FM802『HIGH!HIGH!HIGH!』大阪城ホー
ルでDISH//、yama、XIIX、ヤバT、ク
リープ、ビーバーらが真夏の熱演

ROCK KIDS 802 -OCHIKEN Goes ON!!- SPECIAL LIVE HIGH!HIGH!HIGH! supported by ナカバヤシ 2021.8.3(TUE)大阪城ホール
『ROCK KIDS 802 -OCHIKEN Goes ON!!- SPECIAL LIVE HIGH!HIGH!HIGH! supported by ナカバヤシ』が、8月3日(火)に大阪・大阪城ホールで開催された。
『HIGH!HIGH!HIGH!』は、「関西No.1リクエストプログラム」とうたわれ、この春には『第58回ギャラクシー賞』「ラジオ部門・DJパーソナリティ賞」を受賞した、FM802DJ落合健太郎が担当する人気番組『ROCK KIDS 802-OCHIKEN Goes ON!!-』(毎週月曜~木曜21:00~23:48 OA)発のライブイベント。2年ぶりの開催にして、4年ぶり2度目の大阪城ホール公演となったこの日は、万全の感染予防対策が施された環境で、番組縁のアーティストが多数出演。約8時間にわたってイベントを盛り上げた。
まずは、「大阪城ホールへようこそ! むちゃくちゃ会いたかったー!!」と登場した、司会の落合健太郎が番組やイベントの歴史から諸注意、無事に当日を迎えられた感謝までを、番組同様親しみやすいトークで伝えていく。その流れで「皆さんと共に最高の一日に、忘れられない一日にしていきたいと思います。準備はできてますか!?」と投げ掛け、大きな歓声で迎えられたのはトップバッターのDISH//だ。イベントには初出演ながら1曲目の「未完成なドラマ」から余裕と貫禄すら感じるタイトな演奏で、俳優としても知られる北村匠海(Vo.Gt)が伸びやかな歌声を響かせる。続いても、Tシャツにデニムのラフなスタイルで「勝手にMY SOUL」を歌い上げるなど、天は二物どころか何物与えるのかというロックスターな佇まいで魅せていく。
DISH//
MCでは、「実は大阪城ホールに立つのは初めてで。このスケール感にビビっておりますが、出せるものを全部出して、皆さんが今日はホントに良い日だったなと思って帰れるよう、僕らがまず先陣切って良い音楽を届けたいと思います!」(北村、以下同)と意気込み、「NOT FLUNKY」「Seagull」「No.1」と、その宣言通り会場のボルテージを沸点にまで引き上げる疾走感、初の城ホールとは思えない堂々のステージングで大舞台を早くもロックオン!
DISH//
「やっぱり音楽は楽しいなって、DISH//を10年くらいやってきて、この場に来れて改めて思ってます。こういうフェスが行えて、東京を見れば(オリンピックで)世界と戦ってる日本の選手たちがいっぱいいて……それでも世の中はまだまだ暗いままで、ネガティブな空気が強いなって、ニュースを観て思います。でも、こうやってアーティストたちが繋げていく今日という時間を体感したみんなは、きっと明日から何かが違うんじゃないかなと、弱冠23歳のガキンチョですけど思ってます。最後に、僕らをここに連れてきてくれた曲をやりたいと思います。いろんなルールがあるけど、一つになってくれたら嬉しいです」
DISH//
そう言って披露した「猫」は、作詞作曲をあいみょんが手掛けた名曲であり代表曲。音楽と時代に真摯に向き合ったDISH//が、『HIGH!HIGH!HIGH!』の最高の幕開けを飾ってくれた。
白いパーカーのフードと仮面に覆われた顔からのぞく青い髪と口元がミステリアスなムードを醸し出すyamaは、SNS発のシンガーとして話題を集める注目株。一聴して惹きつけられる独特の倍音を含んだジェンダーレスな歌声で、「カーテンコール」「Downtown」「あるいは映画のような」と、初っぱなからハイクオリティでスリリングなポップソングを連発! 大阪最大のアリーナにもまるで物怖じすることのない超新星は、高い演奏力を誇るバンドセットを従えて、その後も「a.m.3:21」「麻痺」と華麗に畳み掛けていく。
yama
