山野ミナ

山野ミナ

【山野ミナ インタビュー】
アトリエみたいにいろんな色彩が
楽しめるものになればいいなと思った

ボサノヴァ、MPB、ジャズなどを歌ってきたシンガーソングライターの山野ミナが満を持してメジャデビューアルバム『L’ATELIER』をリリースする。プロデュースを手がけるのは、あの高橋幸宏、そして伊藤ゴロー。さらには梶原 順、中西俊博、本田雅人といった錚々たるメンバーもレコーディングに参加。個展を開くなど画家としても活動する彼女が、多様な楽曲と多彩な歌声で描き上げたアルバムはいったいどんなものに?

内気だからこそ
“負けへんで!”という気持ちがある

お父様がジャズのレコードを収集されていて、ミナさんも幼い頃からジャズを聴かれていたとのことで。

家にいたら嫌でも聴かされているという環境でした(笑)。常にジャズが流れていて…その時は全然認識していなかったんですが、思い返せば“あれはヘレン・メリルの声だったな”とか“ジュリー・ロンドンの声だったな”とか“この音はビル・エヴァンスだったな”と気づきましたね。

お父様は絵画や彫刻品も集められていたとか。

インテリアとして飾っていましたね。父は絵画や版画やオブジェなどを収集するのが好きだっただけなのですが、叔父が画家だったので、彼が模写したロートレックとか、そういった美術作品が常に家にありました。

そうした幼少期を経て大阪芸術大学美術科に進学されたわけですが、画家になろうと思っていたんですか?

う~ん…何になりたかったんですかね?(笑) 当初は高校から大学にエスカレーターで上がって、そこの美術科に行く予定だったんですが、周りが芸大とか美大とか受験して合格するのを見て、“私はこのままでいいのか?”なんて思ってしまい、大阪芸大入試の3カ月前に思いつきで受験したら受かってしまったって感じです。子供の頃から絵は好きで描いてたんですが、本格的に勉強はしたことがなかったんですよ。芸大受験する人って、みんなアトリエに何年も通って受験に挑むんですが、私は2カ月通っただけだったので、“今年は落ちても浪人して、また来年に挑めばいいや”ぐらいに思ってたんですが、合格しちゃったんで“これは神様がここに行けって言ってるんだな”と思って迷わず行きました。

さらにプロフィールには“大学時代にミュージカルの舞台を見て衝撃を受け、舞台の世界を志すようになった”とあります。何のミュージカルをご覧になったんですか?

『キャッツ』です。もともと歌うのが好きで、子供の頃から歌手になりたいっていう夢があったんですが、内気だったので誰にも言えなかったんですよ。実はクラシックバレエもずっとやってたんですね。舞台に立つということにはすごく憧れがあったんです。内気だからこそ華やかなものにすごく惹かれるんだと思うんですが。そんな自分が『キャッツ』を観ちゃったものですから、昔の記憶が走馬灯のごとくブァーって蘇って“あぁ、やっぱり私はステージに立つ人間になりたい”となって。でも、芸大はちゃんと卒業しておこうと思って、卒業してからミュージカル養成所に通い始めました。

ミュージカル養成所はどれぐらい通っていたんですか?

2年ぐらいですかね。その間、劇団のオーディションなども受けたりはしてたんですが、最終選考まで行くもののいつも悔しい想いをしていて。それで“今後どうしようかなぁ?”って思っている時に、歌の先生から“ジャズのコーラスをやってみる?”と言われて、試しに一度参加させてもらったら楽しかったんですよ。“あっ、私はメロディーが歌いたいんだ!?”と思って、そこからジャズヴォーカルをやるようになりました。

それで2010年よりライヴハウスで歌うようになったと。こうしてプロフィールを辿ると、とても順調に事が運んでいるように感じるんですが。

いやいや、全然ですよ。挫折を何回味わったことか。ミュージカルの時にこてんぱんにやられたんですよ。今まで音楽畑じゃなかった人間が、もっとも難しいであろうミュージカルやジャズという特殊な世界に経験も知識もないままポンって入っちゃって、そりゃもう精神がボロボロになりましたね。

そんな苦労が…。でも、まず2014年2月に『Brasilian Groove Featuring Mina Yamano』というアルバムにフィーチャーされ、2015年10月には“山野ミナ”としてミニアルバム『VIROU AREIA』をリリースと。これらではブラジル音楽を中心に歌われていますよね。

「そうですね。私、あがり症だったんですね。リハーサルとかで歌っている時はうまく歌えるんですけど、本番で人前に出た瞬間に歌うのが恐くなって、声も震えるし、手も震えるし、変な汗もかく…みたいな。それで誹謗中傷とかを受けるようになったんですよ。“下手なくせに”みたいなことを言われちゃって、それから歌うのがさらに怖くなったんです。そういう時にボサノヴァに出会って。力を抜いて歌っているあの感じに惹かれて、こういう歌のアプローチを学ぶべきなんじゃないかと思って、ブラジル音楽を歌うようになったんです。発声とかも自分にすごく合っていたし、“あっ、もしかしたら私はこっちなんじゃない?”と思いましたね。

2018年9月には1stアルバム『My Treasure』をリリースするわけですが、これもすごいじゃないですか。クリス・ミン・ドーキーのオーガナイズでデンマークのミュージシャンたちと共演して、しかも録音はコペンハーゲンですよ。

これは本当に運が良かったです。デンマークでレコーディングをしようと思ったのは、アルバムのコンセプトが“ヨーロピアンサウンド”だったからで…私はヨーロッパに行ったことはありましたが、ヨーロッパの人たちと一緒に音を出したことがないので、それでは説得力がないと。なので、“これはヨーロッパに行かなきゃダメだ!”と思ってサウンドプロデューサーに相談したら、クリスを紹介してくれたんです。

ヨーロッパに行く発想ありきだったんですね。内気なのかバイタリティーがあるのか、よく分からないです(笑)。

あははは。内気だからこそ“負けへんで!”という気持ちがあるんだと思います。
山野ミナ
アルバム『L'ATELIER』

OKMusic編集部

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