星熊南巫(我儘ラキア)、「確かな存
在になる」圧倒的な歌声と存在感を誇
る日本一カッコいいアイドルの象徴が
見据える未来は

昨年末にリリースしたミニアルバム『WAGAMAMARAKIA』をたずさえ、キャリア最大規模となる全国ツアー『WAGAMAMARAKIA TOUR』を6月25日USEN STUDIO COAST公演にて完走した我儘ラキア。待望のバンドセットでの全国ツアーは全公演SOLD OUTと、確実に上のレベルへと駆け上がっている。メンバー個別インタビュー最終回となる第四弾として、その圧倒的な歌声と存在感で日本一カッコいいアイドル・我儘ラキアの象徴として君臨する星熊南巫に、ツアーを終えた今だから語れる想いと、その先に見据える未来を訊く。
――6月25日、東京・USEN STUDIO COASTにて全国ツアー『WAGAMAMARAKIA TOUR』ファイナルを終えて、自身最大規模のツアーを完走。ツアーを終えての率直な感想は?
ぶっちゃけて言えば、「もっと行けるな」という感じです。終わった後に「こんなもんじゃないぞ!」っていう気持ちが残ったというのが、正直な感想でしたね。長く走る上の一区切りではあるんですけど、まだまだここからだと思ってるんで、止まらないです。
――とは言えというところで、ツアーを振り返ってみていかがですか?
まず、待っててくれた人たちに会いに行くという機会が今まで無かったので、それが単純に嬉しかったのと。個人的な話だと初日の下北沢シェルターのライブ音源を自分で確認した時、ハッキリ言って歌がショボいし、全然粗いなと思って。「気持ちの部分も大事だけど、技術面が弱いと越えられる壁も越えられないな」というのが自分の中であったので、一音ずつ詰めていく作業をツアーを通してずっとやっていて。「技術面で完璧を目指そう」という気持ちでツアーに挑めたのが、すごく大きかったですね。実際、完璧に近づけていくうちに自信も出てきたし、「もっとやったろ!」みたいな気持ちにもなれたし。
――ツアーを重ねて、自分が成長してる実感や手応えを感じられたんですね。
感じました。「日本で一番になりたい」とか「世界を目指す」と本気で思ってるし、想いだけじゃやっていけないところまで来てるから。「音楽やる人間としてキッチリやろう。アイドルだから許されるみたいな考え方はやめよう」と思ってやってるし、新木場をやって自分の成長も感じました。もちろん、改善の余地はたくさんあって、例えば「SURVIVE」って歌うのが本当に難しいんです。初日とか、正直言って全然歌えてない。小さいライブハウスだと勢いで許されるところもあるけど、そんなこと言ってたらアカンなと思って。どこでも完璧に歌えるようにならないと、自分のやってることと辻褄が合わないんです。
星熊南巫
――我儘ラキアとしてはツアーを経て、どんな成長を感じましたか?
より個々が立つグループになってきたと思います。私の理想像として、ラキアは誰かに寄り掛かるんじゃなくて、個々で立ってて欲しいというのがあって。それってそれぞれが意識を持たないと出来ないことですけど、ツアーでみんなが成長して、個々で立ってるのが見えたし。それを見て、「自分ももっと行かないと!」と思えたし。メンバー同士で良い相乗効果もあって、凄く良いチームワークでツアーを回れたと思います。
――個々が分かりやすく見える演出として、ファイナルではソロコーナーもありました。
はい。特に怜奈がガッと前に出てるのが嬉しかったし、怜奈の譲れない部分がバキッと出せてたのがすごく良かったです。私、もともとアイドルが好きじゃなかったんですけど(笑)。NEVE SLIDE DOWNを初めて見て、初めてファンになったのが怜奈だったんで。「こいつカッコいいな、間違ってなかったな!」と思いました。ラキアって4人とも個性がバラバラで、デコボコなひとつの塊みたいな感じがあって。大人数のアイドルと比べた時、塊でぶつかったら人数で勝てないから、全員が主人公であることが大事やと思ってるんですけど。このツアーでみんな花開いて、主人公になれてて。自分ももっと頑張らなきゃと思うし、改めてすごく良いグループだなと思いました。メンバー同士が仲良いから移動中も楽しくて、笑ってツアーを終われたのもすごく良かったです。
星熊南巫
――そしてツアーを終えた我儘ラキアは、6月30日に最新ミニアルバム『SUPERIORITY』をリリース。『SUPERIORITY』はいつ頃、レコーディングしていたんですか?
