【仲村瞳の歌謡界偉人名言集】#210
ギタリスト・内田勘太郎の言葉

作詞家、作曲家、編曲家、音楽プロデューサー、バンドマン、振付師、……そして、歌手。きらびやかな日本の歌謡界を支えてきた偉人たちを紹介するとともに、その方々が発したエネルギー溢れる言葉を伝えます。常軌を逸した言動の裏に、時代を牽引したパワーが隠されているのです! このコラムで、皆様の生活に少しでも艶と潤いが生まれることを願います。

ギターは最初のとっかかりとして物陰へ
引っ張り込まれるような強さを持ってい
るけど、そこから本当の陶酔を与えてく
れるのは歌でしょう

2016年11月23日に、日本を代表するギタリスト・内田勘太郎の8枚目のソロアルバム『DEEP BOTTLE NECK GUITAR』(極東楽音)が発表された。内田といえば、カルピスの瓶首を使ったボトルネックでの演奏のイメージ強いが、意外にもその演奏だけで構成した初のアルバムだという。“15歳の時に始まったブルースの旅は半世紀を経てデルタブルース(初期のブルースミュージック)に回帰した”という内田の音楽人生にとって、非常に意味深い一枚である。今回の名言は、同アルバムのリリースを踏まえたインタビューからの抜粋。インタビュアーによる「ブルースはヴォーカル・ミュージックという側面が大きいですよね」という投げかけへの答えである。「マディ(マディ・ウォーターズ)の声なんて奇跡のような色にあふれている」、「スライド・ギターはすごく歌に近いから助けられているところがあるんだ。俺のギターでできるなら頑張ってやってみようと思う」(「逢いたくて逢いたくて」と「どうにかなるさ」のインストについて)とも語る。「ブルースってどれだけパンクなことか。黒人というだけで殺されるような状況の中で、音楽を演奏し、エンタテインメントとして成立させていった。とんでもないことだ」、「どこか破綻したいんだよ。(中略)気が済むまでやって、行けるところまで行きたいねえ」という言葉からもブルースの奥深さ、内田の熱い想いなどが感じられる。ジャンルにとらわれず進化し続けるブルースマンの、貴重なロングインタビューである。
内田勘太郎(うちだかんたろう)
1954年1月22日生まれ、大阪府大阪市出身。憂歌団のメンバー、ブルースギタリスト、シンガーソングライター。卓越したセンスが光るブルースギターの技法は多くのギタリストに影響を与え続けている。カルピスの瓶首を切ったボトルネック奏法の使い手として有名。1970年、木村充揮(ギター/ボーカル)とともに憂歌団を結成。1974年に、花岡献治(ベース/ボーカル)、島田和夫(ドラム)が加入。1975年、「おそうじオバチャン」(ショーボートレベール)でレコードデビュー。しかし、発売から一週間後に放送禁止となる。1988年、アメリカイリノイ州シカゴの『シカゴ・ブルース・フェスティバル』に日本人として初めて出演し話題となる。アルバム『BLUE’S』が大ヒット。1996年、テレビアニメ『ゲゲゲの鬼太郎』(4作目)にて、オープニングとエンディングのテーマ曲を担当する。1998年、アルバム『マイ・メロディ』でソロデビューを果たす。1999年、憂歌団が無期限で活動を休眠、ソロ活動を活発化する。2001年、 内田勘太郎トリオによる1stアルバム『暴風波浪警報』をリリース。以後、精力的にソロ活動を展開。2013年、憂歌団を再始動。2016年、8枚目のソロアルバム『DEEP BOTTLE NECK GUITAR』のリリースを機に、15歳で始まったブルースの旅はデルタブルースに回帰。同年、初のエッセイ集『ブルース漂流記』(リットーミュージック/CD付)を出版。現在、
を展開。
仲村 瞳(なかむらひとみ)
編集者・ライター。2003年、『週刊SPA!』(扶桑社)でライターデビュー後、『TOKYO1週間』(講談社)、『Hot-Dog PRESS』(講談社)などの情報誌で雑誌制作に従事する。2009年、『のせすぎ! 中野ブロードウェイ』(辰巳出版)の制作をきっかけに中野ブロードウェイ研究家として活動を開始。ゾンビ漫画『ブロードウェイ・オブ・ザ・デッド 女ンビ~童貞SOS~』(著・すぎむらしんいち/講談社)の単行本巻末記事を担当。2012年から絵馬研究本『えまにあん』(自主制作)を発行し、絵馬研究家としても活動を続ける。2014年にライフワークでもある昭和歌謡研究をテーマとした『昭和歌謡文化継承委員会』を発足し会長として活動中。

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