年齢、性別、国籍etc……全てが謎に包まれている=音楽だけで判断される状況は、余計なバイアスを除去できるのと同時に、その表現の質をよりシビアに求められる。自身に課したそんな高いハードルを難なく超えて見る者をうならせるyamaの楽曲群と歌唱力には、観客も思わず聴き惚れる。
yama
後半戦もメロウなミドルナンバー「クリーム」、昨年TikTokで多くのユーザーがカバー動画をアップし、yamaのキャリアに大いなるチャンスを呼び込んだアンセム「春を告げる」で、あっという間にエンディング。MCは「ありがとうございました」のひと言のみ。だが、そこに残したインパクトと余韻は、『HIGH!HIGH!HIGH!』の歴史に鮮烈な足跡を刻み付けたのは間違いない。
それとこれとはべつ
ここで、アリーナ後方に設置されたOCHIKEN’ S GARDENなるサブステージに立ったのは、菅原卓郎(Vo.Gt / 9mm Parabellum Bullet)、村山☆潤(Key)、東出真緒(Vl / BIGMAMA)によるスペシャルユニット、それとこれとはべつだ。フィッシュマンズの「いかれたBaby」、米津玄師の「感電」の極上カバーを、アコースティックギター、ピアノ、バイオリンというアンプラグドな編成で立て続けに奏でていく。
「僕たちは2回目のライブで、こんなところにまでお邪魔しちゃって。今日はみんなが普段やってる『ROCK KIDS 802』へのリクエストじゃなくて、『ROCK KIDS 802』から我々にリクエストがありまして。『ROCK KIDS 802』でかけているようなチャートの曲をやってほしいと言われたので、夏の曲が聴けたら良いんじゃないかと思って選曲してます。皆さん楽しんでください」(菅原)
それとこれとはべつ
イントロのバイオリンで場内がひときわ色めき立ったのは、フレデリックの「オドループ」のカバー! 三原健司(Vo.Gt)の新型コロナウイルス感染の陽性判定により惜しくも出演キャンセルとなったフレデリックはもちろん、大阪城ホールに集った人たちの想いをも救い上げるような粋なはからいだ。ラストはフジファブリックの「若者のすべて」。幻想的なピアノとコーラスが寄り添う歌声で、たった3人で、巨大な大阪城ホールを包み込むエモーションを呼び寄せた、それとこれとはべつだった。
落合健太郎
続いては、落合健太郎がマイクではなくターンテーブルで操るOCHIKEN’ S DJ TIMEへ。スクリーンに映し出されたライブ映像とド派手な照明を背に、「名悪役」「SENTIMENTAL SUMMER」「TOGENKYO」「リリリピート」「オンリーワンダー」「オドループ」「飄々とエモーション」「KITAKU BEATS」「終わらないMUSIC」と、フレデリック縛りのセレクトでとことん踊らせる! イベントの窮地をアイデアと熱意で乗り越え、いつ何時もリスナーを楽しませようという番組の姿勢がにじみ出た印象的なワンシーンとなった。
梅田サイファー
「大阪城ホールのみんな。最高のパーティーにする準備はできてますか!? 俺らは梅田の歩道橋で10年くらいラップしてきた仲間で、生まれも育ちも聴いてきた音楽も全く違うんですけど、各自のバースでクソヤバいラップをかますんで、手を挙げてもらえたらめちゃくちゃ嬉しいです! 今日は遊びに来るか悩んだ人もたくさんいると思うんですけど、来た以上はお互いMAX出し切って、最高の『HIGH!HIGH!HIGH!』やったって言えるようにしたい。会場のみんなはどうですか!? ラップは体を揺らして聴いてなんぼなんで、ロックと同じように、BPMの中でムーブしていきましょう。お互いに今日は初めましてやけど、昔から一緒に遊んでたみたいに最高の時間にしましょう!」(KZ、以下同)
梅田サイファー
