【アマアシ インタビュー】
イメージしていた夏が来なくて、
いつも通り暑苦しい夏が来ちゃったね
昔から一曲一曲に対してめちゃくちゃ
大事に作りすぎなくらいの作り方
「ナツノカゲロウ」が配信でリリースされましたが、既存曲の「lost summer」(2017年5月19日に渋谷TSUTAYA O-crestにて開催した自主企画『感情連鎖』での会場限定Tシャツの特典音源に収録)を3人でリアレンジしたんですよね?
横井
そうです。「lost summer」は2016年に作った曲になります。
この曲を改めて3人で新しいかたちにした理由は?
夏目
一番ポップだったからですかね?(笑) あと、アマアシの良さ詰め込まれているとも思うので。
3人の歌のハーモニーがすごく活かされているという印象です。
夏目
ハーモニーに関しては3人編成になってから石黒と横井に無理矢理やらせました。最初はめちゃめちゃ嫌がっていたんですけど(笑)、どんどんうまくなっていっていますね。小さいライヴハウスでやっていた時は打ち込みの音を出せなかったので、自分たちで出せる音は全部盛り込もうということで、ふたりにはコーラスをやってもらったんです。
石黒
僕はバンドをやる上で、ステージで声を出すということがすごく嫌だったんです。だから、最後まで抗い続けたんですけど(笑)、3人になったから“いよいよやるしかないな”と。でも、もう今は抵抗はないです。それによって曲が良くなるなら、それに越したことはないと思うので。
横井
好きなドラマーでコーラスをやっている人がそんなにいなかったので、僕も歌わないでドラムに集中したいっていう想いがあったんです。でも、りゅうさん(夏目の愛称)がつけてくるコーラスがきれいなんで、“頑張ってみようかな”と思いながらやり始めました。
もとになった「lost summer」はライヴで頻繁にやっていたんですか?
夏目
よくやっていました。もともとは4人のバージョンで、3人で研ぎ澄ましたバージョンが今回の「ナツノカゲロウ」ですね。サビの歌詞を少し変えたり、ライヴでも弾けるギターにアレンジし直したりしています。
横井
人数は4人から3人に減ったんですけど、曲のゴージャスさというか、4人の時の音圧とかにも負けないアレンジしています。
石黒
もともとの曲を作ったのは2016年ですけど、そこから5年くらい経った中で個々に取り入れた新しい要素も入って、現代的なサウンドになっていると思います。
リリースタイミングに合わせてサマーチューンを煮詰め直したいというのもあったんでしょうか?
夏目
単純に僕の声がサマーチューンに向いているという感覚があったので。自分で言うのもなんですけど、さわやか系というか(笑)。あんまり暑苦しいタイプの声ではないので。
清涼感のある声ですよね。でも、歌詞は終わってしまった儚い恋を描いているという。
夏目
実は動かないまま終わってしまった過去の体験を描いています。気づいた時には、もう手遅れだったという感じですね。“イメージしていた夏が来なくて、いつも通り暑苦しい夏が来ちゃったね”っていう(苦笑)。
この曲のリリースを経て、バンドとして目指していきたいことは?
夏目
赤坂ブリッツで観たライヴで感動したことがあるので、キャパがどうこうということではなく、あそこでいつかやってみたいという想いがあったんですけどね。もちろん大きい会場をお客さんで埋められるようになりたいとは思っています。今は…やはり今回の「ナツノカゲロウ」に対してどんな反応を得られるのかが楽しみですね。新しい曲も作っているので、勢いを落とさずに行けたらいいなと思っています。
石黒
作った曲を外に向かって発信することが苦手というか、知識不足なところがあるバンドなんですよ。でも、サポートしてくださる人がいる環境になったので、自分たちが作ったものをより多くの人に知ってもらって、受け入れていただけるように動いていきたいです。今までできなかったこともできるようになっているので、より良いものを作っていきたいですね。
横井
ふたりがちゃんとしたことを言ったあとに恥ずかしいんですけど、初めて観たライヴが横浜アリーナの9㎜だったんですよ。だから、僕もいつか横浜アリーナでライヴがやれるようになりたいですね。
夏目
こうしてお話しながら思い出したんですけど、アニソンをいつかやりたいです。ジャンプ系のアニメとかが好きなので。アマアシの曲の疾走感が活かせるんじゃないかと勝手に思っています。あと、昔から一曲一曲に対してめちゃくちゃ大事に作りすぎなくらいの作り方をしているので、これからもその気持ちでいたいですね。「ナツノカゲロウ」みたいにこの3人で表現し直せる曲が他にもあったら、これからもリメイクしていきたいですし、新しい曲もそういう気持ちで作っていきたいです。
取材:田中 大