【寺島拓篤 インタビュー】
すごくいい曲だし、
エンディングらしい
エンディングになった
オンラインであっても
ライヴであることは忘れたくない
カップリングの「ファントムライツ」はおしゃれな感じですね。
「メグルモノ」みたいな曲というオーダーだったので、「メグルモノ」を作ってくださった桑原 聖(Arte Refact)さんに作っていただきました。自分が作ったものと近いイメージの曲を作ってほしいっていう、だいぶ難しい発注だったんですけど、桑原さんは本当にすごいと思いましたね。確かにテイストは近いけど全然別の新しい曲を作ってくださって、その技に感動しました。
『転スラ』のアプリゲーム『転生したらスライムだった件 魔王と竜の建国譚』の主題歌になっていて、“ドラマチックな曲になった”とコメントしていましたね。
今作で展開されるオリジナルストーリーにフォーカスを当てたものになっていて、そこをどんどん絞っていったら、すごくドラマチックなものになりました。テーマとか人物像を絞ったがゆえに、味が濃くなったというか。凝縮されて濃縮されている感じです。ゲームをやる前に聴くと“どういうこと?”と思うかもしれませんが、ゲームをやっていただいてから聴くと、ストーリーのエッセンスが端々にあることが伝わるんじゃないかな? なので、ぜひゲームとともに楽しんでください。
もう一曲の「sweet mirage」は久保田利伸さんのようなR&Bを彷彿しました。
実際、久保田利伸さんの曲をいっぱい聴きました(笑)。僕も曲から受けた印象が久保田利伸さんだったので、こういう曲はどういうふうに歌えばいいのかを参考にしたいと思って。
これは何をテーマに?
『転スラ』とは直接的な関係はないんですけど、これも『転スラ』の要素を少し借りて書いています。夏のイメージの曲がいいと思っていたので、夏の季節感なら『転スラ日記 転生したらスライムだった件』かなと読み始めたら、夏のエピソードがあったから、そこからちょっとだけイメージの発想を得て書きました。
『転スラ日記』には四季おりおりの風物詩がたくさん出てきますからね。
そうなんです。それで夏と言えば逃げ水だなと。逃げ水みたいに届かない恋愛の歌詞が自分の曲にもあったと思って…「君の季節」(2015年11月発表のシングル「INNER STAR」収録曲)なんですけど、その曲の季節が春だったからその続きを書こうと思いました。
寺島さんのオリジナルの物語が新たに動いたわけですね。
はい。「君の季節」は“好きだけど友達だから一歩踏み込めない”と歌っているのですが、今回は“でも、諦められないから思い切って一歩踏み出そうかな?”という気持ちを書きました。何年後になるかは分からないけど、秋、冬と続くかもしれないので、その後の展開も楽しみな曲になりましたね。
そして、9月22日には昨年12月に開催したオンラインライヴ『TAKUMA TERASHIMA ONLINE LIVE 2020 4th STAGE ~ASSEMBLE~』のBlu-rayも発売されますね。
オンラインライヴという景色がなかなか変わらないものを、どう変えようかと演出陣と相談して、ああいうバンドセットとダンスパートという2ステージで観せるやり方になりました。両方の曲を歌っている自分だからこそできたことだと思いますね。実際にやってみて自分でも面白かったし、ダンスにしてもオンラインだからこその魅せ方があることに気づけたし、きっと観てくださった方も飽きずに楽しんでくれたんじゃないかと思っています。
MCでグッズ紹介していたのがライヴっぽくて良かったです。
せっかく作ったので、やはりみなさんに手に取ってほしいし。それに、やっぱりライヴであることは忘れたくないですから。みなさんが少しでも会場にいるのと同じ感覚になれるように、伝えるもの、届けるものを考えながらやったライヴでした。
Blu-rayならではのものとして、リハーサルや当日のメイキングも収録されているそうで。
ダンスの練習をしているシーンやバンドリハ、その合間にインタビューしていただいて、“今はこういう状況です”とか“こういうことに気をつけています”とお話をしていたり、オフショットも満載です。配信日にリアルタイムで観た方も、今回のパッケージで観る方も、まったく同じものが味わえるという。あと、リアルのライヴと違ってカメラ割りが決まっているから、みんなに同じものを楽しんでもらえるというのも、オンラインライヴだったからこその良さですね。
取材:榑林史章