そんな自己紹介を兼ねたMCで、ライブ前から完全にオーディエンスをとりこにしたのは梅田サイファーだ。流動的なメンバー構成も特徴的な彼らだが、『HIGH!HIGH!HIGH!』ではふぁんく、KennyDoes、KZ、KBD、テークエム、KOPERU、peko、SPI-Kの8名が、OCHIKEN’ S GARDENを所狭しと動き回り、矢継ぎ早にラップした「ビッグジャンボジェット」から大盛況! 「今日はオチケン(=落合健太郎)さんに誘ってもらって、こんなにデッカいステージにひょっこり出てきて(笑)。みんなにラップの面白さが少しでも伝われば良いなと思って遊びに来ました!」との言葉通り、大阪城ホールを瞬時に梅田の歩道橋に変えたサイファー(=輪になって即興でラップし合うこと)のコーナーでは、金メダル、スパイスカレー、大阪城ホール、ラジオ、夏休み、歩道橋、生放送、かくれんぼ、フラペチーノ……と、落合健太郎から次々と出されるお題を巧みに乗りこなしていく。「一番ノレる曲を持ってきたんで!」と場を一体化させた「梅田ナイトフィーバー’ 19」まで、強烈なエネルギーを絶えず発し続けた梅田サイファーだった。
XIIX(テントゥエンティ)は、UNISON SQUARE GARDENの斎藤宏介(Vo.Gt)と、ゆずや米津玄師、Superflyなどのレコーディングやアレンジ、ライブサポートとしても活躍する須藤優(Ba)によるバンドだ。「Stay Mellow」から艶やかな歌声でまくし立てる斎藤、楽曲を絶妙にグルーヴさせる須藤のベースがアダルトなロックサウンドを構築。「LIFE IS MUSIC!!!!!」でも、斎藤はトレードマークのストラトキャスターから繰り出す小気味良いカッティングで、ボーカリストのみならずギタリストとしての資質を遺憾なく発揮し、向かい合い楽しそうにプレイする2人。それぞれが活動の場を持ちつつもその道が重なりあった奇跡を味わえる贅沢な瞬間が続く。
XIIX
「XIIXです、大阪こんにちは! (照明で客席が照らされ)明るくなるとこんなに広かったんだね……。今日は長丁場ですのでどうか皆さん、ペース配分をしっかり守って、最後まで楽しんでいってもらえたらと思いますので。今日はよろしくお願いします!」(斎藤)
XIIX
「おもちゃの街」ではそのタイトルさながら幻想的でファニーなムードに優しくくるまれたかと思えば、メロウとスリルを行き交うような壮絶なセッションを経由し「アカシ」へ。ミュージシャンとしてのプレイアビリティを堪能できる見せ場とドラマチックなメロディがしっかり共存する楽曲の数々には惚れ惚れするばかりで、トドメの「ユースレス・シンフォニー」まで徹底的で圧倒的であり続けたXIIXのさすがのライブだった。
転換時のサウンドチェックから、セットリストにない楽曲や瑛人の「香水」を一節弾いてみせるなどサービス精神いっぱいのヤバイTシャツ屋さんは、「今日は声を出せへん分、手拍子、拍手、大きめでお願いします!」(こやまたくや/Vo.Gt、以下同)との一声からスタート。すでに準備万端のロックキッズたちは1曲目の「ハッピーウェディング前ソング」からしっかり拳を上げ、「メロコアバンドのアルバムの3曲目ぐらいによく収録されている感じの曲」では、見渡す限りがジャンプする絶景をいとも簡単に創出。「癒着☆NIGHT」「かわE」でもユーモアを交えつつ背中を押されるような充実感に身も心も満たされる。歴戦の現場で鍛え上げられたヤバTがくれる「楽しい」は、やはり格別だ。
ヤバイTシャツ屋さん
「ヤバイTシャツ屋さんを知ってる方も知らない方も、知ってるフリして楽しめますでしょうかー!」という身も蓋もないMCからは(笑)、新曲「NO MONEY DANCE」を。<税金ばり高い!!!!!!!!!!!(Yeah!!!!!)>という叫びとザクザクのギターサウンドを気持ち良く浴びつつ、「Tank-top of the world」でも立て続けにブチ上げるなど、やはりライブという場所でこそヤバTの真価が味わえると思い知らされる。
ヤバイTシャツ屋さん
「今日はいろいろとルールを守ってお集まりいただきありがとうございます! まだどうなるか分からへん状況で、苦しい想いをしてる人も多いと思うんです。このモヤモヤとか怒りを、どこにぶつけて良いか分からないじゃないですか。とりあえず、この失われた1~2年の分、絶対に長生きして取り返そう。そしてまたライブハウスで会いましょう。ラスト一曲、ライブハウスの歌を歌って帰りたいと思います!」
ヤバイTシャツ屋さん
アリーナとスタンドの総出で跳ねさせた「Give me the Tank-top」まで全7曲。ヤバTが三位一体となって駆け抜けた、濃密でエモーショナルな30分間だった。