2~3月ですね。『WAGAMAMA RAKIA』の制作は自粛中で、作り込む時間もあったんですけど。今回は時間が無くてギリギリまで追い込まれたし、自分に足りない部分が凄く見えて。制作期間中が今年に入って、一番落ちこんだ時期だったんです。「JOKER」を録ってる時も「まだまだやな」と思うことが多くて、ズーンと落ちちゃってました。新曲を録ってることを誰にも言えないからSNS音信不通の人になって、全部抱え込んだり。でも、今回は『WAGAMAMARAKIA』を踏まえて、もうひとつクオリティを上げるって課題があったのですごく勉強になったし、刺激になりました。
――前作より難易度の高いことをしようとしてるんだから、壁にぶつかるのは仕方ないですが。レコーディングが終わるまでに、壁を乗り越えることは出来たんですか?
どうだろ? 「乗り越えられました!」って言い切れたらカッコいいけど、「結果、良いものが出来たので、乗り越えられたと思います」というのが正直なところです。このアルバムでライブやってみないと分からないですね。正直、『WAGAMAMARAKIA』の曲たちも新木場まで行ってなかったら、自分たちのものに出来てなかったと思うし。
――いまや「New World」とか「One」とか、『WAGAMAMARAKIA』の収録曲たちがしっかり育って、ライブ定番曲になってますもんね。
そうですね。曲のクオリティが高い分、自分らのクオリティも上げないと乗りこなせないし、ここまで来るのに大変でしたけどね。「New World」も中音域がメインで、すごく難しくて、マジ苦手だったんですけど。いまは音源と聴き比べても遜色がないところまで持っていけたんで、「なんだ、人ってなんでも出来るな」と思いました(笑)。
星熊南巫
――さらに『SUPERIORITY』では、「GIRLS」とか「FLASHBACKS」とか、今まで無かったアプローチや高度な歌唱をしてますよね?
そうなんです。「GIRLS」は歌詞の発音も難しいし、「リアーナみたいに歌って」って言われて、何度も繰り返し聴いて勉強したし。いままでやってたボーカルスタイルとは違う声の出し方をしたので、いつもと違う声に感じるかも知れないですね。あの曲は「JOKER」を録った直後にレコーディングが決まってたんですけど、リリックが何も出来てなくて。慌てて書いたけどNGになって、AGさんが一緒に書いてくれたんです。結果、素敵な歌詞になったし、いまの世界の情勢ともリンクしていて、それをアイドルが歌えてるのも目新しいし。ラキアだから出来る曲になったかな?と思って、すごく気に入ってます。「FLASHBACKS」はずっと一緒にやってた岸和田(一樹)さんと作って懐かしい感じもあったし、我儘ラキアを一緒に作ってきた人の曲が入ったのはすごく嬉しかったです。
――「JOKER」始め、楽曲それぞれに新しい表現やアプローチが見えるから、ラスト「JOURNEY」にはここから広がる新たな地平や希望が見えて。ラキアがまたひとつステップアップした感のある、すごく良い作品になったと思います。新木場のライブで言っていた、「日本一カッコいいアイドルです」って言葉は大げさじゃないと思いますよ。
ホントですか? 私、何かを乗り越える時には身分不相応なビッグマウスを吐いて、それを有言実行していくスタイルで。何年か前にアイドルのフェスに出た時、「日本一カッコいいアイドル、我儘ラキアです!」って言った時はドキドキやったんですけど。いまは自分でも「ホンマに日本一カッコいいアイドルかも?」って、ちょっと思うんですよね。「じゃあ、他にカッコいいアイドルって、誰がおる?」って(笑)。
