半戦に突入。「まだまだ行けますか!?」全力のシャウトから「We are」「世界を蹴飛ばせ!」と繋がっていく。アッパーなロックチューンで発声が出来ないなんて関係ない!というくらい会場の温度は上がっていく。ステージ上のボルテージも上がっていくが、今回はバンドメンバーもとても楽しそうにしていたのもかなり印象的な部分だった。客席とのエネルギーの交換がとても円滑に循環しているのを感じる。バンド紹介のソロパートも全員が笑顔だ。

凛とその手にフライングVを持ち、ステージの中央でかき鳴らしながら放たれたのは彼女のソロデビュー曲でもある「Vai! Ya! Vai!」だ。JUNNA楽曲の中でも屈指のエッジを持つこの曲から本編ラストとなる「我は小説より奇なり」へ。ステージ狭しと駆け回り、そのエネルギーを放出するJUNNA。後半演奏が止まり、アカペラになった時の叫ぶような声には息を呑んでしまう。
満面の笑みでステージを去ったJUNNAだが、アンコールを求める拍手は鳴り止まない。白いツアーTシャツに身を包み、TVアニメ『BEM』EDテーマである「イルイミ」を歌い出す。やはり説得力が有る。
アンコールでのMCではグッズ紹介を楽しそうにするJUNNAを見て、等身大の20才であり、大人のアーティストでもあるこの瞬間の彼女を見ることが出来るのは本当に幸運としか言えないのだということを実感する。無邪気に、少し照れるように笑いながら喋った次の瞬間は圧倒的なスケールの世界観をその歌で表現していく力を見せつけてくる。
「この時期、一人になることも凄く多かったと思います。みんなに一つでも誇れることがあって、私はここにいてもいいんだって思ってもらいたかった」そう言えるJUNNAはどこまでも真っ直ぐだ。だが、20才のJUNNAはこの瞬間にしか存在しないのだ。なら僕らに出来ることはその歌を全身で感じて、見逃さないように見続けるだけだ。
10月から放送が開始されるTVアニメ『海賊王女』のOPテーマ曲「海と真珠」もフルで初披露。梶浦節を感じる出だしから始まる壮大なこの曲は、梶浦サウンドとJUNNAの声の化学反応が楽しめる楽曲になっている。
このツアーのために制作した新曲「はじまりの唄」がラストの一曲。「歌詞を書くにあたって、2年半ぶりの有観客ライブ、みんなに伝えたいことを書こうと思ったんですけど、伝えたいことが多すぎて、7回くらい書き直しました」というJUNNA。
「みんなは私のことを褒めてくれるけど、素の私も見てもらいたいと思った、完璧でいい子の私じゃないと受け入れてもらえないんじゃないかと最初は思っていた」と当時の心境を隠さずに語りだす。
スタッフからありのままでいい、と言われて気付きがあったと言うが、背伸びしなければならなかった、でもそれは必要じゃないと知った今。20才のJUNNAは僕らが思っている以上に等身大なのかもしれない。
すべてを歌い終えたが、もう少しの邂逅を求める拍手は続く。ダブルアンコールとして登場したJUNNA。
「もし、みんなが聴きたいと思ってくれるなら、もう一曲だけ歌おうと思ってきました」誰もが求めているのに謙虚な言葉から思いを伝える。
「私にとってみんなは“友だち”みたいな存在だと思うんです。たまに背伸びをしてみんなを引っ張っていくこともあるけど、話しているときはみんなと同じ目線で立っていたい」そう伝えながら涙で声が震える。全部を込めて歌われた「ともだちと呼べる幸せ」にはその優しさも辛さも希望も全てが詰まっていた気がする。
10月にはJUNNAオフィシャルファンクラブpresentsのイベント、1月からは『JUNNA ROCK YOU TOUR 2022』の開催も発表したJUNNA。彼女に次会う時、どんな女性になっているのだろうか?圧倒的なその歌声を支える等身大の素直さを持つ彼女が、一つ大人になった21才として行うライブは、見ないわけには行かないと強く感じている。
レポート・文=加東岳史 撮影=塚越淳一

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