金井政人(BIGMAMA)&斎藤宏介(XllX&UNISON SQUARE GARDEN)
そして、OCHIKEN’ S GARDENに再びスポットが当たると、BIGMAMAの金井政人(Vo.Gt)と、先ほどXIIXとして出演したUNISON SQUARE GARDENの斎藤宏介が、KinKi Kidsの「硝子の少年」をカバー。やたらとタメにタメまくるクセのある歌唱で楽しみ/楽しませる光景からは(笑)、リラックスした2人の盟友関係が伝わってくる。しなやかな二声が重なり合う幸福はそれだけにとどまらず、UNISON SQUARE GARDENの「ライドオンタイム」、BIGMAMAの「I Don’ t Need a Time Machine」で互いにコーラスし合うソウルフルな遊び心でも魅了する。そして、「ラスト一曲、心を込めて、拳に込めて」(金井、以下同)と歌い始めたのは、CHAGE and ASKAの「YAH YAH YAH」!? 2人の声質にピタリとハマった絶品カバーかと思いきや、「宏介……これ、「YAH YAH YAH」と違う。『HIGH!HIGH!HIGH!』や!」とサビのフレーズを変え(笑)、さらには<オチケン ギャラクシー賞おめでとう/『ROCK KIDS 802』 9周年おめでとう 10周年もよろしくね>と歌詞に織り交ぜ、OCHIKEN’ S GARDENの終幕に華を添えた。
ROCK KIDS 802 EXTRA CRAZY BAND
落合健太郎が、辻村勇太(Ba/BLUE ENCOUNT)、小野武正(Gt/KEYTALK)、阪井一生(Gt/flumpool)、トオミヨウ(Key)、そして、残念ながら出演辞退となった高橋武(Dr/フレデリック)の名前を順にコールし、サポートドラマーとして比田井修が参加。そんなこの日限りのROCK KIDS 802 EXTRA CRAZY BANDの演奏をバックに、ゲストボーカルの山村隆太(Vo/flumpool)が自身の持ち曲である「星に願いを」を歌う、『HIGH!HIGH!HIGH!』ならでは、FM802ならではのスペシャルなコラボレーションがいきなり目の前に!
ROCK KIDS 802 EXTRA CRAZY BAND
「めっちゃ盛り上がってますね。皆さん楽しんでくれてますか!? flumpoolは知ってます?(笑) 今日はおめでたい空気に包まれてすごく嬉しく思います。でも、社会を見てみれば、なかなかライブに来れない人もまだたくさんいて。だからこそ、今日皆さんと会えたことは当たり前じゃないなと思ってます。そんな想いも込めて聴いてください」(山村)
ROCK KIDS 802 EXTRA CRAZY BAND
地元大阪の空気感と感謝を感じさせるMCを経て、「君に届け」でもみずみずしい歌声を聴かせた山村からバトンを受けたのは、落合健太郎に「J-ROCKレジェンド」と紹介されたTERU(Vo/GLAY)だ。その名の通りJ-ROCK史に燦然と輝くバラード「HOWEVER」では、マイクに両手を添えるあの佇まいとあの歌声に、歓喜した人も多かったことだろう。
ROCK KIDS 802 EXTRA CRAZY BAND
「GLAYというバンドでボーカルをもう32年やってますTERUと申します。今日は少しでも前に進める、そんな元気とかやる気に変えられるような一日にしたくて、力の限り歌わせていただきます。こういうイベントに出ることはなかなかないんですけど、せっかくなんで、その発起人であるオチケンにもっともっと頑張ってほしいなということで!」と、落合健太郎を呼び出すTERU。前日のリハーサルで「明日歌ってね」と呼びかけたという無茶ぶり=サプライズで(笑)、TERU✕落合健太郎のまさかのツインボーカルによる「誘惑」が急遽実現! ROCK KIDS 802 EXTRA CRAZY BANDの面々はGLAYにドンピシャで影響を受けた世代とも言えるだけに、邦ロックシーンの時代を超えた豪華共演となった。
ROCK KIDS 802 EXTRA CRAZY BAND
そして、最後のゲストボーカルは、トータス松本(Vo.Gt/ウルフルズ)。早速の「ガッツだぜ!!」に場内は大興奮で、緑のスーツを身にまとったトータス松本がホームの大阪でパワフルにパフォーマンス!
