空白ごっこ「活動して1年半、ようや
くライブができることになりました」
 初のライブ『全下北沢ツアー』初日
をレポート

空白ごっこ『全下北沢ツアー』

2021.7.22 下北沢ERA
7月22日(木)、空白ごっこが『全下北沢ツアー』の初日公演を下北沢ERAにて開催した。
『全下北沢ツアー』は、7月から9月にかけて、下北沢にある全10カ所のライブハウスで開催される、空白ごっこの初ツアー。毎回ゲストを迎えてのツーマン形式になっていて、会場や出演バンドに合わせて趣向を変えたステージを予定している。そして、その初日となる下北沢ERA公演は、空白ごっことして待望の初ライブの日でもあった。
記念すべき日に迎えられたゲストは、ボーカル、ギター、ベース、バイオリン&シンセサイザーというスリーピース編成のレルエ。浮遊感のあるエレクトロサウンドと、耳に残るメロディが癖になる楽曲を送り出している彼らだが、ときに優雅に、ときに鋭利に耳に飛び込んでくるバイオリンの音色や、強烈な躍動感を放つベースライン、身体の芯を揺さぶるダンスビートは、現場で体感すると格別。ボーカル・ギターの櫻井健太郎は、自分達を招いてくれたことに感謝を告げ、「生で音を届けられたことが嬉しい。このような状況だからこそ、みなさんの心に届くような音楽を作ります」と話すと、客席からは大きな拍手が送られていた。
レルエ
レルエ
レルエ

舞台転換と場内換気の時間を経て、いよいよ空白ごっこのステージだ。この日のバンドメンバーである原島直輝(Gt.)、示村俊人(Ba.)、イノウエケンイチ(Dr.)、棚橋"EDDY"テルアキ(Key)の4人が登場した後、SEに合わせて行進するようにセツコが入場してきた。そして、笑顔で“開幕”と筆で書かれた半紙を掲げると、客席が拍手が巻き起こる。全員が定位置につくと、ギターと鍵盤が奏でる美しくも感傷的な音色を絡み合う──1曲目は「なつ」。空白ごっこが初めて世に放った曲で、初ライブは幕を開けた。寂寥感が漂う始まりから、胸に募る想いを爆発させるように、叫び声にも似た歌声をあげるセツコ。歌い終え、「はじめまして、空白ごっこです」と告げると、立ち込めた憂鬱を、アップテンポな「運命開花」が切り裂いていく。ヒリヒリとしつつも、そこに込められた強烈な意思を走らせていくバンドアンサンブルと共鳴するように、セツコの歌も強い熱を帯びていった。
空白ごっこ
示村俊人
原島直輝
そんな会場の期待感と高揚に魅力的な歌声を響かせていたセツコだが、MCの空気感は緩めというか、かなりマイペース。明るいトーンでフロアに話しかけていく。「活動して1年半、ようやくライブができることになりました。これも応援してくださっているみなさんのおかげです」と、感謝の気持ちをまっすぐに伝えていたが、「ここはハリーさん(針原翼)に“しっとりさせてね”って言われたので」と、照れ隠しで言葉を足していたところも微笑ましかった。
棚橋"EDDY"テルアキ
イノウエケンイチ
空白ごっこの楽曲は、メンバーであるコンポーザーの針原翼とkoyori、そしてセツコの3人がそれぞれ手がけていることもあり、自然とバラエティ豊かなものになっている。そんな様々な色を持った楽曲群を続々と畳み掛けていったのだが、セツコは怪しいサウンドに身を委ねながらクールな歌声を届けたり、カオティックに繰り広げられるアンサンブルの中で囁いたり、ファルセットを織り交ぜながら叫ぶように歌い上げたりと、曲ごとにその表情を切り替えていく。また、「ストロボ」では、客席を見渡しながらクラップをしたり、先日発表したばかりのアッパーな最新曲「ハウる」では、うねるベースとダンスビートが高揚感を煽る中、手を左右に振りながら歌ったりと、オーディエンスと共にライブ空間を作り上げていた。
空白ごっこ
先日行なったインタビューで、初ライブに対してちょっとした怖さがあるということを話していたセツコ。この日のライブは、出だしこそやや固さがあったのだが、曲が進んでいくごとに緊張の糸が少しずつほぐれていった。声もどんどん伸びやかになっていき、2ビートを交えたメロコア風な「リスクマネジメント」を歌っている姿は、全身でライブを楽しんでいることがしっかりと伝わってくる。感染症対策から声を出せない客席も手拍子や腕を掲げて熱気に呼応し空白ごっこの世界に酔いしれているのを充分に感じた。ここから残りの9公演で、さらに表現力に磨きをかけていくだろう。
空白ごっこ
待望の初ライブということもあり、『全下北沢ツアー』は、すでにソールドアウトしている公演が続出中。残り公演もわずかとなっているので、詳しくは彼らのSNS等をご確認を。また、空白ごっこは、10月20日には2ndEP『開花』をリリースすることを発表済み。全10本のライブを経た後、また新たなステージに突入するであろう空白ごっこに、自然と期待が高まる。

文=山口哲生 撮影=SEINA

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