アーティスト写真上から 晨(Ba&Cho)、みっちー(Vo&Gu)、ジョン=エブリバディ(Dr&Cho)

アーティスト写真上から 晨(Ba&Cho)、みっちー(Vo&Gu)、ジョン=エブリバディ(Dr&Cho)

【シンガロンパレード
インタビュー】
ひとりでライヴハウスに
来ている人を応援したい

怖い曲なら、怖いと思わせて
初めてエンタメになる

さて、本作のもう一方のテーマとも言える歌詞の話もうかがっておきましょう。ここまで話してきたように、シンガロンパレードは真摯なメッセージを持ったバンドではありますけど、今回のようなTVゲームの要素は独特のユーモアセンスではあって、このバンドの親しみやすさにもつながっているでしょうね。M12「不思議なアトモスフィア」の《耐熱性の盾ですら溶けてってしまいそうになる肌が》とか。M11「アラヤダマタダ」の《試しに僕でその破壊力を測ってみやしないかい》もそうでしょうし。

みっちー
今回、そういう中二的なワードは使ったつもりです。

M16「ルートA」の《取り忘れた宝箱が 後から気になっても/もう戻れはしないルートA》もそうですね。

みっちー
それはね…僕は性格的にそうなんですよ。

それはゲームをプレイしててという?

みっちー
はい。全部調べてからじゃないと奥へ行きたくないタイプなんです。とりあえず奥に行って…というのができなくて、端から端まで全部調べる。

ゲームをしゃぶり尽くすタイプですね。

みっちー
そうですね。“二度と来れないところだったらどうしよう”と思っちゃうんですね。だから、「ルートA」は結構、僕の性格が出てますね。でも、“(取り忘れた宝箱が)気になっても行くしかない!”ということなんですよ。

ありふれた言い方ですけど、現実はゲームとは違うわけですから。

みっちー
そうですね。それが《ノーセーブのゲームで》というひと言に集約されていると思うんですけど、“セーブができたらそりゃあ楽やけど、まぁ無理よね”という(笑)。で、楽になれへんかって、その恐怖を具現化したいと思った人が、いい映画、いいアニメ、いい漫画を作る。だから、“これは死ぬほど怖いです”というものを見せてくれるんです。怖いものを怖いと言う表現って僕は大事やと思っていて、結構そこは曲を作る感覚に似ているような気がしますね。だからって怖い曲を作ったことはないんですけど、怖い曲なら怖く聴かせないと意味がないし、怖いと思わせて初めてそれは“恐怖”というエンタテインメントになるので。

うん。そこで言えばM2「僕のチャリ」。歌詞の内容もとてもスウィートな内容ですけど、これをリスナーに感じさせるためにこうしたさわやかなメロディー、サウンドが必要だということですね?

みっちー
そうですね。僕自身はもうそんな恋愛ができるわけはないと思ってるんですけど(笑)。この曲で見せたいものは絶対にあるから、それをするためには“ここではこうしなくちゃいけない”という。

歌詞の話に戻りますと、“この人は本当にゲームが好きなんだな”と思ったのは、M6「NOW LOADING」の《復活のword 言うてみやoh きむこう》でして。“みやおう きむこう”はゲーム好きじゃないとなかなか出てこないワードだと思います。

みっちー
おおっ! ご存知でしたか!? 『ドラゴンクエスト』のパスワードから来てるんですけど、“ゆうていみやおうきむこう…”という。あれはラスボス前にかなりレベルが上がった状態でスタートするパスワードとして有名なんですけど、その語呂合わせで。関西弁で“言うてみいや”というのがあるですけど、そこから《言うてみやoh きむこう》という。知ってる人が気づけばと。多分、僕より齢上の世代しか気づかないと思いますけど(笑)。

気付きました(苦笑)。こういうところからは、ちょっとだけゲームが好きな人ではなく、本当にゲームが好きな人が作った作品であることが分かりますし、リアリティーがありますよね。とてもシンパシーを抱きます。

みっちー
ありがとうございます(笑)。あの曲ってRPGのシナリオと、自分が実際に生きてるものとのずれとがストレスになっている人の歌なんですよ。で、結局その人だけがこのアルバムの中で唯一、一度も救われずに終わるんです。何も解決しないまま、しんどいままで終わる。そこが曲のファンキーさとも相俟って、諦めてるからこそカッコ良いと思ったんですよね。

取材:帆苅智之

アルバム『ルーツ』2021年8月4日発売 Soul Mate Record
    • SMRE-0025
    • ¥3,300(税込)

『ROUTES of ルーツ』

10/02(土) 京都・KYOTO MUSE
10/08(金) 大分・club SPOT
10/17(日) 愛知・池下CLUB UPSET
10/23(土) 愛媛・松山Double-u Studio
10/24(日) 香川・高松MONSTER
10/30(土) 東京・下北沢CLUB Que
10/31(日) 岩手・盛岡the five morioka
11/01(月) 宮城・仙台enn 3rd
11/03(水) 神奈川・横浜BAYSIS
11/06(土) 長崎・Studio DO!
11/07(日) 福岡・Queblick
11/20(土) 兵庫・music zoo KOBE 太陽と虎
11/21(日) 広島・4.14
11/23(火) 岡山・CRAZY MAMA 2nd Room
11/28(日) 大阪・心斎橋 Live house ANIMA ※ワンマン

シンガロンパレード プロフィール

シンガロンパレード:2012年4月に結成された、京都出身・在住の3ピースバンド。みっちー(Vo&Gu)のハリのある歌に加え、晨(Ba&Cho)とジョン=エブリバディ(Dr&Cho)の絶妙なコーラスワークが好評を博し、京阪神のバンドコンテストで次々とグランプリを獲得。14年にはラスベガスでのライヴも経験。21年8月に3rdアルバム『ルーツ』をリリースした。シンガロンパレード オフィシャルHP

「ルートA」MV

OKMusic編集部

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