「今日は呼んでくれてありがとう! ホンマにこの1年半ぐらいはね、みんなモヤっとしながら生活してると思うのよ。でもさ、音楽って最高やと思わへん!? どんなに元気でも、健康でも、歌がなかったら何にも楽しくない。みんなと一緒に歌って騒いで盛り上がって……そんな日々が返ってくるようにもうひと踏ん張りしようぜ! 聴いてくれるか大阪! 歌ってくれるか心の声で!」(トータス松本)
ROCK KIDS 802 EXTRA CRAZY BAND
「それが答えだ!」では8人のダンサーを交えた総勢14人編成で沸かせるなど、終始FM802リスナーなら一度は聴いたことがあるヒット曲満載で送ったROCK KIDS 802 EXTRA CRAZY BANDだった。
その最初の一音から、バンドの歩みとすごみを感じさせるような「キケンナアソビ」で幕を開けたのはクリープハイプだ。にじり寄るようなどっしりとしたリズムで侵攻し、「クリープハイプです、よろしく」(尾崎世界観/Vo.Gt、以下同)とだけ語り、長谷川カオナシ(Ba)がメインボーカルを取る「月の逆襲」では、きらびやかな光と共にファンタジックなサウンドスケープを放出。
クリープハイプ
「夏の歌を」とキャッチーなギターリフが導いた「ラブホテル」では、「明日親と観に行くから、クリープハイプのとき、またヘンなこと言いそうで怖いなというツイートを昨日の夜に見ました(笑)。帰りの電車とかで気まずくてお母さんと口をきかなかったら、それはそれで感染対策としては良いんじゃないかな? お母さん初めまして、ちなみにこの曲、「ラブホテル」と言います(笑)。ここにいる皆さんと、お母さんに届くように一生懸命歌います」と曲間に挟み込むなど、場の空気を一気に持っていくライブ巧者ぶりを見せる。
クリープハイプ
促さずとクラップが発生した「イト」しかり、その言葉のみならず、素晴らしいメロディメーカーでもあることを証明するかのようなキラーチューンが続く。
クリープハイプ
ソリッドなギターがけん引する「イノチミジカシコイセヨオトメ」でも照明とのシンクロ具合がすさまじく、音と光の波状攻撃で刺激する、これぞなライブ体験を提示。
クリープハイプ
「FM802にはいつも居場所をもらってて本当に感謝してます。言葉にならないので、しっかり曲をやって帰ります」と放った最後の「ねがいり」まで、あくまで音楽で恩返しをするようなクリープハイプのライブに、ロックバンドの真髄と底力を見た。
藤原“33才”広明(Dr)の力強いビートに、上杉研太(Ba)のベース、柳沢亮太(Gt)のギターが合流し、それが太い川になっていくような大陸的なスケールのイントロに、「開催できて良かったじゃなくて、開催して良かったでもない。開催しなければならなかった日の最後を務めにライブハウスから来ました!」とぶちまけた渋谷龍太(Vo)。たった90秒ですでにSUPER BEAVERの勝利の法則が成立したような「予感」は、『HIGH!HIGH!HIGH!』のトリという大役を背負った4人による開宴の合図だ。一瞬でも目を離せば渋谷は大きなステージの端にたどり着き、一心に歌を届ける。ライブハウスであろうが大阪城ホールであろうが、その目に映るのは一対一の集合体である以上やることは変わらないという、その体現が今日もここにある。「5年前はサブステージ、本日は堂々とメインステージのトリを務めさせていただきます!」(渋谷、以下同)と始まった「青い春」でも、何人であろうが熱くさせるその求心力は増大するばかりだ。
SUPER BEAVER
