子どもの躾は、歴史や文化の違いによって変化してきている。その社会が緊張した厳しい社会であれば、子どもの躾に対しても、厳しさが要求されるように、昔であれば、家庭や学校なので体罰が当たり前であったと考える人々も多く、統制力の高い体罰が罷り通っていることから、一人の子どもに対する教育の比重が現代と比べ非常に少なかったといえる。そもそも「虐待」という概念が世に浸透していなかったということもあり、教育の一環として捉えられる方が自然だったのかもしれない。しかし、現在は、文化・個性を尊重する風潮にあり、子どもの個性を大切にし自由放任主義をとっている。よって体罰で支配するのではなく、自己で考えさせる教育体制をとっており、それは、教育現場だけでなく、家庭でも同様の傾向にある。

■公衆の面前で・・・
その出来事は、ある人物による動画投稿から広まった。「事件」が起きたのは今年3月1日の渋谷駅。その動画の中心には、母親らしき人物と座り込み泣き叫ぶ女児の姿が目に留まる。休日ともあり平日と比べ人が少なく疎らに歩いており、通行人らはなんら関心なく通り過ぎている様子だ。女性は女児に対し、「返事は!?」「どっちにするの!?帰るの!?」と怒鳴るように女児へ問いただしていた。ここまでは、親が子を叱るよく見る風景だ。しかし、問題はこの先にある。
女児は、呆れた女性が踵を返すと同時に、「待って!」と言わんばかりに女性を追いかけていた。突如、女性が立ち止まり後ろからついてくる女児に対し、「ふざけんなよっ!!」と罵り、女児の頭部めがけ足を振り抜いたのだ。当然の如く、身体の小さい女児は、うつむける形で顔面からコンクリートに叩きつけられた。女性は、泣き叫ぶ女児の腕を引っ張り足早に立ち去った。

■アナタならどうする?
一連の行為を撮影していた、会社員の嘉瀬正貫さん(38)は当時をこう語る。
「「やめなさい」と声をかけても、女性はやめるどころか荒くなっていった。そこで、警告の意味も込めて、手持ちのスマホで撮影し始めたんです」と語った。また、女児が蹴られた時に、嘉瀬は「警察呼ぶぞ」「ビデオに撮ったぞ」と女性に呼びかけていることから、最悪の事態を想定しての撮影であることが分かる。
Q,なぜ止めに入らなかったのか?
嘉瀬さんは、割って入って止めることに、リスクを感じていたうえで、こう付け足した。「しつけを否定するわけではないですが、あれは明らかに度を超えて行きすぎでした。私は改札の外にいて、彼女らは中にいました。どうにか止めさせたいとは思いましたが、怒鳴っている女性がどんな人かも、何を持っているかも分からない。そこまではできなかった。この動画が虐待防止につながってほしい」と無念の胸の内と、再発防止を訴える思いを語っていた。
ネットではこれらの事件を受け、この様なコメントが寄せられている。
・日常からやってる感じだな、特定して保護した方がいいんじゃねーの?
・ゴンって音してたわ。(女児が打ち付けられたときの音)
・ちんたらカメラ回してないで力ずくで止めて警察に突き出せよ
躾とは、子が生きていくために「やるべきこと」「やってはいけないこと」を自制する力を付けてやることだ。褒めたり、優しく教えたり、時には叱り罰を与えることも必要だろう。しかし、親が怒りの感情を持って子どもを脅したり、暴力を加えることは虐待だ。今回の事件は、嘉瀬さんも述べたとおり、度を超しており、躾とは言い難い行為に見えた。この女性の動機はなんだったのか。文化・個性を尊重する現代の躾に対し、やりづらさを感じていたのかもしれない。しかし、体罰であれど、子どもの技量差や体格差を考えず、行為に及んだ事に対しては憤りを感ぜざるを得ない。

【執筆者:王林】

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