――「ラキアよりカッコいいアイドルがいたら、連れて来い!」と。
そうそう(笑)。それくらいの自信があるし、それくらいの気持ちで言えるんです。
星熊南巫
――数年前は夢みたいだったことも、いまは現実となって目の前に越えなきゃいけない壁として現れてきていて。次のツアーでは、ZEPPワンマンも発表しています。
ブリング・ミー・ザ・ホライズンが好きで、来日した時に観に行ったり。ZEPPって外タレとか、自分の好きなバンドを観に行くハコですからね(笑)。2階席からパンパンの観客を見て、「いつかラキアでやりたいな」と思ってた会場だったから、「ZEPPでやるなら、もっとレベルを上げないと!」っていう焦りはあります。あと最近、フェスに出てるバンドを観ながら思ったのが、「この人たち、メンタルバカ強ぇな!」ってことで。日本を制して、世界を制してる人たちと比べたらまだまだだから、「自分はそこまで行けてないな。もっとブッ飛ばなきゃ!」って思いました。
――あはは。星熊さんって、自分の弱さを知る強さがあるというか。自分の弱い部分や足りない部分を理解して受け入れて、しっかり向き合えるところが人として強いと思います。
お世話になってる方には、「もっと自信持って、生意気になった方がいいよ。無茶苦茶しろ!」って言われるんですけど。自分の良くないところが見えすぎて、そんなの出来ないんですよね(笑)。そういう性格なんだと思うけど、変に真面目になっちゃうというか。このツアーを回るにあたって、「お前は自分自身の挨拶周りをするつもりで行け。それでこのグループが通用しなかったら、お前はそこまでの人間だから。自分がこのグループを背負ってる覚悟で回れ!」と言われて。「これで「良かった!」って言われなかったら、私は終わる」くらいの気持ちでツアーをやっていたんです。
星熊南巫
――それだけの覚悟で臨んだんですね。では、メンバーについても話を聞きたいんですが。まず、結成時から一緒に活動する海羽さんはいかがですか?
凜ちゃんは自分がこのグループに自分が居続ける理由というか。あの人がいなかったらとっくに辞めて、ソロでやってたと思います。それくらい大切な人だし、その辺のアイドルよりも全然気合いが入ってるし。口先だけの女じゃなくて根性が座ってて、パンクなんですよね。凄くリスペクト出来るし、自分と似た部分も感じるし。私も信頼してて、凜ちゃんも信頼してくれて、親友みたいな関係です。凜ちゃんのプライベートに関しては、知らないことが多いんですけど(笑)。
――川﨑さんはどうですか?
私が陰なら怜奈が陽みたいな、真逆の性格で。怜奈がいるから明るくいられるし、私を小さな暗い箱から引っ張り出してくれるのが怜奈なんです。「ラキアに太陽が来た」ってくらい大切な存在だし、高校時代からの友達みたいな関係で。誕生日には「クマがいたから、ラキアを続けてるよ」って長文をくれて、「ヤバイ、泣きそうになるわ」って返事したら、「怜奈もいま泣いてる」とか返してくれたり、すごく良い子なんです。私をよく分かってくれてるし、ラキアのムードメーカーでいてくれるし。最近はダンス面で引っ張ってくれる、今までと違った顔も見せてくれて。「怜奈はバケる!」ってずっと思ってたけど、やっと周りがそれに気付き始めたみたいで。「気付くのが遅いわ!」と思ってます(笑)。
――MIRIさんはどうですか?