「裏の様子も見せてあげたいぐらい、すごく親身になっていろんなことに気を付けながら、今日のイベントを何とか開催しようとしてくれたその気持ちの、一番届けたいところには絶対にあなたがいて。俺は音楽は生きていく上でなきゃいけないものだと思ってる。おそらくきっとあなたもそうだと思う。最後まで残ってくれて、音楽を全身で浴びて、全部受け止めて……それぐらい音楽が好きなあなたのために今日があったと思うと、やっぱり素晴らしいなと思うんです。今日の日を作り上げたあなた及び、FM802、そして大勢のスタッフの方に今一度、俺たちよりデカい拍手をお願いします! いろんなものを選んで、あなたの人生が愉快にならないと何の意味もない。今日がその第一歩になったら最高だなと思い、ライブハウスから来ました。バンドマンというのは、愛してるという言葉を、こうも明確にお前にぶっ刺せるんだというところを見せる!」
SUPER BEAVER
「アイラヴユー」というシンプルでとてつもなく大きなメッセージが、SUPER BEAVERというフィルターを通すと、手当たり次第にぶん投げられるのではなく手渡されるように胸に収まっていく。急速に心が満たされていくこの感覚は、ライブならでは、SUPER BEAVERならでは。そう、『HIGH!HIGH!HIGH!』という日は、誰でも良いのではなく、かけがえのない「ならでは」が集まったような一日だったなと、この曲が気付かせてくれる。
SUPER BEAVER
「頑張れという言葉、嫌いじゃないんです。本当に頑張ってる人が目の前にいたとき、言葉をかけたくなるでしょう? 相手からもらった頑張れと、自分から言う頑張れは、大事にしたいなと思ってます。一つの気持ちの形だと思うので。ただ、語弊を恐れずに言うと、一緒に頑張ろうぜとは言いたくないですね。それぞれ頑張りましょう。信頼してます」
オフマイクで、アリーナで、こんなにも深く遠くまで突き刺さる歌があるのかという渋谷の歌声が、頼もしいバンドサウンドを引き連れて「時代」を鳴らす。マスクの奥で、心の中で、きっとシンガロングされたであろう叫びは、同じ時間と空間を共に過ごすという事実=ライブが人生にもたらす重みを、思い出という記憶で何度でも再生される喜びを突き付けてくれる。
SUPER BEAVER
「今日ここで歌えて良かったです。心の底からそう思いました。あなたのおかげです」と告げ、躍動するリズムと高鳴る鼓動が溶け合った「名前を呼ぶよ」は、現在公開中の大ヒット映画『東京リベンジャーズ』の主題歌としても知られる1曲。今やSUPER BEAVERは自身のツアーはもちろん、イベントやフェスへの出演が絶えないバンドだ。にも関わらず消耗も劣化もしないどころか強度と説得力を増していくのは、一本一本のライブが全てその日のための特別であり、同じものが一つとないことの確固たる証明だろう。だからこそ何度でも胸を揺さぶるのだ。
「ありがとうございました、また会いましょう。来年の『HIGH!HIGH!HIGH!』では、マスクなしのあなたの顔が見たいです。ていうか一緒に歌いたかったな。次はやろうぜ!」
SUPER BEAVER
最後にして最大級の感動を巻き起こしたのは、「東京流星群」。そして、今日もまた新たな特別を大阪に、『HIGH!HIGH!HIGH!』に残したSUPER BEAVERからマイクを受け継ぎ、約8時間にわたる宴を締めくくったのは、やはりこの人。
「『HIGH!HIGH!HIGH!』は、ここに集まってくださった皆さんがいなければ、そして皆さんの協力がなければ、できなかったイベントです。今日は来てくださって本当にどうもありがとうございます! やっぱり音楽って良いなと、しみじみ感じた一日でした。今までは当たり前のようにこういったベントが開催されてきましたけど、当たり前じゃなくなって気付いたこともたくさんありました。それはすごい財産なんじゃないかと思います。いや~本当に開催できて良かった! またお会いしましょう、次はラジオで。落合健太郎でした!」
取材・文=奥“ボウイ”昌史 撮影=FM802提供(渡邉一生/日吉“JP”純平/ヨシモリユウナ)

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