MIRIはライバルであり、親友でありみたいな存在で。言葉で言い表しにくいんですけど、大切な存在ではあります。ラキアにMIRIが入る時はバッシングもあったけど、MIRIが入ったら絶対にカッコよくなることは確定だったし、実際にカッコよくなったし。レコーディングしてる姿を見てても、ライブしてる時の背中を見てても「カッコいいな」と思うし。MIRIがいいラップをしてると、「歌でどう越えていこう?」って闘争本能も掻き立てられて。いいライバルだけど、実はそれが私を支えてくれてるってことでもあったりするんですよね。だから……ん~~、いまは上手く言えないけど、10年後くらいには「MIRIとの友情の形はこうだった。」って言えると思います。いまは最中すぎてどういう関係なのか説明付かないけど、10年後くらいに振り返った時、「MIRIの存在が本当に大事だったんだ!」って気付くんだと思います。
――間違いなく言えるのは、MIRIさんがいなかったら、いまの楽曲たちは無いですよね。
それは本当にそう。MIRIが「ラップやめる」って言った時は、「何言ってんねん!」って言って、ラキアに入ってくれて。2人が憧れてた人に曲を書いてもらって喜びを共感したり、いてくれてすごく嬉しかったです。いまは関わる時間が長すぎるから、お互いに良い部分も悪い部分もさらけ出しすぎてると思って。それは綺麗でもあるし、感情的で荒々しくもあるんだけど、何年後かにすごく良い関係だったって言えるんだと思います。
星熊南巫
――こうしてそれぞれの話を聞いて、我儘ラキアって本当に性格もタイプも違った4人が絶妙なバランスで繋がってる、奇跡的なグループなんだと改めて思いました。
本当ですね。お互いのリスペクトがあって、みんながみんなを凄いって思ってるから嫌いになれないし。お互いに足りないものを補い合って、助け合って生きてます(笑)。
――我儘ラキアはアイドル界で唯一無二の存在になってきてると思いますが、アイドルシーンの中でどんな存在でありたい?
アイドルシーンのニューアイコンになりたいし、実際になるのも秒読みだと思います。アイドルって流行り廃りがあって、誰でもなれた時代もあって。自分らもそれキッカケでアイドルになれたんだけど。何の実力もないのに「やりたい!」って気持ちだけでアイドルになれた時代から、いまはちょっと変わっていて。この飽和した中で勝ち上がっていくには、クオリティとかオリジナリティとか精神性とか、きっと大事になる時代が来ると思うんです。そう考えた時に「それってラキアの時代じゃん!」と思うし、そうなった時にこの国のアイドルシーンを引っ張っていける存在になりたいですね。
星熊南巫
――では、ラキアとしていま目指すべきものはなんでしょうか?
いまは「確かな存在になる」っていうことを凄く意識してて。一瞬の流行りにはなれるかも知れないけど、それを越えたところに自分らにしか座れない椅子があると思ってて。そこまで行くには中身や信念がないと無理やろうから、絶対そこまでたどり着いて確かな存在になりたいし。そこに座ってから、その先に出来ることをやっていきたいんです。例えば、下を引っ張り上げるとか、イベントや自主開催のフェスをやるとかって、そこに座ってから出来ることやと思うから。いまはもっと自分らが知名度を上げて、出来ることを増やして、自分らだけの世界を作るまで行きたいなと思ってます。
――いま、理想に向かってグイグイと前に進めている推進力も感じるでしょう?
感じます。我儘ラキアが我儘ラキアに追いついてないというか、自分らが自分らに置いていかれてるんじゃないか?と思う時もあるくらいだけど、それくらいの勢いをまとって、自分らを信じていくのみやな! と思っています。私、音楽以外は基本的にキチッとした人間じゃないんで。音楽の部分だけはしっかり引っ張って。「あとお願いします!」みたいな感じで、メンバーに頼りながら前に進んでいければいいなと思います(笑)。

取材・文=フジジュン 撮影=大橋祐希
【LIVE DVD】WAGAMAMARAKIA TOUR FINAL at USEN STUDIO COAST

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